自転車対策、やり過ぎでは?

一時期駅前の放置自転車が急増し、その対策として放置自転車の監視・撤去の徹底がなされました。しかし、昨今、放置自転車の監視や撤去の範囲が広がり過ぎているような気がしてなりません。

広々とした歩道で行き交う人が少ないところにも放置自転車の監視員がいて、ところどころに置いてある自転車に「警告札」を貼っていきます。どうやら駐輪時間を測っている様子はなく、私自身、少しの時間の買い物の時に貼られたこともあります。

一度、「どう考えてもこんなところで自転車に警告札を貼るのは意味がない」と思われる場所で札を貼っている監視員の人に尋ねてみました。

「あなたは、どこから委託されているのですか?」
「もし、役所仕事なら、このような人通りの少ない場所でやるのは税金の無駄遣いだと思います」
「住民として意見を言いたいので、部署とお名前を教えてください」

ところが、当の監視員、何も答えずにさっさと逃げ去っていきました。マスコミの取材のように追いかけるのも大人げないと思って見過ごしましたが、正しいことをやっているのであれば堂々と部署名を名乗ってもいいはずです。

ターミナル駅周辺のように人の往来が多い場所であれば監視の徹底も必要でしょう。しかし、私鉄や地下鉄の小さな駅周辺まで毎日のように監視する必要があるのでしょうか?

私自身の経験値からすると、監視や撤去がなさているのを晴れた天気のいい日にしか見かけません。本来であれば、雨の日に放置されている自転車の方が乗り捨ての可能性が高く、撤去の必要性が高いはずです。

横浜市では、放置自転車撤去事業で3億円の赤字を計上したと言われています。
自動車に比べ、自転車やバイクは渋滞の原因にならず、また排気ガスによる環境負荷も圧倒的に低いのです。しかも、自転車通勤等は体力を付けて健康に資するという研究データも出ています。

駐輪場等が圧倒的に不足している都内で、警告札を貼られて不愉快な思いをした人がたくさんいると想像しています。貼られている警告札を見て、ついイライラとなって、つまらない喧嘩や口論に発展してしまった人もいるのではないでしょうか?

放置自転車の監視や撤去は、選択と集中が必要です。人通りの少ない小さな駅前や広々とした歩道のあるところまで守備範囲を広げ、子どもたちや高齢者の足を奪うことに税金を投入すべきではありません。

公用車を全面的に廃止して、自治体の首長や議員諸氏に自転車利用を体感してもらうのが、最も効果的な方法かもしれません。

説得の戦略 交渉心理学入門 (ディスカヴァー携書)
荘司 雅彦
ディスカヴァー・トゥエンティワン
2017-06-22

編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2017年7月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。