オープンデータVLED勝手表彰。各地のオープンデータ活動を勝手に表彰させていただきます。産官学連携による取組で、今回で5回目になります。
いま政府はAIとIoTによる第4次産業革命に突き進んでいて、競争力の決め手はデータそのものだ、という共通認識が持たれるようになっています。ビッグデータをいかに利活用できる環境を整備するかが最重要の課題です。
その中で、今回はこれまでとはずいぶん異なる主体が表彰されました。下記のラインナップです。
最優秀賞
官民データ活用推進基本法
各党議員(代表:平井たくや衆議院議員)
審査員の声:オープンデータ、ビッグデータによる価値創出を加速するエンジンとなる法律。政府データカタログ、政府標準利用規約2.0に次ぐ重要なマイルストーンが達成された。社会に対するオープンデータ推進の強い動機づけになる。今後この法律をもとに具体的な施策が続々と生まれることを期待する。
平井議員は、議員立法で推し進めたこの法律がオープンデータを具体的に進めることになるだろうが、データを使えば国民生活が豊かになることを広く伝えていくことが大事だと指摘されました。それはわれわれVLEDが汗をかかなければなりません。宿題をいただきました。
優秀賞 4点
「ネ申 Excel問題」への取組
河野太郎衆議院議員
審査員の声:文科省の科研費申請に求められたExcel罫線のムダを排した議員の行動。長らく日本の生産性を落としてきた帳票の問題に政治家の立場から切り込んだ。使いやすいデータの提供のために避けて通れない課題であり、今後は他分野に対しても指摘していただきたい。
これに対し河野議員は、役人に「やめとけ」とヒトコト言っただけのことだが、それで動くことがあれば他にもやるので教えて!とのこと。はい、いろいろ持ち込みます。
国税庁法人番号公表サイト及び法人インフォメーション
国税庁、経済産業省
審査員の声:ID・コード体系の管理と後悔は公的機関の役割そのものであり、これを機械可読な形式で提供するというお手本のようなサイト。法人番号の利用可能性は広く、有意義な社会インフラ。
厚生労働省によるNDB(レセプト情報・特定健診等情報データベース)のオープンデータ化
厚生労働省
審査員の声:47都道府県の個性の豊かさが日本の大きな魅力。ケガや病気の多さから見えてくる県民性を分析することで、地域の新しい宝や課題が発見できそう。
都道府県議会議事録横断検索「yonalog」及び地方議会議事録横断検索「議事ロックス」
Bitlet、小田恭央さん
審査員の声:地方議会の議事録というオープンデータを使ったうまい活用例。シンプルでわかりやすいサービスで、議会への関心アップに貢献した。
スポンサー賞
CiP協議会賞
ルヴァンカップ決勝(360°自由視点映像実証実験)
日本プロサッカーリーグ、キャノン
評:スポーツ観戦コンテンツの新たな可能性を示し、2020東京オリパラ大会に向けて、その応用が期待される。
副賞はクルン(360°歯ブラシ)。
融合研究所賞
除雪車情報のwebAPIによる公開と通れる雪道MAPの開発
会津若松市、トヨタIT開発センター、CODE for AIZU、会津大学、デザイニウム
評:雪国のニーズを反映し、データ保有者側とサービス開発者側がうまく連携、新たなサービスモデルを提示した。
副賞は伊達ウィスキーとシャーのマグカップ。(Data ShareをもじってDate とSharらしい)
ニューメディアリスク協会賞
神戸市・バルセロナ市連携World Data Viz Challenge 2016
神戸市
評:海外姉妹都市と連携したデータ活用ワークショップ開催は斬新で、データアカデミーなど神戸市その他の取組との相乗効果も期待でき、他都市の模範となる。
ぼくのコメントです。
勝手表彰の最優秀賞、1年目は鯖江市。2年目はオープンデータの地域連合。3年目は東京メトロ、公益企業。4年目は静岡市とトヨタ、自治体と民間企業のセットでした。
そろそろ政府が取るかな、と思っていたら、立法府が当選。驚きましたが、順当です。優秀賞にも国会議員が入りました。
想定を超えて広がりをみせるオープンデータ。法律や国会の後ろ盾も得て、新しい局面に入ったということでしょう。政産官学連携でオープンデータ大国の道を歩みましょう。
受賞者のみなさまにはおめでとうと言うべきところ、毎年申し上げているが、これは勝手に表彰させていただいているので、受賞されたみなさま、受賞してくださってどうもありがとう。
編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2017年7月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。