ふーん、どうなんでしょうかね。「たかが木端議員が余計なことを“外野の外野”から抜かしおって」って感じなのか、それとも「安倍君、よくぞ言ってくれた」ってところなのか。千代田区大手町1-7-1にある野球界「奥ノ院」にお住まいの大御所様の反応が知りたいところです。
【プロ野球16球団に拡大を 自民が提言、地域活性化狙う】
政府の成長戦略に対する自民党の提言で、地域活性化策の一環として、プロ野球のチーム数を現在の12球団から16球団に拡大する構想を打ち出すことが22日分かった。静岡県、北信越、四国、沖縄県といった球団の本拠地がない地域を例示し、政府に支援策の検討を求めた。(産経ニュース 14年5月22日)
東洋経済オンラインで連載中の「野球イノベーション」の仕掛け人の小生としては、このニュースが同オンライン編集長の移籍先で話題のニュースピック界隈とか、堀潤さんの「モーニングCROSS」界隈といった、ウェブ上で結構話題になっているところを見ると、野球の注目度がまだまだあるんだって嬉しい反面、球団の拡大先として提言された地域の多くの市場規模を考えると、野球よりスモール経営のJリーグですら、クラブの経営危機が頻発しているわけですから、そう一筋縄で行く話じゃないと思うんですよね。
いや、もちろん、提言があきらかに丸パクリしている二宮構想の「セ・パ両リーグを各8球団とし、東西に地区を分け、計4グループの1位がプレーオフで日本一を争う」(日刊スポーツより)というのには魅力は感じますよ。競技人口の縮小、若い世代の野球観戦離れといった「おやじスポーツ化」する今の野球界の課題については「野球イノベーション」の第1回でも取り上げたとおりで、地方にフロンティアを求めて市場のパイを大きくしていこうとする意欲は絶対に必要です。
ただしですね。この自民党の日本経済再生本部会議のセンセたちは、連載で取り上げた課題であるとか、地方弱小Jクラブの惨状とか、スポーツビジネスの本質的な理解をちゃんとしているんでしょうかね。いまの30代以下の世代、特に首都圏在住者あたりだと「キャッチボールはやったことないが、会社の同僚と楽しむ週末スポーツはフットサルなんだよね」的な若者が多数派になっている現状なんかを肌感覚レベルでも分かっているのかも怪しい。だってセンセたちの選挙を支援していたり、普段接したりしている世代の人たちって、リアルタイムで長嶋茂雄選手の活躍に胸を躍らせた方々ばっかりだろうから、ご自身のスポーツ観や野球観がちゃんとアップデートされているのか、所詮オヤジ感覚での思いつきなんじゃないかと危惧しております。
まかりまちがっても、実効性が危ぶまれているアベノミクスの成長戦略のイメージ回復を図ろうと、「3本目の矢はちゃんとあるんだからね、ほれ」とマスコミ向けにぶっ放すパフォーマンスとして、プロ野球の注目度を利用するだけなら、大概にしていただきたいものです。くれぐれも、センセたちが神輿の上に担ぎ上げている総理が、大御所様にホテルオークラの某レストランまで呼びつけられて説教されるなんてことがないのか、ドキがムネムネする今日この頃です。
ではでは。
新田 哲史
Q branch
広報コンサルタント/コラムニスト
個人ブログ