25年で1本のみ!都議会の議員提案条例、どうすれば増やせるか

上田 令子

昨日(8月8日)、新任期初めての本会議が開かれ、正副議長や各種委員など、議会内での役職が決まりました。

新しい都議会議長には、都民ファーストの会の都議団長である尾崎大介議員(4期・北多摩3区選出)が選ばれました。

お姐は、都庁の心臓部と循環器系をつかさどる財務局、主税局、会計管理局、収用委員会事務局を所管する財政委員会に所属することになりました。財政健全化に加えて、癒着の温床とされる「入札」にも厳しく切り込んでまいる所存です。

都民ファースト@財政委員のメンバー:尾島委員、清水委員、石川副委員長、増田理事、お姐(理事)、藤井委員

私たち都民ファーストの会の都議会改革提案

さて、先月の都議会議員選挙で、私たち都民ファーストの会は自民党中心ドン支配の古い都議会から「忖度だらけの都議会を新しく」と都議会改革・刷新を基本政策の第一に掲げて、55名の仲間と都議会第一党の議席を得ました。

都民ファーストの会の14の基本政策では、以下の12の条例の制定を掲げました。その多くを、議員提案での成立を目指しています。

・議会改革条例
・公文書管理条例(本年6月議会で制定)
・「不当口利き」禁止条例
・待機児童解消条例
・学び舎作り推進条例
・災害対策強化条例
・健康長寿社会推進条例
・ライフ・ワーク・バランス確立推進条例
・国際金融都市推進条例
・東京五輪経費透明化条例
・東京都契約適正化委員会設置条例
・受動喫煙防止条例(子どもを受動喫煙から守る条例)

古い都議会の実態は?

最新の議会改革度調査ランキング(早稲田大学マニフェスト研究所)でも47都道府県中、東京都議会は36位に留まっています。

特に、都議からの政策提言の低調さを顕著に示すものとして、議員提案の政策条例が極めて少ないことが、挙げられます。近年、都議会では、知事提案の議案はほとんどが原案可決されてきた半面、過去25年間で政策関連の議員提案条例(政策条例)の成立は1本のみしかありません。

前任期において、都民生活に関わる政策条例案は、は平成25年1件、26年2件、27年3件、28年3件、29年2件(議会基本条例案を含む)が提案されています(お姐政調調べ)が、4年間合計11件すべてが否決か廃案となっています。

これを「都議会議員は仕事をしていない、怠慢だ」と批判されることがあります。ただ、お姐の1期目の経験からすると、問題はそう簡単ではない、と思うようになりました。

今まで都議会では、政策提言・政策論争が低調で、結論ありきの議事ではないかと指摘されてきました。お姐も1期目4年間、つくづくと実感し、議員1人でもできることとして、質問・質疑を積み重ね、行政に政策提言を進め、政策実現を図ってきました。

一方、都議会には、憲法第93条、94条に基づく地方自治法によって、知事の提案を待たなくても自ら条例を制定できる権限が与えられています。ただ、提案できるのは委員会か、定数の12分の1以上(都議会であれば、11名以上)の議員でなければならないとされています。この人数制限が多いか少ないかは議論が分かれるところですが、法律の理念として、条例の議員提案は議会というチームとして取り組むべきものとされているのです。

今までの都議会は、チームプレーがとても下手だった結果、議員提案が極めて低調であったと思うのです。

チームプレーは公明正大に行われなければ、ゲームは成り立ちません。そのゲームの場こそ、都議会の議場なのです。ところが、都議会には可決ありきでしか、知事提出議案が上程されてこなかったのです。都庁官僚は無傷で議案が可決されることを目指しています。質疑がされることをできる限り避けようとします。質疑が出る前には、「答弁調整」の名のもとに、議員から質疑の内容を聞き出し、遺漏なきよう答弁をまとめ、時に質疑の内容の変更や取り下げを迫ります。さらに、質問作成まで、都庁官僚に依頼した都議までいたとされています。

これを禁止したのは、小池知事の英断でした。

このような都議会の風土の中では、自ら進んで議員提案するのより、水面下の都庁官僚との調整の中で、自分と支援団体の利害を都庁官僚に「忖度」してもらい、知事提案や都の施策に反映してもらおうとし、そのために議場外で職員にお願いをし、時に怒鳴りつけることこそが「都議の仕事」と勘違いした議員が量産され、都政がブラックボックス化していったのでした。

このように、議場での政策提案・政策論争の低調さとドン支配による「ブラックボックス」は、「ドン」と「ヌエ(官僚制)」のもたれ合いの結果、生じたもので、裏と表の関係にあるのです。

その結果、それぞれの提案・要求は公の議場で議論される以前に都民の目が届かない「ブラックボックス」で事前に処理されて、都議会は知事や都庁官僚の提案を「追認するだけの機関」となり、知事や都庁官僚は都議の要求を「追認するだけの機関」になっていったのでした。

議員提案を進めていくにはどうすればよいのか?

知事と都議会が、お互いを「追認するだけの機関」するだけの現状を脱し、都民の期待に応えてくために、都議会は自ら詮索提言力、政策実現力を高めていかなければなりません。そのための大きな武器が、議員提案権なのです。

議員や会派どうしの切磋琢磨によって都議会全体の議会力を高め、活性化し、知事らの行政部局との「善政競争」につなげていかなければなりません。議会と行政部局、お互いが都民の期待を受けて、競い合い、具体的に政策を実現していかない限り、都政への信頼は獲得できないでしょう。

先に述べたとおり、前任期の都議会では、政策条例案は、4年間合計11件が提案されたものの、すべてが否決か廃案となっています。

お姐の都議会本会議での初登壇となった、平成25年第3回定例会、平成25年10月11日の本会議の討論(リンク先動画の0:36:03~)では、日本共産党提案の(東京都保育所建設用地取得費補助条例案)が議題になり、次のように意見を述べました。

〇五十一番(上田令子君) 私、上田令子は、≪中略≫第百六十三号議案から第百八十号議案までの知事提出議案に賛成し、議員提出議案第十五号議案について反対する立場から討論を行います。
≪中略≫
最後に、議員提出議案第十五号議案(東京都保育所建設用地取得費補助条例案)についてです。
本年六月、厚労省において、地方自治体に対しでき得る限りの支援策を講じる、待機児童解消加速化プランが示され、東京都においても、実効性のある待機児童対策を国に七月、緊急要望を出したところであります。

長年にわたる首都圏の保育所不足は深刻な問題となっており、≪中略≫女性の社会進出支援へ向けての保育所整備は、≪中略≫うたっているところです。

また、我々は、民でできることは民でという≪中略≫方針も持っております。民間よりも補助制度が整っている社会福祉法人格を一朝一夕には取得できないゆがんだ福祉市場が現実にある中で、保育の質の担保を大前提としながら、現代社会を生きる都民のライフスタイルに即した待機児童解消のため、積極的に株式会社やNPOなどの民間力の参入を提唱しております。

確かに、本議案提案理由の保育所整備の促進を図るという趣旨は理解はできるものの、長引く不況を脱し切れていない中、都民の税金を使い、土地購入の補助を行うものであること、民間事業者を排除して、その対象を区市町村と社会福祉法人に限定していることに違和感を覚えます。しかるに、この議員提出議案第十五号議案には、議員提案条例を積極的に研究している提案議員の尽力に敬意を表しつつも反対をするものであります。

この条例案は、共産党単独の提案でした。待機児童を減らすため、認可保育所の用地の確保を目指すものでしたが、単独提案の結果、都民や都政関係者に特定の支援団体へのアピールの色彩が強く見えてしまうとしたら、折角の条例案の問題提起が無に帰すことになり兼ねません。

もし、待機児童について問題提起し、議論を深めていこうとするのだったら、共産党以外の会派にも呼び掛けて、事例や知恵を出し合って、具体案を作っていけばよかったと思います。そこで、「議員提案条例を積極的に研究している提案議員の尽力に敬意を表しつつも反対をする」との結論に至ったのでした。

実際、その後、前任期中、一度も共産党からこの種の条例案は提案されることはありませんでした。

次に今年の第2回定例会においては、共産党単独提案の東京都シルバーパス条例の一部を改正する条例案に加えて、
東京改革議員団(民進党)と生活者ネットワークの共同提案の東京都議会基本条例案の2つの議員提案条例が議論されました。
お姐の前任期最後の本会議登壇となった、6月7日の本会議の討論(リンク先動画の0:55:03~)では、この2つの議員提案条例について、都民ファーストの会を代表して、以下のように意見を述べました。

○二十七番(上田令子君) 都民ファーストの会東京都議団を代表し、小池百合子知事提出の全議案に賛成、議員提出議案第4号(東京都シルバーパス条例の一部を改正する条例)に反対する立場から、討論を行います。
≪中略≫
議員提出議案第4号シルバーパス条例の一部を改正する条例であります。私どもの昨年の決算審査において、平成19年度からこれまで、福祉保健費が平均して、4.42%増加し続けており、景気変動の影響を受けやすく、極めて不安定な形で増減を繰り返す法人二税と福祉保健費が2028年にはほぼ同額となり、都税収入の34.8%を占める法人二税で、福祉費用が賄えなくなってしまうのかもしれないことを指摘しました。

このような財政状況を鑑みますと拙速な判断はしかね、継続した審議を求めましたが否決をされましたことから、議会運営上やむなく賛否を問われ反対という判断をさせていただきました。7月の改選を経て東京大改革のもとの新しい都政において、日暮里舎人ライナー、多摩都市モノレール、ゆりかもめの利用をしたい健康な高齢者需要と中長期的な財政予測を鑑み引き続き検討検証を重ねてまいります。

最後に、議員提出議案第10号「東京都議会基本条例」についてです。条例研究をされ、議員提案された各位には敬意を表しますが、議会改革は各会派が一致して、取り組まなければならないことは、法政大の廣瀬克哉教授をはじめ指摘するところです。今任期では、都議会のあり方検討会が設置されたものの、少数会派が加われず、旧態依然とした都議会制度・慣習の改革について前進が見られなかったことは、極めて遺憾です。

来期においては、オール都議会にて議会基本条例の制定を含め、実効性を伴う都議会改革が都民とともに検討され、具体的に実現していくことを切望し、引き続きの課題とすべきと申し添えます。

シルバーパス条例は否決、議会基本条例については任期満了により廃案になりました。
共産党提案のシルバーパス条例は、選挙を前に支持者向けアピールとして否決されることを織り込み済みで、財源に配慮せずに提案されたことが他会派から指摘されました。いわゆる「バラマキ条例」と批判されては、本来の問題提起が議会全体で共有できないことが危惧されます。

平成25年の都議選で共産党は17議席を得て、単独での議員提案権を獲得し、その結果として、前任期における政策条例の議員提案数は2ケタになりましたが、これらは共産党単独提案で、支持者向けのアピールに受け取られかねないものでした。

また、民進党・生活者ネットが共同提案した東京都議会基本条例案は、議会改革を進めるべく設置された前任期の都議会のあり方検討会が機能停止した後、任期期最後の議会に駆け込み的に提案されたものです。次の任期の都議会への問題提起とする提案意図は読み取れますが、必ずしも他会派にも呼び掛けて議論を深め、条例成立を目指す時間的猶予は、残念ながらありませんでした。

実効性のある条例議員提案のために何が必要か?

議員提案の政策条例案は、残念ながら、財源の裏付けや実効性が担保されず、提案会派の支持者向けパフォーマンス、もっというと、議員の自己満足に過ぎないようなものが見られるとのご指摘を、往々にして都政関係者や研究者から受けます。このご指摘は、都議会のメンバーの一人であるお姐としても、しかと受け止めなければいけません。このような側面は否めず、前任期の議員提案の政策条例案は、そのすべてが否決・廃案となってしまいました。

これらの議員提案は、都議会の議論の活性化につながったとの評価もありますが、都議として都民から負託を受け、税金を使って議論している以上、都民に具体的な成果をもって実効的な政策として還元されなければならなのは、当然のことです。

都民ファーストの会の基本政策にある12の条例案は、極めて具体的かつ実効的な政策の実現んを目指しています。

ただ、行政部局と議会の間には、圧倒的な情報格差(情報の非対称性)があります。
都議会の慣例では、議員提案議案に関する責任は、提出会派が持つものとされ、議会局(議事部議案法制課)は法制面でのチェック(現行法・条例との整合性や法律用語・文法の確認)に留まっていました。

これまでのような問題提起・パフォーマンス的な条例提案にとどまるときには、それでよかったのかも知れませんし、その政治的意義は認めるところです。

また、議会局としても本格的な政策条例の議員提案のサポート経験は、まだまだ少ないといってよいでしょう。議会局にも経験を積んでもらい、立法技術を研鑚し、蓄積していく必要があります。

今後、実際に行政部局と向き合い「善政競争」に向け、具体的で実効性をもった政策条例を立案し、成立させていく上では、議員側の情報収集・分析機能が強化される必要性をひしひしと感じています。

そのために、必要なこととは何でしょうか。

例えば、日本の国会においては、議員提案のため衆参両院に以下のようなサポートがあります。

(1)議院法制局の設置
(2)立法事務費(議員1人当たり月額65万円)の会派への支給
(3)委員会調査室国立国会図書館の設置
(4)政策担当秘書の国費による採用

(1)の議院法制局は行政(内閣)から独立して衆議院・参議院に設置され、議員提案の立案に向けた情報提供やアドバイスから法律としての整合性の審査、法案審議にあたっての提案理由の説明や答弁のサポートまで行っています。都議会で議院法制局にあたるものとして、議会局に議事部議案法制課があります。

ところが、慣例により、議員提案議案に関する責任は、提出会派が持つものとされ、議案法制課は法制面での現行法・条例との整合性や法律用語・文法の確認を主として行い、議院法制局のように立案から答弁までをサポートする体制にはありません。

(2)の立法事務費にあたるものとして、都議会では会派に議員1人当たり50万円が支給されています。ここから、専門のスタッフを雇ったり、専門家・研究者に意見を求めたり、シンクタンクのような研究機関に調査を依頼することも可能です。(国会の場合、領収書は不要で具体的な使途は公開されませんが、都議会では1円から領収書の提出が義務付けられ誰でも使途を知ることができます。)

(3)の委員会調査室は常任・特別委員会にそれぞれ設置され、委員会の所管事項の情報収集と委員への提供、委員からの問い合わせや調査依頼に応じています。委員会調査室には所管官庁からの出向者が多いとの指摘がありますが、委員会それぞれが独自の調査部門を持っており、各省庁とも連携しているのです。都議会には、各委員会に書記が置かれていますが、委員会の運営補佐と速記録の作成などの庶務をしており、委員会独自の調査部門はありません、議会局調査部調査情報課がありますが、実際に調査を依頼してみると、必ずしも使い勝手の良いものではなく、機能の向上が望まれます。議員提案を専門にサポートする職員はいません。

国立国会図書館は、立法行為を補佐することを第一の目的とする議会図書館とされています。同時に、日本で唯一の国立図書館として、納本制度により、日本国内で出版されたすべての出版物を収集・保存しています。調査及び立法考査局が置かれ、国会議員等からの依頼に基づいて行う調査(依頼調査)と、依頼を予測してあらかじめ行う調査(予測調査)の立法調査業務を行っています。都議会には地方自治法に基づき都議会図書館が設置され、文献や資料を収集・保存し、議員に提供しています。都立図書館など他の図書館の資料を取り寄せることも出来ます。ただ、国会図書館のような立法を専門にサポートする部門は置かれていません。

(4)の政策担当秘書は、国会議員におかれる3名の公設秘書の1人で、主として政策立案及び立法活動を補佐する秘書とされています。給与等は国費により賄われます。都議会議員に公設秘書制度はありません。必要があれば、政務活動費か自費で秘書やスタッフを雇うことになります。

以上、見てきたように、都議会で政策条例を議員提案で取り組んでいく上では、制度面でも運用面でも大きな課題があります。

大きく分けると、次の4点になると思います。
(1)議案法制課を中心とする議会局の議員提案のサポート機能の強化
(2)調査部調査情報課・都議会図書館による調査機能の強化
(3)行政部局による議員提案への協力体制の確立(情報格差の解消)
(4)各会派の政調会の議員提案サポート体制の強化と会派間の連携

これらの4点は、別々のものではなく、一体のものとして取り組む必要があります。

特に(1)の議案法制課については、慣例により会派で作成した原案に対する法制面でのチェックなどの立案補助に限られる運用がされてきましたが、東京都議会局組織規程第12条では、議会局議事部議案保法制課の分掌事務として「二 議員提出議案の立案及び審査に関すること。」と定めています。議案法制課は、国会の議院法制局と同じように、議員・会派が議員提案をしようとするとき、「審査」のみではなく「立案」にも関わるとされけているのが、本来なのです。

条例案の作成には、「何が問題でいかにして解決していくのか?」という情報収集・分析と問題意識の共有から始まり(立法事実の確認)、現行の法律や条例・制度やその運用で解決できないかの確認、法に適合した解決手法の確立、条例案要綱の作成、条例の条文化、法制面のチェック、議会への提案、上程、趣旨説明、委員会付託、委員会審査(答弁体制の確保)、委員会採決、本会議採決、成立後の諸規則の制定といくつもの段階を経ていき、具体的に政策として実現されます。

この各段階とも、議員・会派が主体となって進められるのが議員提案条例ですが、議員だけで進められるものではなく、連携や協力が必要不可欠であり、そのための体制を整える必要があると思います。

今まで、都議会では議員提案条例案は、提案会派が案文ができた段階で、案文を各会派に持って回り、「提案議員になってもらえませんか」、「せめて賛成してもらえませんか」と呼びかけるのが通例でした。実際、多くの地方議会がこのような状況です。

けれども、今任期の都議会は、過半数を制している会派はありません。議員提案をしたとしても、2つ以上の会派が賛成しなければ、可決・成立はしないのです。

その点において、本気で可決・成立を目指して条例案を議員提案をしようとするなら、(4)の各会派の政調会の議員提案サポート体制の強化とともに、会派間の連携が、案文化の前の段階から問題意識を共有していかなければならなくなるでしょう。

このようなプロセスを経て、議員提案の政策条例が可決・成立すれば、旧態依然とした都議会は、新たなステージを迎えることになるのだと思います。

都民ファーストの会の12の条例の議員提案へのチャレンジに向け、新任期開始以降、チームお姐では、上のような問題意識のもと、具体的に何が必要か、検討を重ねてきました。

幸い、チームお姐政調には、法律事務所のパラリーガル、行政書士、法務担当の元自治体職員、ファイナンスNBA、政治学修士、教育評論家など、多彩で自治体政策、特に議員提案条例に造詣の深いメンバーに恵まれてきました。

彼らとともに、議員提案の政策条例づくりを進めるにあたり、議会改革条例が成立するまでの間、当面、必要なことを「議員提案等の支援の促進に関する条例(お姐私案)」にまとめましたので、ここに一挙掲載いたします。

****************
○議員提案等の支援の促進に関する条例(お姐私案)
(略称:議員提案促進条例)

(趣旨)
第一条 この条例は、都民の福祉の向上を図るため、議会に付与された重要な権限である議案の議員提案権及び委員会提案権の行使に関し、その促進と実効性の向上のため、当分の間、必要な事項を定めるものとする。
2 議員提案等に関しこの条例に規定する事項について、他の条例及び東京都議会会議規則(昭和三一年九月二一日議決)に特別の定めがある場合は、その定めるところによる。

(定義)
第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 執行機関等 知事、教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会、監査委員、公安委員会、労働委員会、収用委員会、海区漁業調整委員会、内水面漁場管理委員会、固定資産評価審査委員会、公営企業管理者、警視総監、消防総監並びに都が設立した地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。)
二 会派等 東京都議会における会派(所属議員が一人の場合を含む。)又は議員提案等に向けた会派の連合体のうち、法第百十二条第二項に定める議員数を満たすもの
三 委員会提案 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号。以下、「法」という。)第百九条第六項に基づく議案の提出
四 議員提案等 法第百十二条第二項に基づく議案の提出

(基本理念)
第三条 議会及び議員は、憲法第九三条に定める二元代表制の下、その役割を適切に果たすことができるよう、議会の自主性及び自立性を高め、その機能を発揮することにより、議会自らが、改革の方向性を明確にし、議会の機能を拡充するとともに、開かれた議会にすることで、都民の信頼を得ることが重要であると認識し、立法機能を積極的に進めるにあたり、議員提案等を活用し実効性をもって促進するため、必要な事項を定め、これを推進する。
2 議会は、議事機関として議員提案による条例の制定又は改廃、議案の修正、決議等を通じて、政策立案等を積極的に行うものとする。
3 議会は、議員提案等により条例を制定し、又は改廃しようとするときは、議員相互間で十分に討議し、合意形成を図るとともに、予算措置を含め各条項に関し知事等関係機関の意見を聴取するよう努めるものとする。特に、条例に罰則を設ける場合には取締を実施する機関に理解を求め、綿密な協議を行うものとする。
4 執行機関及び議会局は、この条例の趣旨を十分に尊重し、会派等及び議員の求めに応じ議員提案等を行う上で必要な情報提供・助言等により、隠し事をせず、真摯、公正かつ積極的に支援を行わなければならない。

(議会の責務・役割)
第四条 議会は、第二条に則り議員提案等が促進されるよう、必要な措置を講じるものとする。
2 議会は、議会の政策立案能力を向上させ、議員提案等を全体の課題として円滑かつ効率的に行うため、議会局の機能の強化及び組織体制の整備を図るものとする。
3 議会は、前二項に則り、議員及び会派等の議員提案等のための調査研究に資するために議会図書館を適正に管理し、運営するとともに、その機能の強化に努め、執行機関に必要な情報の提供を求めるものとする。また、必要に応じ、専門的な知識経験等を有する者を任期を定めて議会局職員として採用する等議会局の体制の充実を図ることができる。
4 常任委員会又は特別委員会は、それぞれの設置目的に応じ、所管事項に関し、委員会提案の必要な事項の有無を調査し、議長に報告するものとする。

(議員の責務・役割)
第五条 議員は、第二条に則り議員提案等が促進されるよう努め、議員提案等にあたり、地域の課題のみならず、都政の課題とこれに対する都民の意向を的確に把握し、合議制の機関である議会を構成する一員として、都民の負託にこたえるものとする。
2 議員は、議員提案等のため、日常の調査及び研修活動を通じて自らの資質の向上に努め、調査研究のため、積極的に議会図書室を利用するものとする。
(会派等の責務・役割)
第六条 会派等は、議員が前条に規定する責務を果たすために行う活動を推進し、支援するものとする。2 会派等は、都民の意向を議員提案等に反映することができるよう、広く都民に意見を求め、都民に参画する機会の確保に努めるものとする。
3 会派等は、議員提案を進めるにあたり、記録を積極的に保存し、都民に多様な媒体を用いて情報提供するよう、努めなければならない。
4 会派等は、議員提案を進めるにあたり、必要な専門的事項に係る調査を学識経験を有する者、研究機関等にさせることができる。

(職員の責務・役割)
第七条 職員は、委員会提案及び議員提案等の都政における重要性を認識するとともに、委員会提案及び議員提案等の対する理解を深め、その案の実効性を高めるべく、積極的な支援に努めなければならない。

(執行機関等による議員提案等の支援)
第八条 会派等が議員提案等を進めるにあたり執行機関等の保有情報や知見の提供を受けようとするときには、議長を通じて、執行機関等に求めなければならない。
2 執行機関等は、提供できる保有情報のリストを作成しておくものとする。
3 執行機関等は、第一項による求めがあった場合においては、当該会派等に対し保有情報のリストを提示するとともに、必要な場合は、当該リストの中から、必要な保有情報又は保有情報の写しを提供するものとする。ただし、当該保有情報に提供できない情報が含まれているときは、この限りでない。
4 執行機関等は、会派等から保有情報の内容について説明を求められた場合については、職員に保有情報の内容について説明させるものとする。

(議員提案等に係る費用)
第九条 保有情報の提供及び保有情報の写しの提供に当たっては、実費を徴収するものとし、その額は東京都情報公開条例(平成一一年三月一九日条例第五号)第十七条及び第十七条の二の規定を準用する。
2 議員提案等に係る経費は、法第百条第十四項及び東京都政務活動費の交付に関する条例(平成一三年三月三〇日条例第二四号)に基づき、会派等の判断により、政務活動費を充当することができる。

(委任)
第十条 別に条例に規定するもののほか、この条例の施行について必要な事項は、議長が定める。

附則
この条例は、平成二十九年十月一日から施行する。
この条例は、平成三十三年七月二十二日に限り、失効する。
<議会改革条例に向けた当面の措置とするため。>

(提案理由)
「議会改革条例」の制定に先駆けて、都民の福祉の向上を図るため、議会に付与された重要な権限である議案の議員提案権及び委員会提案権の行使に関し、その促進と実効性の向上のため、当分の間、必要な事項を定めるものとして、本条例案を提案する。
都民ファーストの会は、先の都議会議員選挙において、「(1)議員公用車の廃止」「(2)政務活動費による飲食の禁止」「(3)議会改革条例の作成」を掲げた。
(1)、(2)を挙げた理由として「都議会のあしき習慣を一掃し、議員自らが身を切る改革を貫徹する。選挙後100日以内に廃止、禁止する」と期限を決めて求めている。
(3)についても、早急に取り組むべきものであるが、議会の根幹にかかわる新規条例であり、議論には各会派に加え、都民の意見反映などを広範に踏まえることが必要であり、相応の期間が要することが予想される。
都議会で過去25年間、政策的な議員提案条例が1本しか成立しておらず、立法機能を放棄してきたと言わざるを得ない。議会改革度ランキングでは47都道府県議会で43位とされている。
この停滞を打破するため、議会自らが、改革の方向性を明確にし、議会の機能を拡充するとともに、開かれた議会にすることは、都民の信頼を得ることが重要であり、都民ファーストの会は議会改革の第一歩として、12の議員提案条例案を公約し、提案に向け、検討を進めているが、各会派の協力を得て、ともにこれを促進するため、本条例案を提案する。

【お姐総括!】
条例は、都民の命や生活、私有財産を守る約束事。
条例はあくまで手段、制定を目的化してはならじ!

本日、四年間泣き笑いしてきた旧執務室を卒業。政治は常にに波乱万丈!おごらず腐らずお姐しく過ごさせてくれたお部屋に感謝です!

☆お姐、いよいよ花のお江戸の世直し第2章が始まったな!常に地域に寄り添い平常心でゆけ!☆

上田令子 プロフィール

東京都議会議員(江戸川区選出)、都議会会派「都民ファーストの会 東京都議団」、地域政党「都民ファーストの会」所属、
白百合女子大学を卒業後、ナショナルライフ保険(現ING生命)入社後、以降数社を経て、起業も。2007年統一地方選挙にて江戸川区議会議員初当選。2期目江戸川区議会史上最高記録、2011年統一地方選挙東京都の候補全員の中で最多得票の1万2千票のトップ当選。2013年東京都議会議員選挙初当選。2014年11月地域政党「自由を守る会」を設立し、代表に就任。2015年3月地域政党サミット(全国地域政党連絡協議会)を設立し、副代表に就任。2017年1月都議会会派「都民ファーストの会 東京都議団」を発足し、地域政党「都民ファーストの会」に所属。

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