【映画評】スパイダーマン:ホームカミング

渡 まち子

©Marvel Studios 2017. ©2017 CTMG. All Rights Reserved

スパイダーマンとして活動する15歳のピーター・パーカーは、部活動のノリでご近所の危機を救うヒーロー気取りの高校生。アイアンマンことトニー・スタークは、ピーターの才能を認めて新しいスーツを与え、本当のヒーローとして導こうとする。だが、ピーターはスタークに早く認めてもらいたくて、日々、NYの街を飛び回っては、スタークからの連絡を待っていた。そんなある日、巨大な翼を持った謎の怪物が出現。ピーターは自分の実力を示そうとするが、スタークから「アベンジャーズにまかせろ」と制止される。ピーターは忠告をきかずに怪物と闘おうとするが…。

史上最も若いスパイダーマンの新たな活躍と成長を描くヒーロー・アクション「スパイダーマン:ホームカミング」。スパイダーマンといえば、自らの強大な力と責任に悶々とする悩めるヒーローというイメージが定着していたが、新シリーズである本作の若きスパイダーマンは、イマドキで、ユーモラスで、軽快で、愛らしい。ヒーロー活動も、まるでアルバイトか部活動のような軽いノリ。しかも彼が頑張って活動するのは、憧れのトニー・スタークに認めてもらい、自分にも何か出来る!と証明したいからだ。そう、今回のスパイダーマンはまさに青春の真っただ中にいる。

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副題のホームカミングとは、高校の同窓会イベントのこと。そしてリブートとして戻ってきたスパイダーマンの懐かしき“帰郷”でもある。全米学力コンテストに参加するグループで一緒の美少女への淡い恋心、オタク少年との友情、何気ないけれどかけがえのない学園生活などに多くの時間が割かれるが、それこそが、新スパイダーマンを身近に感じるための大切な下ごしらえだ。メインディッシュは、もちろんド派手なアクションシーン。NYの街を軽々と飛翔するおなじみのシーンの爽快さはもちろん、真っ二つに裂けたフェリーを繋ぎとめる場面では、見ているこちらの手にも力が入る。さらにマイケル・キートンが怪演する翼の怪物バルチャーとのバトルは大きな見所だ。スパイダーマンは、やっぱり愛すべき“ご近所のヒーロー”だ。まだ表情に幼さが残る若手俳優トム・ホランドのフレッシュな魅力が、スパイダーマンに新鮮な息吹を吹き込んでくれた。次回作にも大いに期待!である。
【80点】
(原題「SPIDER-MAN:HOMECOMING」)
(アメリカ/ジョン・ワッツ監督/トム・ホランド、マイケル・キートン、ジョン・ファヴロー、他)
(青春映画度:★★★★☆)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2017年8月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。