人は不正で得た金をどこに隠すか --- 長谷川 良

アゴラ

日本のメディアによると、江戸時代の伊勢商人、旧長谷川邸の蔵から享保11(1726)年発行の大判金、慶長6(1601)年発行の慶長小判など54点が見つかったという。当方がまだ日本に住んでいた1960、70年代にはこの種のニュースは結構頻繁に報じられていたという印象があるが、最近はまったく聞かなくなっていた。


そのように考えていた矢先、大紀元日本語版(5月29日付)が「中国共産党幹部の腐敗汚職問題に関連して、腐敗幹部たちが不正に得たカネをどこに隠すか」という興味深いテーマの記事を掲載していた。腐敗党幹部たちが不正で得た金の隠し場所として8か所挙げられている。腐敗党幹部たちは、「盗まれるのが怖くで様々な方法でカネを隔したり、処分したりしている」というのだ。

以下、大紀元が掲載した、腐敗党幹部が不正なカネを隠すベスト8カ所だ。

 1. 2000万元(約3億2000万円)が特殊油紙に包まれ、池に沈められる
 2. 10億元(160億円)のカネを貯蔵するための倉庫として不動産を購入する
 3. プラスチック製のくずで埋める
 4. 数十万元を田んぼに埋める
 5. カネを貯蔵するため、ガスタンクを購入し、中に貯蔵する
 6. プラスチック製の袋に包み、空洞のある樹の元へ隠す
 7. 屋根の瓦の下に敷き詰めて隠す
 8. 穴を掘り土の中に埋める

これをみると、中国の腐敗幹部たちが不正で得たカネの隔し場所で苦心していることがよく分かる。興味深い点は、隔すために「土の中」などに“埋める”のが結構多いことだ。江戸時代の話ではない。21世紀に生きる人間の不正なカネの隠し場所だ。人はひょっとしたら「隠す」という行動では進化していないのかもしれない。

話は少し飛ぶが、世界の富豪たちはスイスの銀行に隠し口座を持つ例が多い。タックスヘイブンだ。スイスの銀行は久しく世界の富豪たちの海外資金の隠し場所だったが、米国や欧州連合(EU)がタックスヘイブンの撲滅に乗り出してきた。そこでスイス側は国際的批判を避けるために顧客の銀行機密を追及する関係当局者に提供するケースが増えてきている。

最近では、プロサッカー界で目下、世界一強いクラブと呼ばれているドイツのFCバイエルン・ミュンヘンのウリ・へーネス会長(辞任)が3月、スイスの銀行に隠し資金を保管していたとして2850万ユーロの脱税でミュンヘンの裁判所から3年半の有罪判決を受けたばかりだ。

不正で得たカネを「土の中」に埋めたり、スイスの銀行に隠し口座を開き、保管するなど、人々はさまざまな知恵を駆使して隠そうとする。

不正で得たカネを持たない大多数の人々はその言動をみて教訓を学ばなければならないだろう。不正で得たカネを持つ人はそのカネを盗まれるのではないかと怖くて眠れなくなるという。安眠したい人は不正なカネを得ようと腐心しないことだろう。

と、ここまで書いて「悪い奴ほどよく眠る」という言葉があるのを思い出した。不正で得たカネを隠し持ちながらよく眠る人がいるというのだ。そのような神経の太い人に対しては、神の審判に委ねる以外にないだろう。


編集部より:このブログは「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2014年5月31日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。