2003年に開設されたスウェーデンの検索サイト「パイレート・ベイ(The Pirate Bay、同国で閉鎖後、現在も別の組織によりセイシェルなどで運営されている)」というのがあり、スウェーデン司直は著作権侵害で開設者らに有罪判決を出していたようです。表題は、その中の一人、通称「Brokep」と呼ばれるPeter Sunde Kolmisoppiという男が国際手配されていたんだが、先日ようやくスウェーデン南部で逮捕された、という記事です。
サイト名は違えど、まだ同じドメインで残っているファイル共有サイトのトップページ
このサイト、ユーザーが保存している音楽や画像、動画ファイルへのリンクを張り、著作権者らから損害賠償請求され、裁判になっていた。別の開設者である通称「Anakata」ことGottfrid Svartholm Wargという男は2012年9月にカンボジアで身柄を拘束され、2013年11月になぜかデンマークへ身柄を送還されています。スウェーデンではこのサイトに限らず、ファイル共有の合法化を巡る議論が活発なようです。
ところで、よく「海賊盤」というんだが、これは日本固有の言葉です。著作権を侵犯する製品について、英語表現では「パイレート・エディション(Pirate Edition)」というのが一般的。日本ではレコードやCDをイメージする「盤」をつけた、というわけ。
ほかには「ブートレグ(Bootleg)」という言葉もあり、これはアーティストの未発表音源やライブ録音などを未許諾で違法してコピーして販売することです。日本における「海賊」は英語表現の「パイレート(Pirate)」からきているわけで、今回のお騒がせ「パイレート・ベイ」も言葉の意味から考えれば、何を目的にしたサイトか自明で、まさに確信犯でしょう。
ただ、サイト自体は実際にファイルを扱わず、あくまで個人間の「P2P」のやり取りが果たして違法かどうか、国際的にも議論になった事件でした。日本でも「Winny」など、いわゆる「ファイル交換ソフト」が問題になっている。著作権侵害という犯罪性はもちろん、ウィルス感染の危険性もあり、良い子が手を出してはいけません。
一方、スウェーデンを中心に欧米には「海賊党(Piratpartiet)」と呼ばれる政治政党まであります。この政党、欧州議会にも議席を持っているらしい。でもこれ、サイトでやれば、個室だけ貸して中の男女の関係はあくまで個人間の「恋愛」でしかない、という「お風呂屋さん」の言い逃れのようなもんです。
The Telegraph
Founder of Pirate Bay arrested in Sweden after two years on the run
ロンドンは美味しくなった?
クーリエ・ジャポンの現場から
五輪が開催されるなどバブルっぽい景気浮揚が影響したのか、英国の食事情はこの十数年でかなり変わってきた、と言われています。以前なら英国で美味しい料理を食べる、なんて夢のまた夢でしかなかった。共同取材などで英国へ行っても、止めろと言ってるのに同行記者が蛮勇から挑んだものの木っ端微塵になり、インド料理屋や中華料理屋にコソコソ逃げこむ姿をよくみたもんです。ロンドンで話題のイタリアンへ行ったことがあるんだが、同行のカメラマンがウェイターに「アルデンテでね、茹で過ぎないように」と口が酸っぱくなるほど頼んだのにもかかわらず、運ばれたスパゲティを一口食べるなり「アルデンテって言っただろう!」と温厚な仮面をかなぐり捨てて叫んだので驚かされました。例のフィッシュ・アンド・チップスにしてもフスマに似たオートミールにしても自慢げな肉料理にしても、どうしてこれだけ不味くできるのか不思議なほどです。この記事でも、こうした予想から食べてみたら「意外」に美味い、という程度。しかし、やはりロンドンあたりでは、さすがに少しずつ美味しい店が増えてきているのも事実なのかもしれません。懐疑的な人はチャレンジしてみてください。まあ、確かにハロッズのデパ地下にあるオイスターバーで食べた牡蠣は美味しかったです。生牡蠣が料理ならですが。
Six Feared Dead On US Mountain
CROOKS AND LIARS
米国ワシントン州にある標高4392メートルのレーニア山(Mt.Rainier)は、英国海軍の海将ピーター・レーニアから名前が取られた、と言われています。西海岸北部在住の日本人にとっては「タコマ富士」としても有名なこの山で、登山者6人が行方不明になっているらしい。登山がブームになり、日本でも遭難の報道が絶えません。この登山者らには二人の熟練ガイドがついていたそうなんだが、山を侮ってはいけません。
欧米での離婚の多さが一目瞭然!世界離婚率マップ
IRORIO
キリスト教国でもカトリックは離婚を禁じているんだが、あくまで宗教上の決まり事、夫婦関係の概念のようで、人間の実生活はどこの国でも融通無碍です。カトリック国でも法律上は離婚が可能。この地図をみてもスペインやポルトガルが真っ黒です。宗教上の話なので、離婚するかしないか、心理的にも離婚状態かどうか、あくまで個々人の気持ちの問題なんでしょう。イスラム圏で離婚が少ないのは、やはり離婚がしにくい法的環境と女性の権利の問題があるようです。
トップ立候補者による選挙キャンペーンは欧州議会選挙の投票率を上げたのか?
ブリュッセルの政治動向分析
なぜか日本のマスメディアは、欧州議会選挙についてあまり伝えていません。EUがどうなるのか、英国は離脱するのか、右派が伸びた理由はどこにあるか、米ロとの関係は……などなど、日本との関係も無視できない選挙結果です。この記事では、欧州議会選挙の投票率が低い理由について考えています。この投票率、EU加盟各国によってかなり違います。EU統合の歴史をひもとけば、ベネルクス三国の関税同盟にその発端を見ることができます。なので、EUではもともとベルギー、オランダ、ルクセンブルクの三国の位置が相対的に高い。EUの首都もベルギーのブリュッセルにある。三国の中でなぜベルギーなのか、といえば言語的なものや三国の力関係、オランダほど「強国」でもなく、ルクセンブルクほど小さくもない、地政学的な位置などが考えられます。投票率もベルギーやルクセンブルグが最も高い。ポーランドやチェコなど東欧諸国は低く20%前後という惨憺たるものです。これはどうしてなのか。選挙キャンペーンに理由があるらしいんだが、EU加盟による恩恵、という意味でいえば国民にそれが実感できず、伝わっていないのかもしれません。
アゴラ編集部:石田 雅彦