日本人は日本の文化にもっと自信を持って良い --- 内藤 忍

アゴラ

ニューヨークの楽しみの1つがグルメです。アメリカというと大味で、量が多いジャンクフードの国というイメージがありますが、ニューヨークに関して言えば、東京と並び、クオリティは極めて高く、バリエーション豊かです。何より、街の空気を反映しているせいか、自由で破天荒なレストランが多く、東京よりも半歩先を行っているイメージがあります。


資産デザイン研究所メールでは、いつも日本のレストランばかりを紹介しているのですが、今週金曜日の配信分では、ニューヨークのお店を複数ご紹介しようと思っています。

実験的なお店や、オーガニックなお店など色々行ってみましたが、そこで感じたことは日本の食文化が大きな影響を与えていることです。

元々、お寿司は既にニューヨークだけではなく全世界で大人気ですし、最近ではラーメンも流行しているようですが、ファストフードのお店だけではなく、高級レストランでも「和食」の影響がとても強く出ていることを感じました。

例えば、前菜に「Kobe Beef Slider」という和牛を使った一品があったり、あるいはスープがコンソメスープではなく、そうめんのおつゆのようなダシの効いたものであったり、茶わん蒸しのような料理があったり・・・。枚挙すればキリがありません。昆布を使っているものや、ワサビ、醤油、味噌などが、和食のお店でもないのに当たり前のように入っているのです。

また、プレゼンテーションも和食からヒントを得ていることが、明らかにわかります。萩焼のような渋い和テイストの食器が使われている有名なレストランがありました。また、盛り付けが全体にシンプルで量が少なく、ヘルシー志向が強いところにも、影響を感じました。

アジアに行ったり、アメリカに行くと、日本の文化に対するリスペクトを強く感じます。

カンボジア、バングラデシュ、フィリピンなどでは、経済援助もあるとは思いますが、日本の文化や経済に対する憧れのような感情を持っていることを感じることがあります。また、アメリカにおいてもニューヨークのような最先端な都市でも日本の文化が大きな影響力を持っているのです。

日本国内では、財政赤字やら人口減少やらと問題山積で閉塞感を感じることばかりですが、海外から日本を見る目は、日本人のセルフイメージとは随分違うように思います。少なくとも文化に関しては、日本人が思っている以上に、世界から注目されているのです。

気のせいかもしれませんが、以前ニューヨークに来た時に比べ、現地で日本人に会う機会は随分減ったように思えます。レストランに行っても、日本人はおろか東洋人が他にいないということが珍しくないのです。

日本から外に飛び出し、外から日本を眺めてみる。そこからは、日本の中にいては見えない、別の世界があるはずです。そんな経験をする日本人が増えれば、日本や日本の文化に対して自信を持つ日本人がもっと増えるはずだと思いました。

編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2014年6月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。