ひと月前に『日本企業を志望しないグローバル人材』という記事を書いた。在学中に留学した学生(グローバル人材)は大企業よりも外資、あるいはベンチャー企業に流れてしまう。6月から採用活動を開始するという無意味な申し合わせが日本企業の採用に災いしているという内容であった。
日本経済新聞の電子版に『就活に有利なはずが 出遅れる留学組の悩み』という記事が出た。要約すると、グローバル人材も日本の大企業に就職することを希望しているが、採用日程が合わず断念せざるを得ないというものだ。
最初の記事もきっかけは日経電子版だったのだが、二つの記事を並べて読むと居心地が悪い。
グローバル人材も大企業への就職を希望しているが日程が合わないから外資やベンチャーに流れているのか。それとも国外の風に触れたグローバル人材は最初から日本の大企業などには関心がないのか。日本の大企業はグローバル人材を採用しようと思っているのか。それとも、6月中に採用枠を埋めることを優先しているのか。
新しい記事でも、後半には彼らの実力に期待してスカイプでの面接に対応したり、帰国後8月ごろに選考する企業があると実例が紹介されている。だから、二つの記事を総合すると、次のように読み取れるだろう。
日本の大企業にはグローバル人材を採用したいと考え、特別の選考方法を取る企業が存在する。一方で、ともかく採用枠を埋めることを優先している企業もあり、グローバル人材が希望してもかなわない。前者のような大企業は限られるから、グローバル人材の多くは外資やベンチャーに流れてしまう。
グローバル人材のみなさん。君たちの国際性に期待しないで従順に申し合わせを守ろうとする大企業に就職しようと考える必要はない。記事で紹介された「ウチではあなたの英語力をすぐには生かせない」と突き返す、まるまるドメスティックな企業に未来はない。日本の大企業なら柔軟な採用形態をとる企業を目指そう。それ以上に、外資やベンチャーの未来に挑もうではないか。