朝鮮半島の危機に天の「サイン」

長谷川 良

北朝鮮の水爆実験で白頭山の噴火が懸念されるという趣旨のコラムを書いたばかりだが、白頭山が「噴火」する前に太陽で「爆発」現象(太陽フレア)が発生した。

▲太陽フレアを捉えた人工衛星の写真(米航空宇宙局提供)

▲太陽フレアを捉えた人工衛星の写真(米航空宇宙局提供)

情報通信研究機構が7日明らかにしたところによると、太陽の表面で通常の1000倍強にあたる大規模な爆発現象(太陽フレア)が発生した。太陽フレアで放出されたX線が8日には地球に到着した。全地球測位システム(GPS)や無線通信、人工衛星などに影響を及ぼす危険性が排除できない。

今回のような大規模な太陽の爆発現象は2006年12月にも発生し、世界各地で通信システムが機能しないといった事態が生じたが、今回はそれ以上の影響が予想されるという。

同ニュースを聞いた時、「北朝鮮は9日の建国記念日前後の核実験や大陸間弾道ミサイルの発射を見合わすのではないか」と考えた。このコラムが掲載される9日にはその予想結果が分かるかもしれない。

9日の「建国記念日」に核実験やミサイル発射を考えていた北側は今、「想定外の事態」に直面している。太陽フレアから放出された粒子の影響でコンピューター・システムが破壊されたり、誤差が生じるならば大変だ。ミサイルが計算外の軌道を飛行したり、爆発などの不祥事が生じる危険性が高まる。賢明な北の科学者たちは金正恩氏(朝鮮労働党委員長)に核実験やミサイル発射の延長を助言すべきだ。それとも、金正恩氏の命令で敢えて冒険を冒すだろうか。

ミサイル発射の場合、ナビゲーションが必要だが、北の場合、中国の人工衛星を利用してミサイルの軌道を調整してきた。太陽フレアでその人工衛星に支障が出るかもしれない。

水爆実験で『白頭山』噴火の危険は?」(2017年9月7日参考)の中で、「白頭山が噴火すれば、その被害が如何に莫大か」を述べた。核実験、ミサイル発射どころではない。同様に、太陽フレアの場合、先述したように、コンピューターが正確に機能できない状況が生じれば、事故を起こす危険性が出てくる。

今回は白頭山の「噴火」の代わりに、太陽が「爆発」したが、いずれも「人災」ではなく、事前に計算したり、予想することはできない「天災」だ。そして 「天災」ゆえに、「意味」を考えざるを得ないのだ。

「北が核実験をしたり、大陸間弾道ミサイルを発射し、米国を更に挑発すれば、戦争が勃発する危険性が高まり、ひょっとしたら核戦争を引き起こすかもしれない。そこで天は太陽フレアを発生させ、核実験、ミサイルに使用されている最先端の通信機材を機能マヒさせるのではないか」という解釈が浮かんでくる。

「全ては偶然に過ぎない」と考える人々は上記の解釈を聞けば笑い出すかもしれないが、宇宙、森羅万象の現象には必ず「意味」、「サイン」があると考える人間は、「天は地球の破壊をもたらす朝鮮半島の危機を回避するため何らかの手を打つだろう」と考える。その答えが、白頭山の「噴火」ではなく、太陽フレアだったのではないか。

北の「建国記念日」前の太陽フレアは朝鮮半島の悲劇を阻止しようとする天からの“熱いメッセージ”として真摯に受け取るべきだろう。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2017年9月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。