2020に向けITインフラの整備が進んでいます。

中村 伊知哉

「2020年に向けた社会全体のICT化推進に関する懇談会」幹事会@総務省。
坂村健さんが主査。
2020Tokyo大会に向けたIT基盤の整備策をたたかわせています。
ぼくはデジタルサイネージや高度映像配信などの立場で参加しています。

大人数の会議でして、政府は総務省、経産省、内閣官房、国交省、スポーツ庁、観光庁。
東京都やオリパラ組織委。
通信、放送、メーカ、商社、広告、ソフトハウス、大学などなど。

東京都は東京マラソンなどでNICTのVoiceTraなど多言語翻訳システムを導入、デジタルサイネージやペンダント型翻訳機を利用。
都バス案内のサイネージ設置も進めているそうです。

総務省は数々のアクションプランを展開中。
多言語翻訳技術の実装、オープンデータの利用推進、放送コンテンツの海外展開促進、無料公衆無線LANの整備、5Gの実現、4K8Kの推進、サイバーセキュリティ対応など。

IoTおもてなしクラウド事業について、竹芝や渋谷で行った実証実験の報告もありました。
デジタルサイネージによる多言語情報提供、音楽イベントのチケットレス入場など。
ぼくもデジタルサイネージコンソーシアムやCiP協議会として代表参加しました。

マイナンバーカード利活用策の一環で、チケット適正転売のシステム実証についても報告がありました。
6月から音楽業界をあげて取組みが始まったもので、ぼくも会長として携わっています。
関係者が一つのテーブルにつくという点で貴重な動きであり、前進させたく存じます。

高度な映像配信システムについては、実証実験を10ヶ所で行い、4K8Kの配信プラットフォーム作りを進めます。
こちらは映像配信高度化機構として取り組んでいます。
理事長として関わっています。

映像配信高度化機構の吉沢事務局長によれば、2020大会を4K8Kパブリックビューイングで利用する意向は77%を示したそうで、そのための技術仕様やサービス・ガイドラインを策定することとしています。
18年平昌、19年ラグビーW杯、20年Tokyoに向けて実装を進めます。

この会議の下に、スポーツ☓ICTのタスクフォースが置かれ、報告がありました。
1.デジタル・スタジアム:wifi、AR/VR、サイネージの整備
2.高度映像配信:4K8Kパブリックビューイング
3.データ利活用:データ取引市場等の整備
の3点を進める。
やりましょう。

ぼくからはクラウド型デジタルサイネージ、4K8K配信システム、チケット適正転売システムなどの整備状況を補足しました。
気がつけば、デジタルサイネージコンソーシアム、映像配信高度化機構、CiP協議会、超人スポーツ協会などなど自分が代表を務める多くの活動がみな関わらされています。

というのも、本件がビジネス振興ではなく「インフラ整備」策であり、ぼくの活動の多くもインフラ整備だから。
ネットや地デジの次のインフラ、4K8K、VRAR、5G、IoTなどなど、2020Tokyo後のレガシーを、この際ぐっと整えましょう。

報告を受け、議論もありました。
デジタルサイネージが災害時に役立つといったことの周知が進んでいない(読売新聞・地野委員)。
インフラ整備は進んでいるが、ビッグデータとオープンデータの連携、データ利活用の方策が手薄(東大・須藤委員)。
御意。

スタジアムのIT整備には格差があり、対応したくないというスタジアムのオーナーも多いという指摘もありました。
最高水準のスタジアムをホメて公表するのがよい。ホメて伸ばそう。

坂村主査が締めました。
都市機能をITで向上させるのは世界的な課題であり、日本の動きにアメリカは関心を寄せている。
2020大会に向け、マイナンバーをどうヒモつけていくか、PDSや情報銀行をどう結びつけるか、これらは国の役割。がんばろう。

2020大会というわかりやすいアイコンのおかげで、スマート後を担うインフラの、多面的なIT対応がダンゴムシのように転がり始めました。

この際、産官学、行けるところまで行こう、てなノリです。


編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2017年10月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。