意にそぐわぬ結果を「不正選挙だ!」と叫ぶことは、民主主義を後退させるだけ

こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

 

今日はTwitter上で、今回の選挙が「不正選挙であるか否か」について、一部の選挙クラスタの中で熱い議論が交わされました。

まあ選挙の度に不正選挙を主張される方はいるのですが、今回のきっかけはおそらく山尾志桜里氏が当選した愛知7区の結果です。

衆院選:なぜ炎上しているのか 山尾氏辛勝と無効票1万超 – 毎日新聞
https://mainichi.jp/senkyo/articles/20171025/k00/00m/010/074000c

愛知7区の選挙集計において、無効票が1万票以上あったことから「何らかの不正が行われたに違いない!」という陰謀論が巻き起こり、実際に愛知選管には入電が相次ぐ自体になっているようです。

当選者を擁護するものではないですが、中立的な視点から見ても言いがかり以上の何物でもないと思います。

そもそもこちらの選挙区は「無所属(実質的な野党共闘)」と「自民党」の二人の候補者しか立候補しておらず、選択肢が限られていてれば無効票が増えるのは当然のことです。

実際に、事実上の公明党と共産党の一騎打ちとなっている東京12区(北区を含む)では、今回も無効票率が9.71%と全国平均の2倍以上になっています。

なお、本日の論旨からは外れますが、このように有権者の選択肢を実質的に奪うことになることから、私は政治信条が異なる政党が候補者調整をすることには否定的です。

不正選挙を主張される方は、恣意的な集計や票の書き換え、さらには投票箱のすり替えまで主張されるわけですけれど、選挙実務を少しでも知っている方であればおわかりの通り、

●相当に多くの人間が投票・開票プロセスに関与している
●開票所には候補者陣営から一人ずつ立会人が出ている
●もちろん選挙管理委員会によるチェックもある

という衆人環視の中で、そのような大掛かりな操作をすることはまず間違いなく不可能でしょう。関係者全員を買収でもするのでしょうか…?

確かに開票における「ミス」は皆無ではありません。しかしながら、数千票単位の票を動かす「不正」については、我が国の選挙においてはまず間違いなく行われていないと断言して良いと思います。

…ときどき「投票にはボールペンを持参しよう!(鉛筆だと書き換えられるから!)」みたいなキャンペーンを見かけることがありますが、ああいうのもやめた方が良いと思いますね。。

加えて、このように「投票に対する信頼性」についてケチをつけはじめると、ネット投票の実現が遠のく可能性があります。

投票に限らず電子行政の実現にあたっては、政府への厚い信頼が必要不可欠な要素なのですが、不正選挙を疑う風潮が強くなれば

「電子投票の結果なんて、政府によって操作されるぞ!」

という風雪が流布することは想像に難くないからです。

ちなみに、すでにネット投票を実現しているエストニアでは、「電子投票はログが残るので、こちらの方が不正操作を見抜くのは容易」と主張しており、興味深いと思いました。

過去記事:「まず高齢者向けサービスから電子化・IT化せよ!」エストニアの逆転の発想とは?!
http://otokitashun.com/blog/daily/7319/

いずれにせよ、非現実的な不正選挙を疑うようなことにパワーを費やすのではなく、次回の選挙に向けて建設的な政策論議に有権者の関心が注がれることを願ってやみません。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は東京都議会議員、おときた駿氏のブログ2017年10月26日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。