港湾空港総合技術センターが発行する『SCOPE NET』が「生産性革命NOW 港湾i-Constructionの進化」という特集を組んだ。農林水産業に情報通信技術を導入して生産性を圧倒的に引き上げる取り組みについて紹介したことがあるが、同様の試みが土木分野でも起きている。
建設後50年を超える老朽化した道路・トンネル・橋梁・港湾などが増える一方である。予算には限りがあるからすべてを更新するわけにはいかず、予防保全の考え方も入れて長寿命化を図る必要がある。一方で、これらの社会資本の維持管理に従事する労働者は高齢化が進んでいる。今後を展望すると少数の若手労働者で膨大な社会資本を維持する必要がある。そこで土木分野での生産性革命が唱えられたわけだ。国土交通省は情報通信技術を活用した「i-Construction」の開発と普及に乗り出し、『SCOPE NET』の特集はこれを取り上げた。
特集では実例として八戸港のしゅんせつ工事が紹介されている。港湾部をしゅんせつしたら土砂は海底排砂菅で運んで処分場に土捨てする。超音波で海底の様子をモニターし、取得した情報に沿ってしゅんせつが進められた。処分場ではドローンを使用して空中写真測量を、自立航行無人ボートを使用し深浅測量が行われた。こうして計画通りしゅんせつ工事は実施され、トータルで73%も生産性が向上したそうだ。
橋梁の歪みを常時計測して維持管理に活用する技術も開発済みで、すでにJICA・ODAの一環でベトナムに輸出されている。建機メーカーも「i-Construction」に乗り出した。KOMATSUはこれをスマートコンストラクションと名付けているが、その広報ビデオは面白い。
こうしてICTの利活用が拡大していくのはよいことだ。