エアバスの「A350XWB」が11月19日、デモフライトで羽田空港へやって来ました。「ジャンボ」の愛称のボーイング社のB747が続々と退役する中、長距離運航はB777の独壇場になっている。本来はB787のライバルであるA350XWBは、その発展型の長距離型がB777の航続距離に匹敵する、とも言われ、エアバス社の最新兵器となっています。
B787のローンチカスタマー、全日空(ANA、NH)が大量に同機を導入した一方、日本航空(JAL、JL)は長く蜜月時代を続けていたボーイング社と袂を分かち、初めてエアバス社と契約し、A350XWBを56機、導入する計画です。JALがエアバス社へ軸足を移した背景には、ボーイング社と関係を深めるANAの存在があるとも言われています。
航空行政は一般的に寡占化され、政治行政の影響が強く、日本でも以前は国交省役人の天下り受け皿と言われたり、運輸族政治家の食い物にされたりと、いろいろ言われてきたのも事実です。極度に政治的な業種であり、政治行政とのつながりによる政治力がものを言う業界でもあります。
民主党政権時に経営破たんしたJALは、当時の民主党政治家が動き、民主党の「応援団長」とも言われた稲盛和夫氏が経営再建に乗り出したことでも有名です。もともと自民党の運輸族議員の金城湯池だった日航も、政権交代によりその影響力も薄れたんでしょう。ANAが返り咲きを見越して野党時代の自民党へ接近したのも当然で、JALも経営破たんでそれどころではなかったと思われます。
長年、業界2番手の位置に甘んじていたANAは、このチャンスに大きな賭に出たわけで、羽田国際線の発着枠でもその政治力がいかんなく発揮され、日本の空はすでに2強時代に突入しています。ナショナルフラッグキャリア、という価値は過去のものなのかもしれないんだが、JALがエアバスと契約した背景にはこうしたことが影響しているんでしょう。
A350XWBの外観的な特徴は、その主翼翼端の形状です。かなり上に湾曲し、省エネに寄与しているらしい。また胴体の直径が大きく、座席の横列を最大10列まで拡張でき、天井裏のスペースを利用することができるようになったようです。エンジンはロールスロイス。電池の発火事故などにより、B787がA350XWBに持っていた2年のアドバンテージはすでにありません。ちなみに「XWB」は「Extra Wide Body」の略らしい。「EWB」じゃないんですね。
日本航空が導入するエアバス社のA350XWB。翼端の形状が特徴的。
Aviation Wire
A350写真特集が1位
Google launches Contributor, a crowdfunding tool for publishers
GIGAON
Googleがコンテンツクリエーターのためのクラウドファンディングのツールを提供する、という記事です。GoogleのYouTubeでは、動画制作者のために「Fan Funding」という「投げ銭」システムを導入しているんだが、同じようなものでしょうか。ネットの世界は日々ますます拡大拡充し続けています。コンテンツ不足は否めず、遠からず提供品がショートするのは確実です。今のうちにコンテンツクリエーターを育成しておこう、というわけです。
Expansion of gambling does not lead to more problem gamblers, study finds
University at Buffalo
米国のバッファロー大学の研究者によれば、ネット上で提供されるオンラインのカジノはギャンブル依存症を増やしてはいない、ということになるようです。ネットギャンブルで依存症患者が増えることがない、というわけで、ギャンブル依存症予備軍が発症するきっかけにならず、そのハードルは変わらない。拙速に言えないんだが、依存症になりやすい人の数は最初から定量的に決まっているのかもしれません。
自撮り用セルフィー棒は日本でも大流行なるか? 検証した結果
週アスPLUS
観光地へ行くとスマホなどをかざして自分を撮影している人をよく見かけます。しかし、これだと自分の腕の長さより遠くから撮ることはできない。そこで最近、人気なのが「自獲り棒」なる製品です。当方は「アゴラチャンネル」ではこういうのを使っています。
ところで、自撮りも世界的なブームになっているようで、GoProなんかの動画撮影用小型カメラと組み合わせる「SOLOSHOT」みたいな製品も登場しているようです。
DWANGO(ドワンゴ)によるVantan(バンタン)のグループ会社化について
Vantan
当方がよく行く恵比寿の居酒屋の近くにあるVantanが、角川ドワンゴの系列に組み入れられる、というニュースリリースです。こういうファッション系の専門学校というのはいろいろあって、中には詐欺まがいのビジネスで伸びているところも多い。高卒の若い世代は、アパレルやデザイナー、ファッションモデル、スタイリスト、ヘアメイクアーティストなんかに憧れるもんです。そういう業界で働きたい、と強く願う人たちも多い。しかし、ほとんど資格の要らない仕事ばかりで、名刺を作ればその場であなたもアーティスト、という世界でもある。実力はもちろん、コネや営業力、そしてなにより運が必要です。ただ、バンタンは1990年代からゲームクリエーターや映像系アーティストの育成に力を入れている。角川ドワンゴはこのへんに食指を伸ばしたようです。ちなみにバンタンの由来は、フランス語の「Vingtans=20代、イキイキしている、闘っている」という意味だそうです。
アゴラ編集部:石田 雅彦