面白いことがあった。
国際政治学者の篠田氏の論稿にちょっと異論を呈して見たら、篠田さんが私を名指しして反論を書いてこられた。
世論を盛り上げ、憲法論議を活性化するためにはこのくらいのことがあってもいいだろう。
テーマは、自衛隊は、軍隊か否か、である。
事は軍隊の定義に関わるもので、軍隊の定義次第で如何ようにも議論を展開出来るのだから、口角泡を飛ばしで大真面目に議論しても仕方がないのだが、頭の体操としてはほどほどの材料になるだろう。
ちなみに、私は、自衛隊は自衛隊でしかない、という立場に立っている。
篠田さんは、どうしても自衛隊を軍隊だと言いたいようだが、自衛隊違憲論はお取りにならないようだ。
自衛隊は、合憲だが軍隊ではある、という結論に持って行かれたいのだろうが、まあ、軍隊と言い切ってしまえば自衛隊は違憲の存在だ、という議論を呼び起こしそうなので、私は、あくまで自衛隊は自衛隊だ、と言うことにしている。
政府の立場としては、自衛隊は国際法上は軍隊として扱われることがある、国際的には軍隊だ、ぐらいに留めておくのではなかろうか。
自民党の中だけで議論すれば、自衛隊は国際法上の軍隊に当たるのだから、この際憲法の明文でもって自衛隊を軍隊として位置付けるべきだ、憲法改正するのなら、自衛隊を国防軍とか防衛軍という名称にすべきだ、などという議論にまで発展しそうだが、今の政治状況ではそういう議論は当分封じ込めておこう、ということになるはずである。
ちなみに、篠田さんは、日本の現在の憲法は国連憲章を踏まえて作られている、という立場にたっておられるようだ。
確かに国連憲章の方が日本国憲法より先に出来てはいるが、私の理解では、当時の国連は第二次世界大戦の戦勝国連合であって、日本は国連に加盟していない。
日本国憲法の骨格はGHQが作っており、アメリカの側からすればアメリカが作った憲法、日本側からすればGHQの承認を得て日本の内閣が作成し、日本の国会が承認し、日本の天皇が発布した憲法、ということになる。
まあ、不戦条約の理念が根底にあるが、私には日本国憲法は国連憲章を踏まえて作られた憲法、などとはちょっと言えない。
それにしても、篠田さんはお若い。
面白いことを言われる方ではある。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2018年1月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。