自民党関係者の中には、安倍総理の自民党総裁3選が既定路線だ、と思われている方が多いだろうが、どうも先行き不透明になってきた。
石破攻勢で、自民党内での憲法改正項目の検討が少しずつ尖鋭化してきている。
安倍さんが当初期待していたとおりの内容での意見の取り纏めが、自民党内ではどうやら出来なくなりつつある。
石破さんはそれを見越して段々憲法改正発議のハードルを上げてきているのかも知れないが、憲法改正の発議には何としても漕ぎ着けたいと願っている安倍総理やその周辺の方々にとっては、今の状況は本当は困るのかも知れない。
迷惑だ、などとは表立っては絶対に言えないだろうが、今の状況のまま推移すると、自民党総裁としての安倍さんはピンチに追い込まれることにもなりかねない。
自民党が提案する憲法改正項目がかなり尖鋭化したものになると、まず公明党との協議が難しくなる。
憲法改正の発議のハードルを上げ過ぎると、憲法改正の発議自体が困難になる。
自民党が初めからマイルドな内容の憲法改正項目を提示しておけば、後は国会議員同士の議論に委ねておけばそこそこの憲法改正項目に落ち着くだろうが、自民党の提案自体が相当程度に尖鋭化したものになってしまうと、自民党提案のハードルを自ら引き下げないと公明党との協議すら始められないことになってしまう。
自民党総裁としての安倍さんが自ら自民党提案のハードルを下げるという厄介な仕事を引き受けざるを得ないことにもなりかねない。
公明党にも頭を下げ、自民党の国会議員にも頭を下げ、野党にも頭を下げる、などという屈辱的な仕事をあの安倍さんがやり切れるだろうか、ということを考えると、まあ、無理だろうな、と言わざるを得ない。
石破さんは、かつて自民党が野党時代に纏め上げた自民党の憲法改正草案に戻って矢鱈と憲法改正発議のハードルを高くしようとしているように見えて仕方がない。
ほう、石破さんは案外戦略的だなあと思うが、目下の自民党内での議論はどうやら石破さんの思惑通りの方向に動いているようだ。細田さんには、この石破攻勢をかわすことがどうも難しそうである。
安倍総理の自民党総裁3選は、既定路線のように言われていたが、ここに来てちょっと流れが変わってきた。
ここは、岸田さんの頑張り時だというのが、外野席のさらに外にいる私の見立てである。
憲法改正発議のハードルを上げ過ぎないほどほどの憲法改正項目に持って行く力が政調会長の岸田さんにあるかどうかが、今、問われているはずだ。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2018年3月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。