娘が生まれて初の母の日。これまでは、お互いの母親のお祝いをしていたのだが、今年からは妻に感謝する日でもあり。感慨深かった。
それはそうと、Twitterのトレンドに「国際信州学院大学」というものが入っていた。架空の大学だという。HPまで作られたとか。ここの学生が50人分の予約をしてドタキャンというフェイクニュース(?)も流れていた。もう、どこまで本当かわからない。
架空のネタ大学「国際信州学院大学」とは 発祥は5ちゃんねる…「騙された」ケースも(J-castニュース)
もっとも、これが巧妙というか、騙されてしまうところに、日本の大学をめぐる現状というか、問題の一つが凝縮されているようにも感じた。
日本に大学はいくつあるのか?
約780である。
日本の大学は増え続けてきた。1990年代の大学設置基準の大綱化により、520校程度だったものが、ここまで増えた。よくこの大綱化が大学増加の原因とされており、間違ってはいないのだが、そもそも日本の大学は、その前の時代を含めて右肩上がりに増え続けてきた。
日本の大学の名前を、全部言えるだろうか。言えるのは大学に関する専門家や、ジャーナリストだけだろう。もはや覚えきれないくらいに大学は存在する。伝統のある大学も、イメージチェンジのためや、統合したために学校名を変更する場合もある。さらに学部名まで多様なのだから、覚えきることは困難である。
いや、別に約780の大学名やその学部名を全部覚えられなくてもよい。問題は、受験の際に高校生・浪人生とその保護者に、就活の際に企業の人事に認知されているかどうかである。これはこれで大変なことだ。
日本の大学は東京や京都に集中している。ただ、首都圏、関西圏などもそうだが、ある県の中で認知されるのも意外に大変だ。この認知度と、偏差値は必ずしも連動しないし。
この国際信州学院大学というのは、実に絶妙で。甲信越エリアの私学という設定、「国際」「学院」などありそうなフレーズの組み合わせであり。「あぁ、ありそう」という名前ではある。
大学の関係者は認知度を上げるために努力している。今日も様々な大学の教職員たちが高校まわりをしている。
まあ、Twitterの反応でも、リテラシーの教科書的なものだという声があったが。このようにフェイクニュースの芽というのはそこらじゅうにあるわけだけど、「あぁ、ありそう」という設定はなかなか絶妙であった。たまたま大学ネタだったが、今後もこのようなフェイクニュースは生まれるのだろうなあ。
最新作よろしくね。
編集部より:この記事は常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2018年5月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。