日本車は、アメリカでも安全性で高い評価を得ています。米5月新車販売台数でも、ブランド別ではトップ3どころかトップ5を独占する状態。価格、サービスの面でも、アメリカ人のハートを捉え続けてきました。
そんな日本車のクオリティ神話に、マクグロウヒル傘下のJ.D.パワー・アンド・アソシエーツが物申す。
消費者を対象にした最新のクオリティ調査によると、日本車メーカーの凋落が見て取れます。逆に、韓国車ブランドの飛躍が目覚ましい。J.D. パワー・アンド・アソシエーツのヴァイス・プレジデントのレネ・スティーブンス氏は、結果を受けて「多くの人々は日本車ブランドこそクオリティの代表格とみなされてきた」と振り返り、「クオリティの認識を一変させる明白なシフト」と銘打ちます。
クオリティ調査は新車購入者を対象とし、100台当たりの故障・クレーム件数を元にまとめています。結果をみると、1位は前年に続きポルシェで80件、前年からは6件増加したものの王者の座を堅持しました。2位は起亜自動車で86件と前年比で20件もの減少を記録した結果、6位から躍進。ヒュンダイも95件で前年から1件増加するのみとなり、4位を維持しています。スティーブンス氏は、そんな韓国車ブランドに対し「世界中の自動車工場を見回すと、特に韓国でクオリティへの注力がみられる」と手放しの評価を与えていました。
翻って日本車で好成績を挙げたのは日産の高級ブランド、インフィニティと三菱のみ。インフィニティは前年比で31件も減少させるという驚異的な改善を遂げ、23位から5位へ急浮上を遂げました。三菱も、前年の30位から26位へ上昇しています。その他は、軒並みランクダウン。トヨタの高級ブランド、レクサスは9位となり前年比で1件減少も2014年の3位から大きく順位を落としました。ホンダも前年比で4件改善しつつ111件で14位にとどまり、8位から陥落。日産は20位(前年は19位)、ホンダの高級ブランドであるアキュラは26位(前年は25位)、スバルは30位(前年は27位)と、惨憺たる有様です。
気になる結果は、以下の通り。
(出所:J.D. Powers And Associates Via CNBC)
日本車メーカーの問題点として、スティーブンス氏は「インフォテインメント(情報と娯楽を融合したシステム)と音声認識」を挙げます。特に、音声認識は「ワースト20ブランドのうち、16車種が日本車だった」そうです。
ちなみに各国別では、韓国が1位で90件を数えるにとどまりました。2位は欧州で113件。3位は日米が肩を並べ114件となり、自動車ブランド平均の112件を上回る始末です。
調査結果を受け日本車ブランドのクオリティ神話が崩壊したかのような報道が相次ぎましたが、こんな事実も浮かび上がってきました。
非営利の消費者団体、コンシューマー・レポートの「2015年版;ベスト中古車」によると、モデル別で日本車が全て1位を総なめにしているんです。
▽1万ドル以下
・小型車 マツダ3 s(2008年)
・セダン アキュラ TL(2005年)
・スポーツ多目的車(SUV) ホンダ CR-V(2005年)
▽1万~1万5000ドル
・小型車 スバル インプレッサ(2010年)
・セダン インフィニティ G35(2006~2007年)
・SUV アキュラ MDX(2005~2006年)
▽1万5000~2万ドル
・小型車 トヨタ プリウス(2010~2013年)
・セダン ホンダ アコード(2008~2012年)
・SUV レクサス RX(2006~2008年)
▽2万ドル~2万5000ドル
・セダン トヨタ カムリ ハイブリッド(2012~2013年)
・SUV レクサス GX(2006~2007年)
人の命を与る自動車こそ、慎重に選びたい。せっかく購入したのなら、高く下取りしてほしい。そんな願いを叶える自動車ブランドを探すかどうかは、購入者次第ですよね。
(カバー写真:J.D.Power)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2015年6月17日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。