中学受験戦線も、梅雨時を迎えて子供(と親?)のモチベーションが下がりがちな時期だ。
とりわけ、6年生のお子さんを持つ親は「残りあと7ヶ月」などと考えると、背筋が寒くなる人が多いだろう。
私は、仕事上の部下や子供は、「褒めて育てる」方が、叱るよりはるかに「伸ばす効果」が高いと信じている。
叱りつけられると、発奮して頑張る人間よりも、自信を失って「やっぱり自分には無理なんだ」と諦めてしまう人間の方がはるかに多い。
そういう意味でも、部下を「褒めるときは皆の前で」、やむを得ず「叱るときは別室に呼んで」が望ましい。
周囲からも「ダメなやつ」と思われていると感じると、本人の絶望感が一層強まってしまうからだ。
これと同じように、家庭で子供を褒めるときは、父親(もしくは母親)や兄弟などがいる前で褒めよう。
「褒める点がないから困っているのに~」という声が聞こえてきそうだ。
しかし、どんなにスランプで模試の成績が悪くとも、褒めるポイントの1つや2つは必ず見つけることができる。
模試の全体の点数が悪くとも、正答率の低い問題で正解していれば、「すごいねー。正答率20%の問題が解けている!」と褒めることができる。
成績そのものが期待には添わない場合でも、以前よりも向上している点もあるだろうし、何より「努力している」点は大いに褒めるべきだ。
小学校6年生くらいになると、こと中学受験に関しては(何も関わっていない)大人よりも子供の方がはるかに物知りだし、スキルフルだ。
私自身、娘が小学生の時、毎朝「百マス計算」の競争をしていたが、全敗だった(汗)。
当然、毎朝、娘は気分良く一日を開始することができた。
手を抜いたのではなく全力でやって負けたので、ウソ褒めじゃない。
あなたがわが子を信じられないのなら、基本的な計算問題でお子さんに挑戦してみよう。
標準的な中学受験生であれば、素人の大人を負かすくらい朝飯前のはずだ。
模試の結果が悪いときは、「実にお得な模試だったなー!不得手なところがたくさん出題された。これを復習すれば弱点克服だ!」と前向きの姿勢を示し、成績が良ければ「すごいねー!天才じゃん!」と、これまた前向きに対応しよう。
秋の最後の模試まで一貫して最低評価だった長女が女子学院に合格し、同じく一貫して最低評価だった長男が筑附に合格した友人がいる。
「大逆転の秘訣は何だったんだ?」
と訊ねたところ、
「俺もカミさんも二人に対してあまり期待せず楽観的で、模試の結果など気にしなかった。本人たちが勝手に頑張ったんだ」
とのことだった。
模試の結果に一喜一憂するのは親としてやむを得ないが、「一喜」はともかく「一憂」は絶対に顔に出してはいけない。
親の不安や絶望感は子供に必ず伝染する。子供自身が、「自分には無理だ」と思ってしまったら、本当に無理になってしまう。
最後まで塾の開成コースにすら入れなかったお子さんが、開成中学に合格したケースもごく身近で知っている。
本試験まで、まだまだこれからだ。
「自分にはできる」という気持ちを維持させるための工夫として、まずは褒めてみよう。
編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2018年6月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。