米朝首脳会談から10日が経ちました。なぜか遠い昔のように感じます。
しかし、会談が、地域の平和につながるのか、はたまた、新たな緊張を生み出すのか、まだ、何も見通せません。
ただ、戦後70年以上にわたって、アメリカにつき従ってきた我が国の在り方は、大きな岐路に直面することになると思います。
直ぐにではないにしても、在韓米軍は縮小の方向に向かうでしょう。在外米軍の縮小は、オバマ政権時代からの大きなトレンドでしたが、陸軍が中心とはいえ、在韓米軍の縮小は、必然的に我が国の安全保障のあり方にも大きな変化をもたらすでしょう。
つまり、安全保障や外交をアメリカに任せ、経済の繁栄を目指すことのできた戦後システムが変更を迫られることを意味します。
戦後70年の時を経て、日本は国家としての自立・自助のあり方を、はじめて真剣に考えなくてはならない局面を迎えています。
「北東アジアにおけるアメリカのプレゼンスが低下したときに、日本は自国と地域の平和のために何をなすべきか」
「国際社会の中で、そもそも、日本はどのような国であるべきか」
私たちは、こうした本質的な問題に解を出していかなくてはなりませんが、冷戦構造を前提とした、今までの左右の対立の中に答えを見出すことはできません。
政府・与党だけでなく、野党も試される時代になっています。
自らの防衛力を強化するのか、
外交力を発揮して地域の平和と繁栄をリードするのか、
自国と地域の平和を守るために何をなすべきか、この難しい問いに、具体的な答えを出していかなくてはなりません。
他方、2040年には社会保障給付が190兆円を超えるとの推計も発表されています。高齢化に伴う膨大な社会保障費を賄いながら、国の防衛費をGDPの約2%にまで倍増していくことが現実的な解としてありうるのか、冷静に考えなくてはなりません。
「安全保障」と「社会保障」。
この「二つの保障」の問題に対して整合的な解決策を提示していくことが、これからの政治に求められる大切な役割だと考えます。
しかしながら、与野党どこからも、包括的で具体的な解決策は、いまだ示されていません。
とにかく、これからは政治家が、この難しい課題に、国民の同意をとりつけながら、一つ一つ解決策を示していかなくてはなりません。
だからこそ今、国会改革が必要なのです。
今の国会は、行政、とりわけ官邸の下請け機関化し、自立的な問題解決能力を失ってしまっています。これは、野党だけでなく与党議員にとっても不幸かつ残念な現状です。
行政への監視機能を高めながら、国民に直接選ばれた政治家同士が、国の行く末について、本質的な議論を建設的に行う、そんな国会に改革していかなくてはなりません。
「事前審査」を前提に、政府案を承認するだけの与党
一方、
「会期制」の下で、対決と廃案をめざす野党
こうした姿は、冷戦構造の下での、一つの国会のあり方だったのかもしれません。しかし、日本を取り巻く世界が大きく変化しつつある中で、これからも永遠に続けていくべき政治の姿でしょうか。疑問です。
もちろん、国会改革のテーマは多岐に渡りますが、まずは、最低月1回、夜8時に党首討論を開催し、安全保障や社会保障など、国の基本政策について、本質的議論を深める仕組みに変えてはどうでしょうか。
与野党を超えて、国会改革の議論を深めていければと思っています。
編集部より:この記事は、国民民主党共同代表、衆議院議員・玉木雄一郎氏(香川2区)の公式ブログ 2018年6月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はたまき雄一郎ブログをご覧ください。