大恐慌が始まったのは1929年の「暗黒の木曜日」だったが、それは世界経済を10年以上にわたって大混乱に陥れた原因ではなかった。本質的な問題は、当時の企業の過剰債務であり、その崩壊による金融危機だった。
図1
中国の株安も、それと同じような金融危機の「引き金」にすぎない。これは広瀬隆雄氏のブログの図だが、ここ5年の金余り状態で、シェール企業などの発行したジャンク債はほぼ倍増した。原油安でシェール企業は全滅し、あのKKRでさえ創業以来の大損失を出した。
問題はアメリカだけではない。ゼロ金利で借り放題状態が世界的に続いたおかげで、新興国の債務(その大部分はジャンク)は、次の図のように3倍増だ。これは90年代の東南アジア危機をはるかに上回る「取り付け騒ぎ」を起こすだろう。
図2
金余りは必ず過剰債務と資産バブルをもたらし、最後は崩壊して「正常な状態」に戻る。上の図から見るかぎり、その崩壊の規模はリーマンショックの何倍も大きいだろう。
追記:図1の単位は10億ドルの誤りである。これが元データ。