キー局民放各局が続々と秋改編状況を発表している。
今年の春改編と比較すると全日帯(午前6時~0時)の改編状況は日本テレビが3.1%から7.0%、フジテレビが28.2%から5.8%、テレビ朝日が12%から7.8%、TBSが4.3%から6.2%比較的小幅な改編の中、テレビ東京が15,5%から18.3%と大幅に動かしてきた。
ところで先日、日本テレビ・TBS・フジテレビ・テレビ朝日4局の夏祭りを取材してきた。
4局を比較し、テレビへの熱量や裏事情を現場の声を交えながら書いていく。
「テレビ愛に溢れている日本テレビとテレビ朝日」
いきなり驚いたのは、日本テレビの番組無料ブースの多さだ。
まず、汐留駅を過ぎすぐのところに「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで」のブースがあり、大晦日に放送される「笑ってはいけない」で笑ったらお尻をたたかれる罰ゲームを体験できる。
弱、中、強、最強と4種類あり、子供からサラリーマン、OL、お年寄りまで盛り上がっていた。
しかも別途1200円支払えば、「笑ってはいけない」仕様の無料シャトルバスにのり、汐留から東京タワーへ向かい戻るバスツアーが体験できる上にトートバッグまでもらえる。
全回満席の大好評で私も参加したが、これで1200円という位楽しませてもらった。
そして、少し歩くと「世界の果てまでイッテQ」ブースでカーリング、ステージでは青木アナが連日登場、「笑点」ブースで2人で座布団を早く置く対決、アナウンサーの朗読大会、「所さんの目がテン30周年の化学教室」、「アンパンマン」のキャラクターが置いてあり写真が撮れたりと大人と子供が一緒になって遊べる番組の無料ブースが多かった。
また、「よろしければ写真おとりしましょうか」とスタッフから声をかけるシーンが至るところでみられ、私も何枚か撮影してもらったが大変気持ちのいい対応をしていた。
在京民放の新記録の56カ月連続三冠王に達成した余裕なのか。
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テレビ朝日は例年通り六本木ヒルズから本局にかけていろいろな表情をしたドラえもんがたくさん置いてあり、子供のみならず大人までもが写真を撮る人たちが大勢いた。
徹子の部屋でおなじみの黒柳徹子のアンドロイドがあり手をふったり話しかけたりし、子供達でにぎわっていた。
徹子の部屋でおなじみの黒柳徹子のアンドロイドがあり手をふったり話しかけたりし、子供達でにぎわっていた。
有料ブースの7Fには社員食堂が開放され、Qさま、ミラクル9、アメトーーク、激レアさんを連れてきた、遺留捜査、おっさんずラブなど人気番組のオリジナルメニューが食べられるとあって、1時間以上待ちの行列ができ大人気だった。
テレビ関係者の話では局員や放送作家やカメラマンなど出入り業者でも一般客と同じく一から並んで食べるようにしているそうだ。
また、アトラクションブースにはアメトーークの絵心のない芸人の絵があり、好きなように絵が描けたり、ロンドンハーツのドッキリ落とし穴ブースなどがあった。
まるで遊園地のように子供が遊んだり、体験できる空間で親子連れでにぎわっていた。
テレ朝夏祭りスタッフに話を聞くと「昨年と同じ位の人出でしょうか、開催当初とお盆が一番多かったですね、1時間待ちは普通でしたね、お盆すぎてからは少し落ち着いたかなという印象です」
と言っていたので、昨年フジテレビの夏祭りの人出を初めて上回ったが、今年も好評なのだろう。
「アニメにビアガーデン・・・本当にテレビ局のお祭りなの?」
テレビ局らしさをあまり感じない夏祭りだったのはフジテレビとTBSだ。
まず驚いたのが、1階部分。
フジテレビはワンピースのミストにお店がズラリと並び、ドラゴンクエストの体験ゲームやグッズコーナー、ゲゲゲの鬼太郎のシアターブースとアニメブースが大半を占め、TBSは大きなビアガーデンを展開し、いきなりステーキ、から揚げのなるとキッチン、35通りのオリジナルカスタマイズカレーなどの店が出張していた。
番組ブースといえば体育会TVのチャレンジブース、ジョブチューンのVR体験ブース、世界バレーメンバーの等身大の記念撮影ブース位だった。
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さらにフジテレビは、1階から長いエスカレーターで直通で7階に行くようになっていて、ようやくめざましテレビメンバーイチオシの食堂、ジャンクスポーツのロッククライミング体験、7階からエレベーターで5階に行くと、「コードブルー」展や「今夜はナゾトレ」のナゾトキイベントが出てくる。
「コードブルー」展は映画の大ヒットの影響か若い女性を中心に行列ができていたが、あとの人通りはけっして多いとはいえなかった。
22階に「スカッとジャパン」のアトラクションゲーム、「ネプリーグ」の番組さながらのトロッコに乗りながらクイズブース、25階に「ナゾトレ」の早押しクイズブースなど番組体験ブースは別途1200円がかかる有料ブースに集中している。
フジテレビ湾岸夏まつりのスタッフに話を聞くと、「今年お盆は人が多かったですけど、全体的に落ちついちゃってますね、8月下旬からはさらに」とお盆休み以外は全体的に人通りが少ないようだ。
さらに、別のスタッフに話を聞くと、「去年より大幅に規模を縮小したんですが、かなり人減りましたね、まあしょうがいないですよね」と自嘲気味に話していた。
「テレビへの情熱が強い局こそが人をひきつける」
各局夏祭りの様子をみると、日本テレビやテレビ朝日は子供と親が一緒に遊べるよう創意工夫していることや入り口から自局のテレビ番組への情熱を感じる。
フジテレビやTBSは正反対で自局のテレビ番組よりも他の企業ブースが目立った。
現に昨年の視聴率や放送収入と不動産収入の売上をみると、日本テレビが独走状態にあり、収益509億円のうち放送収入468億円、2番手のテレビ朝日が全体収益186億円のうち放送収入が155億円とほぼ放送収入で収益をあげている。
一方3番手のTBSは利益が188億円に対し、不動産収入が79億、4番手のフジテレビは利益が252億円に対し141億円と5割が不動産収入である。
まさに放送収入でまかなっている日本テレビやテレビ朝日、不動産収入に依存するTBSやフジテレビの姿が夏祭りで如実に出た格好となった。
TBSやフジテレビが日本テレビやテレビ朝日を追いつき追い越すのは、上層部と現場のトップダウンの徹底、予算の回し方、現場のスキルアップなど環境作りの整備は急務。
TBSやフジテレビは権利関係がクリアできた番組だけでも懐かしの番組ブースでも作ってはいかだだろうか。
ザ・ベストテン、風雲たけし城、クイズダービー、金八先生、半沢直樹、オレたちひょうきん族、笑っていいとも、めちゃイケ、とんねるずなどいくらでも名物番組を作りだしてきたのだから。
秋改編以降、両局がテレビにどれほどの熱量をみせてくれるか期待して見守っていきたい。
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奥村 シンゴ フリーライター
大学卒業後、大手上場一部企業で営業や顧客対応などの業務を経験し、32歳から家族の介護で離職。在宅介護と並行してフリーライターとして活動し、テレビ、介護、メディアのテーマを中心に各種ネットメディアに寄稿。テレビ・ネット番組や企業のリサーチ、マーケティングなども担当している。