こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。
本日は総務委員会で45分ほど質問に立ちまして、その中の一つを共有します。
「アジア人材育成基金」
というものが東京都にありまして、平成21年から平成26年までで45億円の公費が使われてきました。
「アジアの将来を担う人材の育成する」
という漠然と壮大な目的のため、何をしてきたかというとその大半は首都大学東京でのアジア各国からの留学生の受け入れです。
公費留学させて、その費用は東京都が持ちますよというわけですね。
その他にもアジア各国から共通の都市課題研究のため、研修生を受け入れて共同研修なども行っていたようですが、金額的なボリュームで見るとほとんどが留学生の受け入れに充てられています。
(授業料免除は当然のこと、住宅支援や奨学金支給まで至れり尽くせり…)
http://www.ic.tmu.ac.jp/study_abroad/asianhuman.html
そして平成27年からはこれが「都市外交人材育成基金」と名称を変更してリニューアル。
「東京と世界各都市との発展に向け、その相互の交流及び協力を担う人材の育成する」
というまたも漠然と壮大な目的のため、今度は9年間で80億円の基金を税金から積んだわけですね。
この基金では対象者がアジア各国から世界各国に拡大されますが、基本的には行う事業は留学生・研修生の受け入れ業務です。
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で、私はまず率直に疑問を感じたのですが、6年間の事業で果たしてどのような成果があったのか?
この検証がなければ、拡大して基金を詰むことは許されませんよね。
東京都も慈善事業でお金を出しているわけではないでしょうから、
やはり45億円を投資しただけのこう、目に見える成果が求められるわけです。
ちなみにこの基金は、いわゆる「紐付き」ではありません。
これを利用した留学生は東京都で3年間働くとか、母国に戻った後に日系企業に就職するとか、そういう縛りは事実上なかったようです。
となると、悪い言い方をすれば各国留学生への「バラ巻き」になりかねません。
この点について追求すると、
・145名の留学生のうち48名が、昨年度末の段階で博士号を修得(まだ在学中多数)
・日本のゼネコンに就職した例や、母国の大学で学部長になり交流しているケースがある
・しかしそもそも、アジア発展への寄与が目的であり、都に短期的な見返りを求める施策ではない
といった答弁でした(要約)。
アジア発展への寄与って、どうやって効果測定すればいいのだ…?(というかもともと、効果測定する気はなかったと思われる)
しかしこれまでの事業では東京都への貢献・見返りは求めなかったとしても、今度の基金を活用する人材は、
「東京と世界各年の交流に寄与」
してもらわなければいけないわけです。
今度こそ、なんらかの制度設計をして、卒業後の活動を追いかける必要があります。
・卒業後に日系企業や、国際関係機関への就職を義務付ける
・卒業生をネットワーク化し、定期的な交流可能な仕組みを作る(ネット上などでも可)
などの提案を行いましたが、本日の質疑相手の政策企画局は
「我々は計画を立てて基金を積むだけなので、具体的なことは首都大学東京を所管する部署に聞いてね!(要約)」
という回答でしたので、この事業の有効性についての議論は総務局への質疑へとステージを変えて続きそうです…
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どんな事業にも一定の意義はありますから、全否定はできません。
アジアの学生たちに投資をし、知日派を増やしていくというのもそれはそれで意味ある政策の一つであると思います。
しかしながら政策を行うにあたっては妥当性や優先順位、費用対効果などを熟慮して決断をする必要があります。
外国人留学生に高等教育の機会を与える一方で、東京都内にも金銭的な事情で大学進学を諦める人がいます。奨学金の返済に苦しむ方々も少なくないでしょう。
そうした中で、この政策に年間9億円をかけるべきか否か。
かけるならば、その効果を最大化することに全力を尽くさなければなりません。
基金の存在そのものについて個人的に疑問はありますが、政策として既にスタートしている以上、ベストな成果が残るように質問と政策提言を続けていきたいと思います。
外国人留学生への投資の妥当性、皆さまはどう思われますか?
それでは、また明日。
おときた駿 プロフィール
東京都議会議員(北区選出)/北区出身 31歳
1983年生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループで7年間のビジネス経験を経て、現在東京都議会議員一期目。ネットを中心に積極的な情報発信を行い、地方議員トップブロガーとして活動中。
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