12月21日に2019年度予算が閣議決定され、2019年の国債発行計画も発表された。来年度の新規国債の発行額は今年度当初と比べて1兆324億円減らし、32兆6598億円となる。国債依存度は32.2%と2.3ポイント低下した。
新規国債32兆6598億円の内訳は、建設国債が6兆9520億円、特例国債(赤字国債)が25兆7078億円となる。今年度当初に比べて建設国債は8580億円増となるが、特例国債は1兆8904億円減となる。
復興債の発行は9284億円(今年度当初比279億円減)、財投債が12兆円(同変わらず)、借換債は103兆1404億円(同967億円減)となる。これによりトータルの国債発行総額は148兆7286億円となり、今年度当初の149兆8856億円からは1兆1570億円の減額となった。
個人向け販売分は4兆7000億円(今年度当初比1兆4000億円増)、公的部門(日銀乗換)が2兆2000億円(同3000億円減)となり、この分を差し引くと国債の市中発行分は141兆8286億円(同2兆2570億円減)となる。さらに第2非価格競争入札等分の8兆5640億円(同640億円増)、前倒し発行などによる年度間調整分が3兆8646億円(同2兆4790億円)あり、カレンダーベースでの市中発行額は129兆4000億円と今年度当初の134兆2000億円に比べて、4兆8000億円減となる。
この4兆8000億円の減額を受けて、カレンダーベースでの市中発行額は40年と30年は変わらず、20年は毎月1兆円が9000億円となり、年間で1.2兆円の減額となる。10年債も毎月2.2兆円が2.1兆円に減額されて年間1.2兆円減、5年債も2.0兆円が1.9兆円に減額されて年間1.2兆円減、2年債も2.1兆円が2.0兆円となって年間1.2兆円減。この4本とも1.2兆円減額されることで都合4兆8000億円の減額となる。
カレンダーベースの平均償還年限は9年1か月と今年度当初と変わらずとなり、長期化に歯止めを掛けた格好となった。また来年度の前倒債の発行限度額は53兆円となり、今年度の55兆円から減額された。
カレンダーベースでの市中発行額については、ほぼ予想通りであり、この発表を受けての市場への影響はほとんどなかった。この減額に伴い、日銀による国債買入額も今後、さらなる減少が予想されるが、これも市場はほぼ織り込み済みとみられる。
確かに数字上は国債発行額が減少しているように見える。カレンダーベースの市中消化額の修正は前倒し分の修正を受けてのものであり、いずれにしても年間の国債発行額は150兆円近くなっている。新規財源債も減額はされたとはいえ32兆円台にある。本来であれば現在のように国債の安定消化が可能なうちに国債発行額を減少させるべきであるが、そのような動きはない。
編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2018年12月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。