昨日は、ニューズオプエド (16~17時)に出演させて頂きました。
本日のニュースとして大きく取り上げられたのが「甘利大臣の辞任」と、昼にサプライズで発表された「マイナス金利」。甘利大臣の件は昨日の記事で書いたように、疑惑の解明が必要なこと、4大臣演説で経済再生担当大臣の部分をやり直す必要があること、TPPの審議が滞ることがないように数日かけて石原さんと引き継ぎをする必要があることなどを話しました(民間で、本部長が交代するときに引き継ぎが30分で終わることなどありません)。
マイナス金利については、直接的な効果として「為替」(金利が低くなるので円安に振れます)と「株価」(今の日本では自国通貨安=株価上昇になります)があると説明をしました。
そして、各銀行が日銀(BOJ)に預けている余剰資金を引き出して融資などに回せば、企業の設備投資等が増え、雇用を生み、消費が増え、企業の業績が上がるという好循環を生み出すことが出来るとも解説しました。つまり、今までの量的緩和では動かなかった銀行の資金を動かすために、バズーカ砲に使っているロケット弾の大きさではなく質を変えたようなものでしょうか。
しかし、今までの緩和策で動かなかった資金がこれで本当に動き出すかは分かりません。
経営者を投資に踏み込ませるには「明るい未来」か「お得感」のどちらかが必要であり、そのどちらも感じられないのが現状なのです。
明るい未来には「新ビジネスを成長させることができる」という機運を生むための環境整備が必要ですし、お得感には「自由償却制度」のような抜本的なチャレンジが必要です。
また、マイナス金利はBOJ当座預金の約18兆円にしか該当しませんので、効果は限定的です。私は逆に、法定準備金の200兆円に対して付いている0.1%もの金利を0.05%ぐらいに引き下げて(それでも十分利ザヤは稼げます)、銀行経営者に「まじめに運用方法を変えないと利益がどんどん下がるぞ」と危機感を持たせる方が効果はあるのではないかと思います。
(こういう事を平気で言ってしまう「愚か者」なので、銀行員時代の友人も無くしてしまうのですが…)
いずれにせよ、心理的効果は一定程度得られるかもしれない今回の施策。このカンフルが効いているうちに、本格的な改革を進めないと、「あとは何も残っていない」で終わってしまいます。
編集部より:この記事は、タリーズコーヒージャパン創業者、参議院議員の松田公太氏(日本を元気にする会代表)のオフィシャルブログ 2016年1月30日の記事を転載させていただきました(画像はアゴラ編集部)。オリジナル原稿をお読みになりたい方は松田公太オフィシャルブログをご覧ください。