内戦中のイエメン取材を予定していたジャーナリストの常岡浩介氏が、外務省から旅券返納命令を受けていることが明らかになり、4日夜のツイッターを騒然とさせた。
共同通信によると、常岡氏は1月にもオマーン経由でイエメン入りを試みたが、オマーンから入国拒否され強制送還されていた。今回はスーダンからイエメンに向かう計画だったという。
旅券法は13条1では、旅券発給をしないことができる対象として
渡航先に施行されている法規によりその国に入ることを認められない者
を挙げており、19条では、これに該当することが判明した人に対して返納命令を出すことができると規定している。
常岡氏は過去にアフガニスタンで取材中に誘拐されたり、イラクやロシアなどで拘束されたりしたことがあったが、今回の返納命令書にはオマーンへの入国禁止が理由とされていたようだ。常岡氏は返納命令を拒否している。
報道が流れるや、リベラル系の有識者やジャーナリストらが一斉に反発。江川紹子氏は「取材させなさいよ」と一喝。
取材させなさいよ。この人を、国内でうろうろさせてるより、外でしっかり取材してもらった方が、はるかに世のため、社会のためでせう→ジャーナリストの常岡浩介氏に旅券返納命令 本人は拒否(朝日新聞デジタル) – Yahoo!ニュース https://t.co/xuJXZIa3lo
— Shoko Egawa (@amneris84) 2019年2月4日
この一報を受け、シリア取材でテロリストに3年余り拘束され、昨年解放されたばかりの安田純平氏がツイートを連投。毎度のごとく日本政府や自己責任論を主張する人たちへの批判を繰り返した。
もし人質になって身代金が払われることになったら、とかいうが日本政府は直接も間接も身代金なんか払わないし、職員が危険になるようなことも絶対にしない。身代金デマを垂れ流すから、旅券返納命令に対しても当然だとか言う人々が出てくることになる。
— 安田純平 (@YASUDAjumpei) 2019年2月4日
40カ月ぶりに帰国したら杉本さんの旅券返納命令が合憲になっていた。拘束中に久しぶりに見た「猿の惑星」という映画は、長年の宇宙の旅から地球に戻ったら核戦争で自滅した人間に代わって猿が支配する惑星になっていたという話だったなあ。
— 安田純平 (@YASUDAjumpei) 2019年2月4日
しかし、「(常岡氏への返納命令は)あなたの前例が影響したのでは?」などと即座に突っ込まれていたり、「また日本政府批判ですか?」と呆れられていた。
常岡さんの出国禁止には、あなたの前例が少なからず影響したと思いますが。
— keor (@keor20) 2019年2月4日
また日本政府批判ですか?あなたは何度助けられても被害妄想が抜けませんね。
— おち (@otidell) 2019年2月4日
また朝日新聞の三浦英之記者もツイッターを連投。「もう何なんだよ、この国。次々とジャーナリズムの手足が縛られていく」と述べたのを皮切りに、「このまま進むと、僕たちは何も言えなくなってしまう、何も書けなくなってしまう。1984的な未来を、今足元にヒタヒタと感じる」などと訴えた。
三浦氏は「警鐘」を鳴らしたつもりだったようだが、「物は言えているのでは?」「また人質になる」といった趣旨から異論も複数指摘されていた。
何も言えなくなる?苦笑
ツイッターで今好きなだけ発言してるじゃないですか。常岡さんとやらも返納命令があったって発信できてるじゃない。何がご不満?
オーウェルの1984、本当に読んだことありますか?あの作品の世界と今の日本を較べられると思うこと自体が意味不明。足元にヒタヒタって(。-_-。) pic.twitter.com/0Cm09tTMjo— ももちゃん (@violist_6) 2019年2月4日
人質のプロ、ウマルさんの事忘れたんですか?拘束されるリスクを考えれば、行かせずに命を守る方が重要です。
— Yusuke – 光の戦士 (@Yusuke_maigoinu) 2019年2月4日
またノンフィクション作家の西牟田靖氏は、常岡氏の過去の言動から今回の騒動を冷ややかに見ていた。
常岡はかまってちゃん。戦場に行くよりも、目立つことにウエイトが置かれてたのでは? でなかったら「~容疑者」とか書かないよ。今回、パスポート返納命令という形で、政府に最大限かまってもらえて、その意味では良かったんじゃない? 他の真面目なジャーナリストと一緒くたにするのは違うと思うw
— 西牟田靖 (@nishimuta62) 2019年2月4日