現在、築地から豊洲への市場移転にともない、旧築地跡地を所管する中央卸売市場会計から一般会計に約5600億円で売却する「有償所管換え」を行い、国際会議場・展示場の建設構想にあたり議会で議論がなされてます。
小池知事を本会議場や常任委員会である財政委員会にて、「築地は守る、豊洲は生かす」を明言した執行責任者である小池百合子知事から直接具体的な説明や今後の展望を伺うことは当然のことであり、なぜか“知事与党”都民ファーストらの抵抗により実現叶わず、議会運営理事会が紛糾して委員会が止まると言う事態が発生しており、都民の皆様にはご迷惑をおかけしております。
本日なんらか動きも出そうな前に「一体どうなってるの?」とわかりずらい、議会の運営、運用につき、簡単に整理させて頂きます。
議会が知事に出席・答弁を求めるにあたっての強制力とその地方自治法規定
1.説明員の出席要求→「正当な理由」があれば、出席拒否、出席延期、答弁拒否ともOK
第121条 普通地方公共団体の長、教育委員会の教育長、選挙管理委員会の委員長、人事委員会の委員長又は公平委員会の委員長、公安委員会の委員長、労働委員会の委員、農業委員会の会長及び監査委員その他法律に基づく委員会の代表者又は委員並びにその委任又は嘱託を受けた者は、議会の審議に必要な説明のため議長から出席を求められたときは、議場に出席しなければならない。ただし、出席すべき日時に議場に出席できないことについて正当な理由がある場合において、その旨を議長に届け出たときは、この限りでない。
2.参考人招致→理由なく、出席拒否、出席延期、答弁拒否ともOK
第115条第2項 普通地方公共団体の議会は、会議において、当該普通地方公共団体の事務に関する調査又は審査のため必要があると認めるときは、参考人の出頭を求め、その意見を聴くことができる。
3.証人喚問(百条調査)→「正当な理由」により出頭拒否するときは、疎明をしなけれればいけない。理由なき出頭拒否、証言拒否、偽証には罰則あり。
*百条調査に、「証人」ではなく「説明員」として出席させることも可能。(罰則なし)
第100条第1項 普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の事務(自治事務にあつては労働委員会及び収用委員会の権限に属する事務で政令で定めるものを除き、法定受託事務にあつては国の安全を害するおそれがあることその他の事由により議会の調査の対象とすることが適当でないものとして政令で定めるものを除く。次項において同じ。)に関する調査を行うことができる。この場合において、当該調査を行うため特に必要があると認めるときは、選挙人その他の関係人の出頭及び証言並びに記録の提出を請求することができる。
第3項 第一項後段の規定により出頭又は記録の提出の請求を受けた選挙人その他の関係人が、正当の理由がないのに、議会に出頭せず若しくは記録を提出しないとき又は証言を拒んだときは、六箇月以下の禁錮又は十万円以下の罰金に処する。
第4項 議会は、選挙人その他の関係人が公務員たる地位において知り得た事実については、その者から職務上の秘密に属するものである旨の申立を受けたときは、当該官公署の承認がなければ、当該事実に関する証言又は記録の提出を請求することができない。この場合において当該官公署が承認を拒むときは、その理由を疏明しなければならない。
第5項 議会が前項の規定による疏明を理由がないと認めるときは、当該官公署に対し、当該証言又は記録の提出が公の利益を害する旨の声明を要求することができる。
以上
急ぎ整理しました。議会側での数の論理で知事を呼び出せない現状があり、上記手続きに至ることが来ていないことも問題なのですが、これだけ世論を騒がせているわけですから、議会サイドに呼び出されるまでもなく“知事与党”に守ってもらうことなく、小池知事が自ら説明責任を果たす場に積極的に応じる姿勢と自発的に都民へ説明を果たすことが、一番シンプルな方法だと私は考える者です。
お姐総括!
豊洲、オリパラ問題はマスコミも注目しますから、ここぞとばかりに声をあげ政局に持ち込む傾向が一定の議員にはあるようですが、私は、虐待死対策、教員による児童生徒への行き過ぎた不適切な指導、福祉施設や医療現場での大問題など、4800に渡る命と人権に直結する都政事業を職人議員として、都議会空転騒動を冷静に見ながら地道な点検と定点観測を引き続き続けております。
編集部より:この記事は東京都議会議員、上田令子氏(江戸川区選出)のブログ2019年2月19日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は上田氏の公式ブログ「お姐が行く!」をご覧ください。