「札仙広福」政令市比較 〜 広島市の将来像を展望する(上)

椋木 太一

こんにちは、広島市政を目指して安佐南区から挑戦予定のむくぎ太一(椋木太一)です。
花粉症歴10数年の私、椋木は、日に日に威力を増してくるスギ花粉にKO寸前となっております。

ところでみなさん、「札仙広福」(さっせんひろふく)という言葉を見たり聞いたりしたことはあるでしょうか?

政令指定都市の札幌、仙台、広島、福岡のそれぞれの頭文字からなる造語で、地方の中核都市、支店経済、産業規模、人口規模など、比較的似通った性格を持つ政令市を並べたものです。

画像はWikipediaより:編集部作成

この言葉が使われるようになった1960年代ごろは、上記の説明はおおむね的を得ていました。ところが、21世紀に入り、この4都市の「実力」が如実に開き始めたのです。中でも、福岡市の「イケイケ」ぶりは目を見張るものがあります。札幌市も人口規模において、他を圧倒しています。以前は並列されていた広島市ですが、すっかり影が薄い存在になりつつあります。

私、椋木太一は広島市で生まれ育ち18年間、福岡市で読売新聞記者などとして14年あまり暮らしてきました。その経験などをもとに、今や地方都市最強とまで言われる福岡市と広島市を様々な角度から比較し、広島市の理想的な将来像、そこへのプロセスを展望したいと思います。

両市の共通点は、上記のほか、「プロスポーツチームがある」(野球、サッカー)、「城下町だった」などでしょうか。

他方、「札仙広福」と一括りにされながら、多くの差異があると思います。中でも、両市の現在の実力差を生む要因は、「空港」の有無、東京からの「距離感」だと思います。福岡市には博多区に福岡空港があります。この空港は地下鉄で博多駅とわずか2駅で直結しています。また、九州一の繁華街・天神とも地下鉄で直結しており、10数分の距離にあります。この「奇跡の立地」にある福岡空港の存在により、東京―福岡間は1,000km離れていながら、さほど遠いと感じることがないものになっているのです。

一方、広島市には以前、空港がありましたが、様々な要因により市外に移転しました。空港は電車で結ばれておらず、広島市内からはリムジンバスで1時間かけて移動する必要があります。高速道路の事故などで延着のリスクが伴う空港です。岩国市に軍民共用の岩国錦帯橋空港が開港して以降、広島市内からの利用者が圧倒的に多いというのは、広島市民が現在の空港のアクセスに満足していないということの裏返しだと思います。地元住民ですらこういった状況ですから、東京からの距離感は相当なものだと察することができます。

道路にも差異はあります。福岡市の「都市高速」は頭一つ抜けているのではないでしょうか。数年前に環状化されたため、利便性が格段に向上しました。出入り口も各地域の拠点に設けられています。電車のように、駅を基点とした街づくりがなされている印象をうけます。

一方、広島の高速道はまだ、ほとんど連結していません。おのおの伸びているように見受けられます。すなわち、国道の「バイパス」としての機能しか持ち合わせていないように思われ、機能的とはいいがたいものとなっているのです。

また、地下鉄の有無も挙げられます。ただ、広島市は三角州という地質上の特性から地下鉄建設に膨大な費用がかかるというビハインドがあるため、一概に優劣を付けられるものではありません。三角州のビハインドを克服するため知恵を絞った「アストラムライン」の環状化に期待したいと思います。

以上見たように、交通インフラの差異が、都市間の実力差になって現れてきているように思われます。

参考書籍はこちらでした。

(中)に続く

むくぎ(椋木)太一  ジャーナリスト、元読売新聞記者
1975年、広島市生まれ。早稲田大学卒業後、出版社勤務などを経て2006年、読売新聞西部本社に入社。運動部記者時代はソフトバンクホークスを担当し、社会部では福岡市政などを取材した。2018年8月に退職し、フリーランスに。2019年4月の広島市議選(安佐南区)に立候補予定。公式サイトツイッター@mukugi_taichi1