今回の大震災では、図らずも、「電気」「水」「道路」「通信」の4大公共インフラの重要性が多くの人達に痛感された。特に「電気」の問題は、未曾有の原発事故と、それがこれからもたらすであろう深刻な電力不足の問題とも関連付けられ、発電部門と送電部門の分離の問題を含む「電力会社のあり方」にもやがて議論は及ぶだろう。
しかし、私の本業の携帯通信事業という分野に関しては、今回のことで何か特に新しい発見があったかといえば、そんなことはない。「放射性物質の拡散によって修理しなければならない設備のところに人を送れない」という事態だけはこれまで考えても見なかった事だったが、他の問題は、可能性としては勿論常に認識していた事である。「携帯電話の脆弱性が露呈された」等ということが色々なところに書かれているが、これは何も携帯電話に限ったことではない。固定電話は勿論、電気、ガス、水道、道路、鉄道、港湾、等々の全てが、大災害を前にしてはもともと脆弱なものなのだ。
これは3月14日付の「非常時の情報通信サービス」と題する私のブログ記事にも書いたことだが、この様な大災害においても威力を発揮するのは、結局は有線網に殆ど依存しない「衛星通信」だけだ。NTTは、離島へのサービス提供や非常時対応の為に、以前から自らの衛星回線を保有しており(かつては通信衛星会社のJSATに社長を送り込んでいた程)、今回もこの衛星回線を使った緊急公衆電話が被災地の随所で活躍した。
しかし、衛星回線を常時保有している為には相当のコストがかかる為、回線容量には限りがある。昔からこの業界にいる人は、かつて京セラがモトローラと組んで手がけたイリジウムという世界規模の衛星電話システムの事を覚えているだろうが、話題を呼んだこの事業も、結局は「事業性が全くない」事が露呈し、早々に破綻している。(破綻したのはイリジウムだけでなく、似たような他の三つの世界規模の事業も企画段階で断念を余儀なくされた。)
それでも、非常時には衛星に頼るしかないという事で、手前味噌で恐縮だが、ソフトバンクは、採算を度外視して、衛星用送受信機と簡易携帯基地局、小型自家発電装置などを車に積み込んだものを、取り敢えず70台、突貫作業で作った。タイの衛星の回線を確保し、アンテナはカナダから空輸した。「少しでも早く一人でも多くの人に通信回線を提供したい」という思いからだった。
こういう特殊な手当とは別に、ソフトバンクは既存基地局の復旧にも勿論手を抜いていない。福島原発から30キロ圏内で現在稼動していない合計38局の基地局については、作業員の健康を危険にさらすわけには行かないという会社の方針から、残念ながら手が付けられていないが、その他の地域では、エリアカバーについては4月14日の時点で震災前の状況に復しており、その後は、「応急的な措置」を「本来の通信品質と通信容量を確保した恒久措置」に切り替える作業を、5月末を目途に完了させるべく仕事を進めている。
にもかかわらず、一部のメディアには、この様な事業者の不眠不休の努力を殊更に斜めに見る攻撃的な記事が、時折掲載されている。一番ひどかったのは、「選択」という雑誌に出た「無用の長物と化すソフトバンク携帯」というタイトルの記事で、随所に事実と全く異なることが、「伝聞」「推測」という形で、裏取り取材皆無で書かれている。全体を通して「不公正で悪意に満ちた一企業に対する攻撃」と見做さざるを得なかった為、ソフトバンクは「名誉毀損、営業妨害で立件できる」と判断、「選択」に対して「訂正」と「謝罪」を求める内容証明付の要請文書を送った。
さて、話がちょっと横道にそれてしまったが、私が今回の記事で読者の注意を喚起したいのは、勿論こんな瑣末なことではない。「選択」の記事を槍玉に挙げたのは、たまたまこの記事の中に、一般論のレベルでも多くの問題が凝縮されていたからに過ぎない。以下、今後の議論の対象となるべき三つの問題について詳説する。
第一の問題:
この記事の終わりの方には、「携帯各社が利潤追求の為データ通信シフトに大きく舵を切る中で、地震はその死角をついた形になった。」「通信会社のキャンペーンに乗って、携帯電話に全ての通信手段を依存してきた日本国民は裏切られた。」「ユーザーがキャリアに求めているのは冗長な発信力ではない。寡黙にして揺るがない携帯電話そのものの発信力なのだ。」という文章が並んでいる。これらの全ては全く意味不明な文章だ。
先ず、資本主義体制では利潤追求が原則だが、各企業は利潤を得るにはユーザーが求めるものを供給することが必要である事を、勿論熟知している。データ通信シフトはネット社会が充実しつつある現在、世界中の事業者がとっている当然の企業戦略であるし、これによって、「何時でもどこでも連絡が取れる」といったような通信の基本ニーズの充足が犠牲にされているという事実は全くない。
次に、携帯電話も今回のような大災害の前では脆弱だったのは事実だが、では他にもっと良い手段があったかと言えば、そんなものは存在しない。旧来の固定電話は、家が破壊された時点で既に使えないので、携帯電話より脆弱だし、復旧にももっと時間がかかる。衛星電話は高すぎて庶民には手が出ない。この記事の筆者は何の代替案もないままに、ただ「ないものねだり」をしているだけだ。「寡黙にして揺るがない携帯電話」とは一体何を意味するのかは全く不明だ。そんなものは誰も見たこともなければ聞いたこともない。
しかし、もしこの記事の筆者が多少なりとも通信を理解する人だったなら、「非常時には輻輳を防ぐ為の発信規制が避けられない現行の交換システムから出来るだけ早く脱却し、全IP化を急ぐべきだ」と提案する事は出来ただろう。そして、その事についてなら、各通信事業者も真摯に検討するにやぶさかではないだろう。
第二の問題:
この記事の筆者は、ソフトバンクが総務省に対して、「一日も早く全ての地域で出来るだけ多くの人達が携帯電話を使えるようにする為に、各社の相互ローミングを促進すべきだ」と申し入れたのを槍玉に上げ、「ソフトバンクは自分は設備投資をせずに、他社の設備にただ乗りしようとしている」と非難している。このコラムの読者の皆さんもよくご承知の通り、この種の議論は、何も今に始まったことではなく、これまでにも何度も繰り返されてきた議論だ。
私がいつも不思議に思うのは、何故本来中立的な立場である筈のジャーナリストや一般の論者が「ユーザーの立場から見た得失」には全く触れようとせず、ひたすら「事業者同士の得失」に興味を持ち、その一方に肩入れする議論をするのだろうかということだ。穿った見方をするなら、その事業者から何らかの依頼を受けたか、または何らかの恩恵を期待しているのではないかとさえ思える。
私自身の立場は明快だ。私は現時点でソフトバンクの現役の役員だから、自社の不利になる事を主張することは出来ない。従って、主張するのは、自社が有利になる事か、最低限影響が中立的な事だけだ。しかし、いくら自社に有利になるといっても、理屈に合わない事や、ユーザーの為にならない事を主張してみても、受け入れられる訳はないから時間の無駄だし、そもそもそんな主張をする事自体が恥ずかしいから、このような場でそんな事をする積りはない。
尤も、「ローミング」や「設備共用」については、「ユーザーにとってはメリットが大きく、デメリットはない」「国民レベルでの経済効率やエネルギー消費の節約の観点からもメリットがある」という事が堂々と言えるので、常に同じ主張を繰り返している。そもそも、トラフィックが常に過飽和状態にある大都市の中心部ならともかく、さしてトラフィックのない過疎地域に多くの事業者が競い合って鉄塔を何本も建てる事は全く意味がない。費用を出し合って一本の鉄塔を共同で建てるとか、チャンピオンを決めてお互いに相乗りすれば、全体のコストが下がってその分をユーザーに還元できるし、節電にもなる。
しかしながら、もし私が、先行者メリットと規模のメリットを併せ持つドコモの役員だったら、簡単にそういう話には乗れない。むしろ、「設備の共用」や「相互ローミング」が義務付けられることがない様に、必死で理論武装するだろう。「顧客ベースの小さい他社なら割に合わないが、自社ならぎりぎり割に合う」という設備投資分野(地域)はかなりあるから、「ここで競合する他社に差をつけない手はない」と思うからだ。ローミングについて言うなら、ユーザーには勿論喜ばれるし、ローミング料が稼げるので投資回収も早くなるが、「他社と差をつける」というメリットは簡単には捨てたくない。
要するに、この種の問題は、事業者同士が口角泡を飛ばして議論してみてもどうにもならない。本来、ユーザーである国民と、ユーザーの立場や国としてのメリットを考えるべき立場にある総務省が、よく考えて決め、事業者に要請すべき事だ。ローミングについて言うなら、勿論「ただ乗り」はあってよい筈はないが、レセ・フェールでは事業者同士で話し合いがまとまる筈もないから、どんな料金がフェアかを総務省自身がよく考え、裁定に乗り出すべきだ。
第三の問題:
「それでは、今回のことを教訓に、将来の為に何をすればよいか」という肝腎の事については、この記事の筆者は結局何の具体的な提言もしていないが、それでは何の貢献にもならず、そもそもこんな記事を書く意味すらがない。
私なら、前述の「ネットワークの全IP化の促進」と並んで、下記を提言する。
1)総務省が呼びかけて各事業者の担当者レベルのタスクフォースを構成させ、「災害に強いネットワークのあり方」と「災害時の相互協力のあり方」について早急に協議の上、提案書を作らせる。
2)日本の業界が国際社会に呼びかけ、例えば世界の携帯キャリアの連合体であるGSMAが「被災地向け応急措置パック」(「衛星回線の優先利用権」と「衛星送受信機付簡易車載基地局」の組み合わせ)の在庫をもち、どの国のどの地方で災害による障害が生じても、これを貸し出す事によってすぐに対応出来る体制を整備する。
コメント
固定電話は家を破壊されたら使えないから脆弱だと言う理屈なら、IP化したって震災でケーブルが切断されれば同じだろう。言い訳にさえならない。
手前味噌で云々言っているが、SBは平時からどれだけの準備をしていたというのか、ドコモやauは移動基地局や電源車を平時からきちんと準備していたし、ドコモは原発から20キロ県内の基地局の復旧のために防護服を装備して復旧させた。松本氏とは通信インフラに対する意識の差は雲泥の差だ。
それにユーザーにとってメリット・デメリットなどの言い訳にいたっては笑止千万。
ハイスピードエリアの非公開や携帯キャリアで唯一緊急地震速報に対応していないことがユーザーが求めていたこととでも言うのか?ユーザーのメリットとでも言うのか?
先行者の建てた基地局に相乗りさせろと言うのなら誰が進んで基地局を立ててエリア整備をしようと考えるキャリアが出てくるだろうか。
SBはユーザーにメリットになる、ユーザーが望んでいるiPhoneのSIMロックを外しているだろうか。
SBがドコモやauに接続する料金よりその反対の料金のほうがずっと高い理由をどう説明するのか。
納得のいく説明をお願いしたいものだ。
無理だと思うが。
http://www.sentaku.co.jp/category/economies/post-1579.php
全文では無いかもしれませんがこちらのことですね。
記事後半「関係者談」の真偽は解りませんが、「岩手めんこいテレビ」震災時におけるSBM通信状況の
ページは各所で話題になってた話です。
原発などに提言する暇があったら震災後の早い時期に「このページ」に対してコメントしていればその後の「批判」も多少違ったものになったかも知れませんよ。
私個人としては是非裁判まで行って貰って
SBM自称基地局(苦笑)がいち基地局辺りどの程度の金額で作られ他社のそれとはどう違うかなど明らかになると興味深いです。
>レセ・フェールでは事業者同士で話し合いがまとま
>る筈もないから、どんな料金がフェアかを総務省
>自身がよく考え、裁定に乗り出すべきだ。
「光の道」からでしょうか時代遅れの「政商」みたいですね。
パイプの有る民主党政権が続いてる間に色々決めてしまいたいんでしょうか?(苦笑)
失礼ながら、kebaku99さんのコメントのようなものが全く意味のない議論の典型です。要するに「NTTのような伝統的な通信会社の価値観は立派でSBのような新参者がやることは全て胡散臭い」というのがこういう人達の凝り固まった考えであり、こういう姿勢からは何の進歩も生まれず、日本はどんどん沈んでいくでしょう。
SIMロックの問題、接続料の問題などについては、私の過去のアゴラの記事で十分説明しているので、それを十分にお読みになってから、その内容に対してコメントしていただければ済むことであり、今回の議論とは無関係。地震速報の問題も、半径20キロ圏内での基地局復旧作業についても、別問題として議論すれば良いこと。
基地局や鉄塔、物理回線の共用は、ユーザーコストを下げエネルギー消費を抑えようという観点から、世界のどこでも真剣に議論している事であり、たまたま生まれながらにして「規模のメリット」と「先行者メリット」を持った会社だけが、それを梃子にどんどん雪だるま式に大きくなっていけば良いなどという考えは、日本以外では通用しません。
(続き)
それから、kebaku99さんはIP網と交換網の違いを全く理解しておられませんね。私が固定電話の脆弱性を語ったのは、有線(固定)と無線の違いについて言いたかったからです。IP網と交換網の違いは別の次元の問題です。
交換網は先ず両端を繋ぐ回線を確保してから通信を行いますから、「回線確保」のところで「輻輳」の問題を起こしますが、IP網の場合は先に入ってきたパケットを次々に送っていくシステムですから、このような種類の「輻輳」とは無縁になるのです。
それでは電話のような「遅延」を許容しない通信の場合には不都合を生じるのではないかという人がいるかもしれませんが、VoIPの場合はQoSにプライオリティーをつけるので、遅延の問題は生じません。
morganさんへ
遺憾ながら、ソフトバンクの基地局のバッテリーには容量の少ないものが多く、またこれを補足するための電源車の準備も少なかった為に、バッテリーが切れてから停電解消の間までの時間にソフトバンクの不通局の数が他社に比し急上昇したという事実があり、これは大きな反省材料になっています。
不幸にして、この限られた時間内の問題が岩手めんこいTVに取り上げられ、ソフトバンクの状況が格段に悪いという印象を与えてしまったのは残念であり、これに対してすばやく説明がなされなかったのは、ご指摘の通り当方の手落ちです。
しかし、その後の復旧のベースは他社に全く引けを取らず、この事は河北新報を始めとして各報道機関で正確に報道されています。「選択」の記事はこの後のことですから、やはり悪意に満ちた恣意的な記事と見做さざるを得ません。
(続く)
(続き)
「自称基地局(苦笑)」などという斜めに見た用語の使い方はやめて頂きたいと思います。「中継局」は「基地局の延長設備」であり、「基地局」の範疇に入るものです。ソフトバンクでは、広義の基地局を「独立した基地局(81.194局)」と「中継局(41,314(局)」に分け、合計122,508局(直近の発表数字)の内訳をきちんと公表しています。
顧客規模が未だに十分でないキャリアにとっては中継局は極めて真っ当なカバレッジ拡充対策であり、これが批判や嘲笑の対象となるいわれは全くありません。顧客規模の大きなキャリアーであっても、過疎地域や複雑な地形の場所では、当然考えられるべきものです。
基地局のコストを出来る限り低くする努力は、全てのキャリアーが当然果すべき責務です。ソフトバンクの場合はエリクソンとNSNが基地局の主たるサプライヤーであり、彼等とは相当厳しい価格交渉を行っていますが、インドのキャリアー等と比べるとまだまだ厳しさが足らないのではないかと思っています。
基地局を建設して頂いている工事業者の皆さんとの価格交渉も厳しく、工事業者の一部からは「交渉が厳しすぎる」という怨嗟の声も上がっているとは聞いていますが、だからと言って、「手抜き工事があるのではないか?」と言わんがばかりの「邪推(憶測)」をされることは、発注者であるソフトバンクに対してというよりは、受注者である工事業者さん方に対して極めて失礼でしょう。
(続き)
政治家や官僚の方々に対し、「サプアイヤー(業界)の立場からではなく、国益やユーザーの立場から考えて欲しい」と申し入れることが、何故「政商」になるのでしょうか?
そもそもソフトバンクは、自民、民主両党に対して多額の政治献金を行っているNTT労組やその背後にいるNTTと異なり、一銭の政治献金もしていません。それなのに、どうしてソフトバンクが「政商」になる事が出来るのでしょうか?
自民党政権時代には、NTTを巨大な集票マシンと考える族議員さん方が、第二臨調以来のNTT分割論を、20年間にわたり「骨抜き・後送り」にしてきました。我々が、政権交代によりこの流れが変わることに期待したのは事実です。しかし、これからどうなるかはまだ分かりません。
morganさんも、NTT恩顧の方か、NTTファンの方とお見受けしますが、今後は事業者間の得失ではなく、純粋に何がユーザーの為になるかをお考え頂き、個々の件についてそれぞれに是々非々の議論をしていただけると有難く存じます。
私は被災地域でのiPhoneユーザーなのですが、残念な事に今回の松本さんの意見には賛成しがたい。SBのネットワークとリカバリープランの弱さはもっと改善すべき点が多いように思う。松本さんがやっていると仰るなら、ユーザーとのgapがなぜあるのか、不思議でしょうがない。
ともあれ、これらの点に関しては他の方が指摘し、松本さんも反論なさっているのでそちらに議論を預けるが、一方で携帯電話と言うインフラは今回のような大規模災害に対し以下のような議論が必要ではないかと思う。
1.通信トラフィックの抑制の解除
携帯電話がこれだけ普及して、緊急時の連絡ツールになっているのに、何かあると相変わらず80-90%のトラフィック抑制が行われるのはなぜか。普及期であればインフラが整わない、という事もあるだろうが、既に機器数としては飽和しているはず。公共インフラとしての認識があるなら「必ずつながる」と言う事は必要ではないか。
2.電源喪失時の対応
電波が届かなくなるととたんに携帯の電池は持たなくなる。今回の大規模災害では長期に渡って電源がない状況があった。これをシステムとして防ぐ方法はないか?
3.固定公衆電話網の維持
市民にとって、端末と中継局が電源ダウンした携帯に代わって、被災地で最も活躍したのはNTTの公衆電話だった(衛星電話ではない)。明らかに赤字のビジネスだろうが携帯網がダウンした際には貴重な代替手段だった。この維持をあくまでNTTの使命感でやらせていいのか?例えば基地局の相乗りを言うなら、バックアップとしての公衆固定電話の維持にも携帯各社は責任を果たすべきではないか。
松本さんのお考えをぜひ聞かせていただきたい。
公共のインフラ事業は時には採算度外視でやらねばならない「公共性」があります。正直、ソフトバンクは商売としてのインフラ事業であり「公共」としての責任感がない。
このことをしっかり反省すべきでしょう。採算が取れないなら緊急地震速報を搭載しないとか、移動基地局を災害が起きてから慌てて用意するなどという稚拙な行動は止めていただきたい。
航空業界のようにソフトバンクがローコストキャリアを名乗るのであれば別ですが、まともなインフラ事業を展開する気があるなら何に重視すべきか、軌道修正が必要でしょう。
ユーザが求めることをすべきというなら、まず実践しましょう。iPhoneのSIMロックも接続料の値下げもエリア強化もら緊急地震速報も、すべて以前からユーザが求めているものです。
今回のこととは関係ないだなんて言い訳しているうちはいつまでも半人前のベンチャー扱いしかしてもらえませんよ。
実際のところ、NTTやKDDIを引き合いにするのは少々気の毒な気もします。自分は今はDocomoユーザなのですが、NTTにもソフトバンクにも取り立てて過不足を感じておりません。精々ADSLの時のように孫さんが色々と業界をかき回して更なる全体の底上げに繋がれば良いなと期待する程度です。
その意味では、上記の厳しいコメントの数々も一種の叱咤かもしれませんね。
国が強制するローミングは、キャリア間の設備競争意欲が萎えるでしょうから、反対ですね。エリアは狭く災害時は弱いが、価格の安いキャリア、エリアは広く災害時は強いが、価格の高いキャリアなど、キャリア毎に個性があって、ユーザが自分の意思で選択できることが重要であり、ユーザにとってのメリットと思います。
しかし、
> さしてトラヒックのない過疎地域に多くの事業者が競い合って鉄塔を何本も立てる事は全く意味がない
には驚きました。ソフトバンクは、過疎地域も含めエリアを拡充して他社と対抗していくために、700/800MHz帯の電波免許を取得しようとしていると思っていたのですが、残念です。
そもそも、「設備共用」がよいとお考えなら、ソフトバンクは電波を国に返上して日本通信のようにMVNOになればよいのではないでしょうか。国は電波を、「設備競争」する意欲のある業者へ割り当てなおしたほうが電波の利用効率があがって、国民にとってもメリットになると思います。
sudoku_smithさんの3点のご指摘は尤もです。
1)については私の考えは交換網からIP網への早期転換しかないと考えています。(NTTの技術者の方に聞いても恐らく同じご意見だと思います。)但し、各社とも既存の交換網設備をそんなに簡単に捨てることはできませんから、やはり時間はかかるでしょう。(NTTの言っている2025年はあまりにも遅いとは思いますが。)
2)はその通りで、私の会社にとっても大きな反省点となっています。
3)は「業界でお金を出し合って災害時の緊急対策を一緒にやろう」という私の提案の中の一項目として検討できたらと思います。
shuuさんのコメントは、これまでも何度も議論している「通信事業の二つの側面」、「商業的に大いに自由競争すべき分野」と、「公益を重視すべき分野」の切り分けに関係する議論なので、機会をあらためて大いに論じたいと思います。
松本さんへ
私は新参者のやることは胡散臭いなどと行った覚えはありません。もしそのように感じたのであれば自らにそのような自覚や後ろめたさがあるからでしょう。
基地局復旧については松本さん自身が手前味噌と言いながらSBの復旧活動について書かれているので別問題などと逃げることはできませんし、重要な通信インフラを担っている意識があるのなら平時から今回のような災害時の準備をしておくのが当然なのですが、それについてのSBの体制についての言及は一切なく逃げています。
ドコモがやっていることをSBがやらないのに「手を抜いていない」のでしょうか?
松本さんはSBの利益に合致することにのみ「ユーザーにメリットになる」という言葉を使います。地震速報はユーザーにとって
とてつもないメリットになるにもかかわらず、なぜ何年間も対応しないのか理由を説明しません。これはハイスピードエリアを決して公開しない問題でも同じです。今回の松本さんのコメントでもその説明をせず逃げています。
(続き)
基地局の共用が「ユーザーコストを下げる」という理由ならば、接続料問題も同じことが言えるのではないでしょうか。それとも「ユーザーコストを下げエネルギー消費を抑えようという観点」はSBにとってだけのということでしょうか。
先行者メリットうんぬんを言う前にSBはやるべきことをやっているのでしょうか。
今回も800MHzを言い訳に使っていますが、ドコモが2GHzだけでエリア構築を完了している事実を見て恥ずかしくないのでしょうか。
IP網について松本さんは理由を後付けしましたね。
松本さんは今回の記事で「固定電話は、家が破壊された時点で既に使えないので、携帯電話より脆弱だ」と物理的な破壊の問題をあげながら、だから輻輳を防ぐためにIP化云々とはあまりにも支離滅裂でしょう。
今回震災地でSBの携帯だけがいつまでも繋がらないと多数の報告がある理由は、そもそも地方のエリア整備をおろそかにしていて、しかも復旧も遅々として進まず、代替手段も満足に用意もせず、いつまでも発着信規性を続けているからです。
お願いですからまともな回答をしてもらいたいですね。
ソフトバンクは元々東北地方のカバレッジは若干弱く、バッテリー問題で一時的に不通局が増えたという問題はありましたが、震災対応でソフトバンクが他社に大きく遅れをとったという事はないと思います。
社内の意識はきわめて高く、やれる事はなんでもやろうという強い意識と行動力があったことも事実です。
下記の日経BPの調査報告にもありますように、「震災対応」という事に関してはソフトバンクが他企業をおさえ、好感度で第一位にランクされています。
http://consult.nikkeibp.co.jp/consult/news/2011/0421bj/
tamanorisさんという人がTwitterで本質論と関係のない知識をひけらかしておられるので一言。
Iridiumは当初打ち上げ済みの衛星を爆破する計画でしたが、コストが合わないので放置する事になりました。(不幸にしてこのうちの1機が少し前にロシアの衛星と衝突したようですが…。)
「折角生きている衛星があるのなら使わない手はない」という事で、これを格安値段で使わせてくれる会社が現在存在しており、これは勿論良いことではありますが、「低軌道衛星は事業として成り立たないことが分かった」という本質論を否定するものではありません。
kebaku99さんがご指摘の事は緊急地震速報の問題を除いては既に過去の私のブログ記事で詳細に論じていることが多いのでkebaku99さんには先ずはそれをご熟読いただきたいと思います。http://agora–web.jp/author/matsumototetsuzoで一覧できます。
緊急地震速報については、あまりしつこく言われるので、私の過去のTweetをあらためて下記します。。
「緊急地震速報対応機種が少ない事については私に責任の一端があります。既に多くの方からもご指摘があるように、現在の速報は信頼性がもう一つで、誤報も多く、却ってデメリットもあるのではないかと私は危惧し、当初これを検討した際にはあまり熱心にはなれませんでした。」
しかし、「大いに役に立つ」という方も多く、デメリットを指摘する声はあるにはあってもさして大きくはないので、会社としては反省して、新モデルには大車輪で搭載することを既に決め、最近発表しております。
kebaku99さんと議論しても意味がないのでこれ限りにしますが、もう一言だけ。
震災時にはソフトバンクも発信規制をしましたが、そのパーセンテージは正確に公表しており、その数字はドコモの数字よりやや小さかったと記憶しています。勿論「選択」に書かれているような「95%」とか「100%ではないか」というのは全く事実無根であり、極めて悪質な「風説の流布」です。
kebakuさんのコメントにも「いつまでも発着規性(制?)を続けている」という言葉がありますが、これも全く事実と異なります。何を根拠にそういう事を言われるのかを明白にしてください。
なお、「ドコモは2GHZだけで全国ネットワークを作っている」というのも事実と異なると思います。地方へ行くと800MHzのみで、2GHzがないところは結構あります。そうでないとおっしゃるのなら、ドコモの方から言質を取ってください。
議論は大いに結構ですが、今後はただ悪口を並べるだけではなく、「事実」と「論理」に基づいてお願いします。