情報がまとまってきた。
池田信夫氏が18日の論考で、本件の問題の本質は、森議員が「台風前夜に多くの官僚を深夜まで待機させ、しかもそれを批判されると『規定の提出期限までに出した』と嘘をついたこと」だと言い切った。
森ゆうこ議員が嘘をついているかどうかは、森議員が11日16時過ぎに送付・確定させた通告以降、「何時に」、「何回」、「どのような資料を」出したのかを公開すればわかる。
16日付の産経新聞によれば、森議員は11日16時過ぎに送付した通告の「提出後も質問内容に関する資料を追加で政府側に渡していたことは認め、質問通告とは位置づけの異なるものだとの認識を示していた」とあるので、当日夜森議員が送付した資料が、通告の差し替えであれば森議員は嘘をついていたことになり、「詰み」である。もしそうであるならば森議員は、数千人の死者が出る可能性のある台風が、確実に東京を通過するタイミングに「嘘」をついて、多数の官僚やその家族を被災させかねない暴挙をしたことになる。
他方、森議員が11日夜に出した資料が、彼女が11日16時過ぎに送付・確定させた通告をしっかり補足する「ミーティングによるレクの代替」といえる内容であったなら、森議員の主張も議論の俎上にのせる意義はあると、私は考える。通告の締め切りから質問までの期間はすべて休日なので、レクを実施できない日程であったからだ。また、森議員は「通告の差し替えではない資料」を送付したと言っているので、巨大台風接近という状況を考えればひどく配慮のない行為であったとしても、少なくとも「嘘」はついていないことになる。
ただし、その前提は、先述のとおり「11日16時過ぎに森議員が送付・確定した通告」を一部にせよ差し替える内容であってはならない。その場合、森議員は通告を差し替えたことになり、自動的に「嘘つき」となる。些細なことに思えるかもしれないが、これは重要な点だ。
仮に、森議員が今の段階で「通告以外の資料しか送っていない」と言ったとしても、確定後森議員が通告内容を動かしている事実があれば、通告を確定させるまで帰宅することができない官僚は、資料受領終了まで森議員に足止めプレッシャーをかけられ続けていたことになるからだ。
以上のとおり、森議員の「資料公開」が一つの山場となると私は考えるのだが、提案したのは音喜多氏くらいで、国民民主党も森議員のふるまいを問題視している側も、また中立的な立場を標ぼうする各種メディアすらも、なぜかそこに触れようとしていないように見える。
実に不思議である。
高橋 富人
千葉県佐倉市議会議員。佐倉市生まれ、佐倉市育ち。國學院大學法学部卒。リクルート「じゃらん事業部」にて広告業務に携わり、後に経済産業省の外郭団体である独立行政法人情報処理推進機構(IPA)で広報を担当。2018年9月末、退職。出版を主業種とする任意団体「欅通信舎」代表。著書に「地方議会議員の選び方」などがある。