とにかく史上最低投票率になることは免れたのだから、埼玉県の選挙管理委員会も両候補者陣営もやることだけはやった、健闘した、と言ってもいいのかも知れない。
投票率が20.1パーセント余りと聞けば、この程度の投票率で国民の代表者たる国会議員を選んでいいのか、投票率が低すぎるということで選挙無効にしてもいいのではないか、などという議論が出てくる可能性があるが、しかし、当選した上田氏が100万票以上得票したということになるとこれはこれで立派なものだと言わざるを得ない。
100万人を超える人が現実に上田と書いたわけだから、これまで参議院の埼玉選挙区に立候補したどの候補者よりも上田氏の得票の方が上である。
埼玉県知事4期の実績、埼玉県内の市長会等の主要組織がこぞって上田氏の支援に回っていたという事実はやはり重い。
先の参議院選挙の投票率の半分以下だということだが、投票に行かなかった人は投票所に足を運んだ方々の選択に一任した、ということだろうから、上田氏にある意味で消極的支持を与えていた、と見做すことも出来る。
一方の立花氏もよく最後まで健闘したと言っていいだろう。
少なくとも先の参議院選挙でのN国党の候補者の得票を上まることが出来たのだから、N国党として現時点で獲得出来るギリギリまでの得票は出来たと言っていいだろう。
主要国政政党がいずれも自前の候補者の擁立を見送った参議院の補欠選挙である。
N国党に生理的嫌悪感を持つ方々もおられるだろうが、いわゆる従来の泡沫候補とは一味違った選挙戦を展開し、N国党の存在感をそれなりに示すことにはなったのだから、多分ご本人には悔いはないはずである。
珍しく今回の補欠選挙は、どこにも敗者がいない選挙である。
自民党も負けたとは思っていないはずだ。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2019年10月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。