徳井氏の税金問題:知らぬ間の納税、ちゃんと把握してますか?

お笑いタレントのチュートリアル徳井義実さんの税金問題、脱税なのか、単なる滞納なのか、はたまた納税する気がなかった納税拒否なのか、真相はわかりませんが世の中を騒がせています。

徳井さんの場合、いわゆるギャラが収入に相当すると思いますが、それを個人で受け取っていれば、個人としての所得税などの納税が必要になります。そして多くの芸能人がそうであるように、個人事務所を持っている場合あるいは所属をしている場合は個人事務所にギャラが支払われて、個人事務所から給料を受け取る方法をとっています。その場合は、個人事務所が法人としての納税、かつ個人の給与についても、事務所が個人に変わり納税する必要があるわけです。

こうした個人事務所は、いわゆる節税対策とも言われますけれども、しかし、単に節税対策だけではなく、普通は所属するタレントのマネジメントをやっている場合が多いです。例えば日程調整をしていたり領収書の整理をする社員がいたりして、その業務を行う社員さんにも給与が支払われるということになります。

徳井さんの場合は事務所に誰も存在していないし、事務所はあるけども機能していない、幽霊事務所のようになっていたわけで、ご本人の説明では「ルーズだった」ということですが、ルーズということで全てが済まされるわけではありません。

過去に納税していた事実もあるようですが、そのときには数百万円するような高級時計を経費として計上しており、それが認められなかったということもあったようです。確かに芸能人の場合などは衣装代などは経費として認められますかが、認められなかったそうです。

このブログをお読みいただいている方の中には会社勤めされている方も多いと思いますが、そうした方の納税はあなたに代わって会社などがしているのをご存知ですか?

個人が納める税金に所得税や住民税などがありますけれども、稼いだ収入全てに課税されているわけではありません。サラリーマンだってパジャマで会社に行くわけじゃありませんよね。そのためにスーツを買ったりすると思いますので、そうしたものをみなし経費として、給与所得控除額として収入から引かれます。

いわば収入を得るために必要な経費となるわけで、その額は収入に応じて65万円から220万円と幅があり、それを収入から引いた額が給与所得となります。さらに、その給与所得額から生命保険料や医療費などを差し引いたものが課税される、いわゆる課税所得になります。

会社員勤めの人は自分で計算しなくていいので、芸能人のような煩わしさはありませんが、私はここに別の意味で「ルーズさ」があると思います。というのも、給与明細を貰ってもちゃんと見てないルーズさ、裏を返せば手取りしか見ていないところです。

こうした芸能人の税金にまつわることが摘発されたり、発表されたりすること、正直これは税務当局が納税意識を社会に広く持ってもらうためというプロパガンダでもあると思うんですね。会社津留の人は都度申告する必要がありませんので脱税や滞納はありえませんが、この機会に給与明細をちゃんと見て納税意識を持ってみるといいですね。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年10月31日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。