日本経済新聞の記事によれば、国内で最も賃料の高い東京のエリアは、丸の内がある千代田区からIT企業が集積している渋谷区に移ったそうです(図表も同紙から)。
その理由としては、地形の問題から広い用地を確保できず、大型ビルの供給が増えにくいという特徴があるようです。そこにIT系の企業が集積するようになり、大規模なオフィスに高い賃料を支払う会社が増えたことが賃料上昇の大きな理由です。
私が会社勤務で仕事をしていた時は、大手町や丸の内で仕事をするというのが一種のステイタスになっていました。「丸の内OL」という言葉があるように、伝統的な大企業の本社として東京駅の皇居側は大きなブランド価値を有していたのです。
渋谷の賃料上昇はアメリカのサンフランシスコの地価上昇に似ています。サンフランシスコから近いシリコンバレーにテクノロジー企業が集まり、そこで働く人たちの住居としてサンフランシスコが注目され、テクノロジー企業がサンフランシスコにも集まるようになって地価は急騰しました。今や、サンフランシスコで家を借りて住むというのは、一般の人にとって難しくなってきています。マイホーム購入などは夢のまた夢のような高騰ぶりです。
渋谷は現在再開発で駅前エリアで大きな工事が続いています。東急東横線の渋谷駅は既にヒカリエの下に移転し、メトロ副都心線との相互乗り入れになっています。たまに渋谷駅に行くことがありますが、少なくとも現状は使いやすい快適なターミナル駅とは言えず、出来るだけ乗り換えには使わないようにしています。
また、新しいビルが次々と建って、いわゆる老舗の飲食店もあまり残っていません。街としての魅力も個人的にはあまり感じないのです。
再開発が一段落し、オフィスビルの供給が増えて、駅の動線もキレイに整理された時点で、渋谷が今と同じような高いオフィス賃料を維持できるのか?
東急が主導して進める、街全体のデザインがそこに集まる人たちにどう評価されるかによって、その方向性は決まると思っています。
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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2019年11月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。