本日、Change.orgに「NHKは大河ドラマ「麒麟がくる」沢尻エリカさん収録分を 予定通り放映してください!」という署名ページを立ちあげました。
NHKは大河ドラマ「麒麟がくる」沢尻エリカさん収録分を 予定通り放映してください!
この所続いている、芸能人の薬物事件ですが、事件が起こるたびに大騒動となる、作品の自粛や録り直しにより賠償金問題。騒ぎの割に、実際にそれほど大きな賠償金が実際支払われたという報道は出てこないので、そもそもどれだけのことが起きているのか?実際は謎ですが、こういう騒動が起きるたびに、我々依存症者とその家族は、いたたまれない気持ちになり、社会での居場所を失っていきます。
また、他の先進諸国では、刑に服することなく治療へと繋げられることが主流なのに、何故か日本では、刑罰の他にこのような私的制裁までも激しさを増しています。
こういうと「だから日本は薬物使用者が少ないのだ」という理論を持ち出す人がいますが、
この理論は三つの点で間違っています。
- 本当に少ないのか?そもそも調査がなされていないので実態については良く分かっていない。
- 違法薬物が表に出てきていないだけで、処方薬や市販薬の依存は多いがそれについては問題視されない。
- 薬物に限らず、日本は依存症からの回復者が非常に少ない。
ことです。仲間たちをみていると、この処方薬、市販薬の依存は非常に深刻で、違法薬物よりよほど断薬が難しいのが現実です。にもかかわらず、日本は「企業」に責任の一端があるものには皆が口を閉ざし、自己責任論については声高に叩きのめす傾向があります。
また、こういった自己責任論で叩きのめされることから、日本では自助グループの数などで比較してみても、回復に繋がり、止め続けている人が非常に少ないのです。
つまり依存症者は潜在化して実態をつかむことすらされず、回復できないまま死んでいる…これが日本の現実です。
これを「厳罰化ゆえ薬物問題は少ない」と、何も知らないタレントコメンテーターが叫び、薬物問題に関わったことのない一般人を煽り、騒ぎを大きくしています。
騒ぎを大きくすれば、視聴率は上がるでしょう。また週刊誌も売れるでしょう。
けれどもそれでは日本の問題の根本的解決にはなりません。
再犯防止の観点からも、再び輝ける居場所があるということは非常に重要です。
そして回復者がロールモデルとなり、回復した姿を見せるのです。
日本では先駆的なネットメディア以外は、マスコミが辱めや吊るし上げばかり行うため、薬物問題について回復者に語る勇気を持ってもらうことができません。
「臭いものに蓋」とばかりに、一切口を閉ざし、触れてくれるな!という雰囲気を醸し出しいます。「汚点」といったイメージは、薬物問題に苦しむ潜在者をますます委縮させます。
薬物の自己使用は「被害者なき犯罪」と言われ、窃盗、詐欺、強盗ましてや殺人罪などの重犯罪とは違う、実際には軽微な犯罪です。それをわざわざ大被害を作りだし、「賠償金何十億!」などと画面に躍らせ、重罪人のように見せる現在の日本の芸能界の風潮を是非ともここで食い止めたく今回の署名活動に踏み切りました。
確かに違法薬物問題は、世界の大問題です。けれどもバッシングで解決に向かった国は一つもないのです。違法薬物の製造者や売人に厳罰が下るのは当たり前です。
けれども末端の自己使用者を同じような厳罰に処しても効果は上がらないどころか、ますます悪化してしまうというエビデンスが現にあるのです。
薬物問題を抱えた人々は、絶望では変われません。
自分を変えた先に、希望があるからこそ変わる勇気が持てるのです。
芸能界は、同じ芸能人に手を差し伸べて欲しいし、NHKは、依存症問題に苦しむ人々に配慮した決断を下して欲しいです。NHKが、見せしめに走るようなことが、これ以上起こらぬよう願っています。
どうか皆さま、主旨にご賛同頂き、署名の方宜しくお願い致します。
田中 紀子
公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表
国立精神・神経医療センター 薬物依存研究部 研究生
競艇・カジノにはまったギャンブル依存症当事者であり、祖父、父、夫がギャンブル依存症という三代目ギャン妻(ギャンブラーの妻)です。 著書:「三代目ギャン妻の物語」(高文研)「ギャンブル依存症」(角川新書)「ギャンブル依存症問題を考える会」公式サイト