震災世代が、三陸の未来をつくる

今年も岩手県主催の「三陸創生実践塾」にて講師を務めに、陸前高田に向かいました。岩手沿岸市町村の若手職員向けの研修です。復興も次の段階を迎えつつある中、若い公務員が高い意識をもって頂くことが必須です。

第5期三陸創生実践塾 塾生9人迎えて開講

驚いたのは、ことし受講した職員の一人は、震災当時高校2年生だったこと。また県庁に今年入った方は、当時中学3年生だったこと。2011年に被災を経験した中高生(私は震災世代と呼んでいます)が、いよいよ地域を担う存在になりつつあるのだなあ・・と感じました。

当日、お伝えしたことを3つ紹介します。

1.岩手の人口変化に対応する

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岩手も今後さらに少子高齢化が加速します。2014年と2040年を比較すると、高齢者の人口は変化しません。一方で、生産年齢人口は39パーセント減り、若年人口は42パーセント減ります。仕事も、地域の助け合いも、ライフスタイルも、年々変わっていくことになります。今回受講した皆さんは20-30代でしたから、2040年には幹部職員になります。その時に必要な公共サービスとは何かを考えていただく必要があります。

2.世界のマーケットを相手にする

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RCFはAirbnb社と釜石市の連携をサポートし、先日のラグビーワールドカップでも釜石でのイベント民泊実施を支えました。

地域の人口が減少する中で、地域向けのサービスは細っていきます。岩手に住みながら、世界中にサービスや商品を堤供できるかが、重要な課題になります。先日、ナショナルグラフィックが、「2020年ベスト・トリップ」で世界25ヶ所のうちの一つに東北を選びました。

「ナショナルジオグラフィック」で東北が2020年ベスト・トリップに選出。世界の有力誌で軒並み高評価に(やまとごころ .jp)

実は世界は、東北のことを、新鮮な目で見始めています。そのことに地域が気づき、世界のニーズを充たしていけるかが問われています。

3.岩手沿岸の魅力的な仕事を創造し、発信する

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農山漁村地域に移り住むニーズは、実は年々高まっています。しかも、その傾向は若い世代ほどに顕著です。しかし、実際には移住者は増えず、東京への一極集中が続いています。理由は明確です。魅力的な仕事が見つからないからです。

地域に魅力的な会社も経営者もいます。しかし、変わらず地域はハローワーク経由で最低賃金ギリギリの仕事を出し続けています。1000万も必要ないんです。私の感覚では、400万出し、しっかりしたポジションを用意できれば、有意な人材は来ると考えています。

新しい三陸へ

こうした、これからの三陸を考える論点を紹介し、若い職員お一人お一人がそうしたテーマに向き合ってほしいとお伝えしました。私は早い時間で失礼しましたが、職員の皆さんは深夜遅くまで、これからの三陸のことを語り合っていたようです。市町村の枠をこえて、ぜひ皆さんには新しい三陸を創り上げてほしいと期待しています。


編集部より:この記事は、一般社団法人RCF 代表理事、藤沢烈氏の公式note 2019年12月10日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は藤沢氏のnoteをご覧ください。