確定的な人口減少。新しい時代のライフスタイルを考える

石川 貴善

本来は人口減少を含めたさまざま社会的な課題を、「タブー」と称して正面から向き合って来なかった歴史的な経緯とそれぞれの社会課題を取り上げようと思いましたが、相次いで統計を見ましたことから、人口減少を前提としたライフスタイルに関して取り上げます。


このテーマは拙文「少子高齢化と人口減少の中で、世代間格差は避けられない」「8-9千万の人口に合わせた価値観と社会システムを」でも取り上げましたが、政府から発表された統計では人口減少や少子化により拍車をかける内容となっています。

世帯人員が1人の世帯が1588万5千世帯と最も多く、一般世帯の3割を超える
一般世帯数(5092万8千世帯)を世帯人員別にみると,1人世帯が1588万5千世帯(一般世帯の31.2%)と最も多く,世帯人員が多くなるほど世帯数は少なくなってい平成17年~22年の増減をみると,世帯人員が少なくなるほど増加率が高くなっており,世帯人員が3人以下の世帯ではいずれも増加しているのに対し,4人以上の世帯
ではいずれも減少しており,特に6人以上の世帯では10%以上減少している。
平成22年国勢調査 抽出速報集計結果
http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2010/sokuhou/pdf/gaiyou1.pdf

こうした背景から、1月で用いた図表に新しい統計を足してみますと、下記のことが判明します。
アゴラ-0630
1)分母となる婚姻総数自体は、依然として減少傾向に
2)合計特殊出生率は若干向上したものの、団塊ジュニア世代の影響かこども手当の影響かは今の段階で分からない
3)50歳でほぼ確定とされる生涯未婚率の統計で、30歳での未婚率の5-60%になる確率が確定的に

実際に福島における放射能の被ばく被害と同様に、国(中央官庁)が見て見ぬ振りをしている間に人口減少の課題が確実に広がっていることは明らかですし、メディアでも配偶者に求める年収や産む選択の自由に関してトラブルになりやすいため、「少子化タブー」として報じない傾向が強くなっています。
こうした傾向は現代日本だけではなく、ベネチアの末期やローマ帝国の末期に共通していますが、衰退していく中では家族を増やすと共倒れになりやすいですので、自然と独身を貫く傾向が増えていきます。

そのため、この部分では国家が崩壊したと考えて行動することがより大切でしょう。主な方策として考えられるのは、

1)独身を前提としたライフスタイルと生活設計を行う。
色々な生活スタイルがありますが、例えば
・老後も働くというアジアモデル
・株式や投信など資産運用にウエイトを置くアングロサクソンモデル
・公務員や大企業の場合には、企業年金によって公的年金を補うフランスモデル
など今のライフスタイルと近い形を研究するとよいでしょう。こうした生活設計は早い段階のほうがより楽になります。

2)海外への転職/移住
少子化の大きな要因として、日本だけでは将来の期待が見込めないといった課題があります。そのため国内だけという発想を捨て、海外を含めより広い領域での共存共栄や、国内に居ても海外企業との接点を増やすことが挙げられますが、語学習得は欠かせません。

3)客家のような共同生活
現在のアパートは1人のみの契約形態のため、プライバシーは確保できるものの固定費がかかる傾向は否めません。中国の客家のように、円楼という丸い建物に数十家族が共同生活をする民俗風習がありますが、擬似大家族のような形も今後模索されていくと考えます。

石川 貴善(アゴラ執筆メンバー)
ブログ http://itsolution01.blog34.fc2.com/
Twitter @ishikawa_taka