アメリカに長嶋茂雄的リーダーが生まれる日?

今年も世界最大(級)のスポーツイベント、スーパーボウル(米国のアメリカンフットボールプロリーグNFLの年間決勝戦)の時季がやって来ました。

この記事は、普段アメフトなんて全然興味ない人も、年にこの時季だけ「ニワカ」ファンになって一試合だけ見てみると、「アメリカの今」「時代の流れ」が凄くわかる体験になるよ・・・というオススメ記事です。去年からやってます。

特に、世界がどんどん複雑化していく中で昔ながらの「伝統的アメリカンヒーロー」が難しくなってきた時代に、ひょっとして「長嶋茂雄的リーダー」がアメリカで必要とされつつある流れってあるんじゃないか・・・というのが今年の記事のテーマです。


 アメリカの大統領選挙レースが色々と報じられている昨今ですが、アメリカというのは「アメリカ以外から見てもまるわかりな部分(ハリウッド映画とか大統領選挙とか、日本の場合メジャーリーグ・ベースボールとか)」がある反面、「アメリカの中」だけで物凄く熱狂してるのに他から見ると全然それがわからない分野もかなりあります。NFLはその代表的なものなんですね。

毎年年間最高率になるスーパーボウルのテレビ視聴率は大統領選挙の投票率と同じぐらいだし(ちょっと雑な数字の比較の仕方ですけど)、アメリカではこの日は誰も仕事しないとか言われるイベントなんですが、アメリカの外から見ると大統領選挙の印象とは全然違うレベルでしか存在感が感じられません。

また、NFLは「アメリカのガラパゴス文化」というだけでなく、スーパーボウルがサッカーのワールドカップやオリンピックと同等レベルの巨大イベントだということは、日本に住んでいると(というかアメリカ以外に住んでいると)ほとんど実感が湧きませんね。

しかし、例えばこのフォーブズが出しているスポーツイベントブランド価値ランキングによると、2015年版でも夏・冬オリンピックやFIFAワールドカップを超える5億8千万ドルで世界最大のスポーツイベントだということになっているらしい。

まあ正直こういうのは数字の作り方次第なので、特に「一つの試合を見てる人の数」で言うとサッカーワールドカップが圧勝なんですが、競技数が多い分「どれか一個でも見た人の延べ人数」ではオリンピックがおそらく一番で、「関連する経済効果」という観点で見ると、世界最大の経済であるアメリカで異常なほどの人気な分、まだスーパーボウルが1位だという風に言い張ることもまあ可能だという規模なわけですね。

例えば日本で紅白歌合戦を経年で見続けていると、色んな「公式的な情報」とは違うレベルで「世相の変化」というのがかなり感じられるんじゃないかと思います。

スーパーボウルは最近凋落気味の紅白歌合戦を超える「アメリカの一大イベント」なので、そこには「大統領選挙のような国際ニュースにもなる表の顔」の裏にある「今のアメリカ」を象徴するような何かが現れるんじゃないかと思って、毎年この時期だけニワカファンになってNFLを見てみよう・・・という試みを私はここ数年やっているわけです。

スーパーボウルの「今」を見ることから逆に大統領選挙の行方を眺めてみる・・・ということも面白いかもしれません。

日本時間でいうと2月8日月曜日の朝8時半からです。NHK-BSかCS放送(GAORAおよび日テレG+)、関東地方では録画ですが日本テレビでも見れます。平日の朝なので録画がオススメです。この記事を月曜朝の通勤電車の中で見つけてしまったアナタも、再放送がいくつかあるので今日帰ってからでも録画予約できることが多いでしょう。

どの放送も解説者が凄く丁寧に教えてくれるので、ほぼ予備知識なしで見ても試合時間中にだいたい理解できるようになります(NHKが一番初心者向けに解説してくれる印象です)。

昔ほどの唯一のスーパーパワーでなくなってきているアメリカですが、そういう「衰退期」だからこそアメリカについて深く知る必要があると私は考えています。

世界がアメリカ中心に安定して動いていた時は、それは空気のようなもので、別にたいしてこっちから知る努力をする必要はなかったとも言えます。

しかし世界が多極化に向かい、アメリカの影響力が減衰してきた中で、”それでも人類は世界戦争せずにいるにはどうしたらよいか”というのは、空気が薄くなって呼吸が苦しくなって始めて空気のことを私たちは考え始めるというような意味で、経済・政治・社会その他の色んな面でむしろ「空気」についてよく知り、深く考える重要度は上がってきているわけです。

過去にいくつかの著作で触れてきたように、 「アメリカ支配が終わる」ということは、「アメリカさんが爆撃してとりあえずの秩序を作ってくれていたから今まで安穏としていられた」人たち全員に「責任」が生まれるということです。

今まで「アメリカの悪いところ」を指摘すれば済んでいた全ての人が、「アメリカなしに戦争せずにいられるかどうか」についてリアリティを持って自分の責任で考えなくちゃいけない時代になってきている。

そういう意味で、「表の国際ニュース」に現れてこないような、アメリカ社会の「本能レベルの大きなうねり」について、多少興味を持ってみるといいんじゃないか・・・と私は考えています。

まあ、そんな大仰なことを考えなくても、巨大なカネがかかってるイベントというのは関わっている人間の「本当の必死さ」がほとばしるエンターテイメントに必ずなりますから、軽い気持ちで普段は見ないスポーツを見てみるのもいいかな・・・と思っていただければと思います。

細かいルールを予習しておきたい人は昨年の記事を参照いただくとして、今年の記事では前回も多少触れた「世界の多極化に対応したアメフトのプレースタイルの変化」についてより集中的に考えてみます。

名づけて、

「伝統的アメリカン・ヒーローの終焉」と、その先の新しいモデルとして、「長嶋茂雄的リーダーシップ」が生まれるつつあるかも?

といった話でしょうか。

今回の記事を一枚絵にまとめると以下のようになります。

superbowlqbs

(画像はクリックで拡大します)

アゴラの文字数限界が来ているので、続きはまた後日掲載します。今日一気読みしたい方はブログでどうぞ。

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倉本圭造
経済思想家・経営コンサルタント
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