同性愛は個人的な趣味?小林ゆみ区議の発言から考える

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。
先週末の土曜日は私が運営しておりますオンラインサロン、宇佐美典也とおときた駿の「あえて政治の話をしよう」の月一勉強会でした。


講師は進化心理学・内分泌行動学を専門とする東大特任准教授の坂口菊恵さん。
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『「生物としての使命を果たしていない」ってホント?性と家族をめぐる研究と社会 』

と題して、いま話題のLGBT・同性婚などについて、学術的な見地から講演と活発な議論が行われました。

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そんな矢先、こんなタイムリーな話題が…

【発言全文】「同性愛は個人的趣味」 支援を疑問視する杉並区議の発言に批判
http://www.buzzfeed.com/daisukefuruta/it-is-about-love#.ryO67E2XNZ

そのため、ここで整理をしておきたいのですが、レズ・ゲイ・バイは性的指向であるのに対し、トランスジェンダーは性的自認であり、医師の認定が必要である明らかな障害であると言えます。トランスジェンダーの方は法律的に保護する必要があり、世間的な目からの誤解を解かねばなりませんので、彼らの人権のために区が啓蒙活動をするのは問題ないと考えます。また、トランスジェンダーの方は、障害であると認められているからこそ、性別を変更できるなどの法的な救済策が定められています。
それに対し、レズ・ゲイ・バイは性的指向であり、現時点では障害であるかどうかが医学的にはっきりしていません。そもそも地方自治体が現段階で、性的指向、すなわち個人的趣味の分野にまで多くの時間と予算を費やすことは、本当に必要なのでしょうか。

(上記記事より抜粋、強調筆者)

うーん、なかなか過激な発言です…。
発言の全文や彼女のブログを読むと、

「トランスジェンダー(T)を他のマイノリティを一緒にするべきではない」
「差別を是正しようとすることが、逆の差別を生み出すことになっている」

という指摘については、政治的な主張としてあり得ると思います。
「LGBT※1といっても、決して一枚岩ではない」ということを示した点は、改めて議論するに値するかもしれません。

ですがその前提として、レズビアン、ゲイ、バイセクシャルは「個人の趣味=性的嗜好」※2と言い切るのは果たしてどうでしょうか?

※1
ただし、セクシャルマイノリティ間の連携を図るために「LGBT」という単語が生まれてきた運動の背景もあり、ここで改めてトランスジェンダーを別枠にするのは逆行との見方もある。

※2
記事中やブログでは「性的指向」となっていますが、「性的指向(好み)」とブログで書いてあるように、本人は嗜好の意味で使っていて誤変換しているのでは?

この問題を勉強会で学んだ進化心理学・生物学の視点から検証してみます。
同性愛は趣味嗜好と捉えることは、

「自然界には同性愛なんて存在しないんだ理論」

にも通ずる点があります。
しかしながら自然界に目を向けてみると、

・ニホンザルの雌はほぼバイセクシャル
・ボノボ(チンパンジーの一種)は雌の性行動の60%が同性相手
・イルカにも主にオスの同性の性交がある(メスもある)
・ペンギンは同性カップルも子育てをする

などなど、枚挙に暇がありません。
同性愛の個体が生まれる進化的な説明としては、

【血縁淘汰説】
1.ゲイの個体は同性同士の苛酷な競争から距離を置くかわりに、親族の子の生存を助けている
2.親による操作→ゲイの子どもは子育て協力要員として期待される

【多面発現による平衡淘汰説】
3.ゲイの遺伝子は、他の方面で繁殖や生存率を上げるのに役立っている
例:ゲイの人物は大家族出身が多い-遺伝子を持っていても同性愛者にならない場合、子どもを残しやすい形質として現れる
http://www.bbc.com/news/magazine-26089486

【生存戦略説】
4.同性との連合を維持するため

などが仮説として立てられており、現在では平衡淘汰説が有力と目されているそうです。

またヒトの脳の研究も行われており、Simon LeVay氏は同性愛者と異性愛者の脳の差異を発見したとして有名になりました。

脳の深部(視床下部)にはさまざまな脊椎動物でオスの方が大きい神経核の存在が知られており、同性愛者の脳はこの神経核が異性愛者に比べて小さかったというデータが示されています。

また、ヒツジはストレートオスが7割程度で、完全にゲイのヒツジが8~9%いると言われています。

ゲイオスの脳を調べると、性的指向を決定するとされている「性的二型核」がストレートオスとメスの中間程度になっており、この核の違いは出生前から存在しています。つまり、後天的な取得ではないということです。

上記のような観点から、

「同性愛は個人的趣味である」

という前提に立つのは、かなり厳しいと言わざる得ません。
「LGBTという概念ですべてを一括りにするべきではない」という問題提起の補強したかったのだろうと推察しますが、別の論拠を示すべきだったと思います。

加えて「わが国は差別が少ない」と断言したり、海外の事例を引きながら「これ以上の過剰な権利擁護は、新たな逆差別を産む」と主張することにも、少々無理があるのではないでしょうか。

ただ、これまでいわゆる「炎上」してきた議員たちのうかつな失言と異なり、一人のトランスジェンダーの方の意見を取り入れながら、ある種の「信念」を持って議会で問題提起された姿勢に関しては、是とされる範囲かな…と感じています。

私もまったく他人のことを言えた立場ではないのですが、議員も時に過ちをおかし、指摘や別の意見に触れながら成長していくもの。

今回の事件をきっかけに、また世論が醸成され、議員たち自身の意識も変わっていくきっかけになることを願うばかりです。

それでは、また明日。

おときた駿 プロフィール
東京都議会議員(北区選出)/北区出身 31歳
1983年生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループで7年間のビジネス経験を経て、現在東京都議会議員一期目。ネットを中心に積極的な情報発信を行い、地方議員トップブロガーとして活動中。

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