どうも我が国は戦後の占領時代からの刷り込みのせいか、思考停止でアメリカ様にも未定で媚びへつらうのが安全保障と思っているようです。ですから自衛隊を機能させるための法整備も行わず、戦争ごっこの状態からも変わりません。国会にまともな安全保障の専門家もおらず、秘密会議すら開けない。
防衛省、自衛隊にはまともな安全保障政策の立案能力もない。情報収集分析もできない。
装備調達の当事者能力がなく、官邸はアメリカ様に揉み手で媚びへつらうために、トップダウンで防衛省に不要で高価な兵器調達を押し付ける。
まあ、控えめにみても昔のフィリピンみたいなもので、当事者能力が欠如しています。
いっそのこと自衛隊を解体して、例えば年間3兆円で防衛を肩代わりしてもらったらいいんじゃないですか? 今の防衛費は買い物予算と化した補正予算ふくめて6兆円弱ですから、約3兆円が浮きます。そのうち2兆円を国の借金払いにあてて、1兆円を貧困対策とか、奨学金とか、研究開発とかに当てたほうがいいんじゃないでしょうかね?
河野大臣も米軍に占領され続けている横田空域は問題ないと会見で仰っていました。
防衛省自体は米国との調整のために残すにしても、500人もいればいいでしょう。であれば労働市場に25万人以上が投入できます。人口減少の我が国では得難い労働力です。
そして自衛隊がなくなれば、米国に海外派遣しろと言われなくて済みます。
無能に防衛任せるよりは遥かに国民にとっていでしょう。更に申せば、円をやめてドルを通貨にすればいい。少なくとも為替損益が激減するというメリットはあります。
どうせ属国なんだから開き直って、属国として生きているのもあり、じゃないですか?
以下は朝日新聞のわりと刺激的な記事です。
(日米安保の現在地 近未来の同盟)戦闘機、米圧力で共同開発へ 英との連携、阻まれた日本
「(日米)両国の企業同士が、日米政府の関与の下で協議することが妥当であるとの結論に至った」
日本からは三菱重工など8社を、米側からボーイングなど3社の企業名をあげ、官民合同の「日米企業協議」を設け、開発の全体像と経費、スケジュールを協議したいと呼びかけた。防衛省関係者は「日米の協議は共同開発を確約するものではない」と予防線を張るが、文書は「日米」が固まったことを意味する。
F2後継機をめぐり、防衛省内には、同盟国・米国ではなく、あえて英国と連携を模索すべきだとの声があがった。「F”戦闘機の開発で、米国に技術もカネも吸い取られたトラウマがあった」(防衛省幹部)
まあ、我が国の政府に外交能力があれば、先のFXでもアメリカ様と同じ戦闘機欲しいよう、とすり寄ったりはしなかったでしょう。戦闘機開発生産基盤を維持するという政策維持であればF-35Aの調達は論外で、ユーロファイター一択だったでしょう。
そうすれば当然、アメリカに対してもゴリ押しするとあれこれ他所から買うよ、いい?というメッセージになって、外交のカードが増えたはずです。ところがカードゲームやっているのに全部相手に見せてプレイしているようなものが我が国の外交です。
F2後継で英国と連携を模索した理由を、防衛省幹部は「最終的に米国に協力を仰ぐにしても、まず英国と組んで開発を進めれば、米国に押さえ込まれずに済む」。そんな日英連携の動きを察知した米国は昨春から、すかさず巻き返しに動いた。
「英国と組めば、日米でネットワークやシステムを連動させるインターオペラビリティー(相互運用性)が図れなくなる」「トランプ大統領の反感を買うぞ」
米政府関係者や元高官らは政権幹部らに接触、こう吹き込んだ。官邸も「日米共同開発」に軸足を移し、政権幹部は「大事なのは日米同盟。米国以外と組むことはあり得ない」と語る。
アメリカ製買わないと相互運用できないなら英国もオーストラリアも相互運用が出来ていないことになります。NATO諸国もそうでしょう。こういう常識すら知らない芋掘り代議士のいかに多いことか。
(日米安保の現在地 近未来の同盟)米兵器「爆買い」、突き進む日本 購入額16倍超、米の不満かわす
トランプ氏は上機嫌だった。日本政府が、導入予定だったF35の42機に加え、半年前の閣議了解で105機の追加購入を決めたことをほめたたえ、こう語った。
防衛計画大綱では戦闘機の保有機数を「約290」と規定する。戦闘機は通常、不具合に備え、特定の機種に偏らないよう、3~4機種保有する。ところが、将来はF35が5割超を占める。
安倍政権がF35の大量購入に突き進むのは、トランプ氏が掲げる「バイ・アメリカン(米国製品を買おう)」に呼応した動きとみられている。政府関係者は「今後開発するF2後継機の枠をも狭める米国製F35の爆買いをする必要があったのか」と首をかしげる。
ただでさえもF-35導入で国産ミサイルなどの開発に止めをさされたようなものです。F-35に我が国独自の兵装は積めませんから、それが過半数になればミサイル開発なんできないのは子供にも分かる話です。
FMSが増えればその分、日本国内の防衛産業が圧迫される。それでもなお、FMSに依存するのはなぜか。
防衛省幹部は「日本周辺の安全保障環境が悪化する一方、日本の技術開発への投資は不十分で米国の最新鋭装備に頼らざるをえない」と言う。ただ、「費用対効果で疑問視されるものも少なくなく、導入決定は政治的要素が大きい」と認める。
これも防衛省幹部の不勉強です。はじめからアメリカに洗脳されています。防衛省、自衛隊のエリートは米国留学組が多い上に、実際に外国に赴いて情報収集したり、分析したりしません。外国=アメリカです。経済学者と同じメンタリティです。
10年ほど前でも技本の海外視察費は92万円でぼくの取材費より少なく、しかも過半数は退職前の偉い人の卒業旅行ですから、情報収集なんぞできるわけがない。出張費用からいえば清谷信一というヤクザなジャーナリストよりも劣っているということです(笑
そういう組織に専門性があるんでしょうか。ぼくがこれを問題にしてから視察費は増えましたが、それでも財務省を悪者にして出張を認めないケースも未だに多いようです。情報軽視がネイチャーの軍事組織は存在自体が悪であり、税金の無駄使いです。
だから防衛米軍に丸投げししろと言っているんです。
オスプレイの陸上自衛隊への導入も、陸自幹部は「もともと我々から要求したわけではない。降ってわいた決定だ」と語る。輸送力は、既に保有するヘリコプターCH47Jの方が倍以上ある。オスプレイは運用も限定され、「使い勝手が悪い」(防衛省幹部)という。
陸自に反対が根強い中、1機100億円近い高額の輸送機を導入した背景には、米軍普天間飛行場(沖縄県)への米海兵隊オスプレイ配備に対し、地元の反発を和らげる狙いも透ける。「オスプレイは安全と印象づけるため、官邸が陸自への導入の道筋を作った」と証言する防衛省幹部もいる。
当時の岩田陸幕長も上記の政治的な意味での導入ならば3~4機は仕方がないと思っていたようです。ところが蓋を開けたら17機です。調達予算3600億円は陸自ヘリ部隊の調達予算の約12年分、年間維持費170億円は陸自ヘリ部隊の維持運用費の3分の2を食います。どうなるかはこれまた子供でも分かる話です。
官邸の無茶振りを防衛官僚も制服組も人事での報復が怖くて断れなかった。メディアや野党もオスプレイの機能や費用対効果を指摘せずに欠陥機と鐘や太鼓叩いて騒いでいただけでした。
秋田県への配備をめぐり迷走する陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」も中国や北朝鮮が開発・配備する新型ミサイルへの対応は困難とされ、費用対効果を疑問視する声が少なくない。
費用対効果が悪いと知りながら、後戻りできない事情は何か。ある政府関係者は、(1)米国との契約を覆せば、日米関係に政治的な悪影響が出る(2)政治家や役所は『政府のやることは常に正しい』と主張したがり、決定を覆せば、当時の判断の妥当性が問われかねない、と打ち明ける。
だって安倍総統官邸の和泉補佐官らが本来なんの権限も無いのに暗躍して、アレな総理を煽てて、話を決めて、それに防衛省の内局官僚の一部が出世欲しさにつるんで戦わずに正門を開いちゃったわけです。ナチス末期と全く同じ。
FMSでは、米国の装備の納入遅れや、過払い金の「未精算」が問題化しており、17年度の未納入が85件で349億円分、未精算は568件で1068億円にのぼるとし、改善を求めた。
防衛省でも、無駄な事業を見直す仕組みを16年から導入した。大型装備の導入決定後も、廃棄までの「ライフサイクル」費用が見積もりより15%以上上回れば、「導入の見直し」を、25%以上なら中止も含めた「事業継続の必要性を検討する」と通達を出した。
制度の手本になったのは米国の国防授権法のナン・マッカーディー条項。
議会への報告や承認を義務付け、コスト管理を徹底させる考えだが、日本の制度にはこうした厳格さはない。
これは導入時に骨抜きになりました。陸自のUH-Xなんぞもその好例です。
その形骸化が早くも露呈したのが、安倍政権が14年にFMS契約で米国からの導入を決めた無人偵察機グローバルホークだ。
見積もりより一時23%のコストが上昇。制度導入後、「15%以上」を超えた初のケースとなった。20年度までに、約680億円超が計上された。防衛省内では「運用面でも、相手領土上空を偵察するのが基本設計なので自衛隊の使途には向かず、高高度すぎて海洋監視にも適さない」(幹部)と導入を疑問視する声も根強かった。
17年夏には実務レベルで「取得価格が23%上昇している。コスト増のリスクがぬぐえない」「取得を中止する方向で官邸などと調整する」との内部文書までまとめていた。
にもかかわらず、政府内で調整した結果、「安全保障上、必要不可欠な装備」と結論。事業継続を決めた経緯はわからぬままだ。
全く不要な装備です。対してオーストラリアはグローバルホークの海洋型のトライトンを導入しました。
アメリカ様のために空軍の調達が減ったグローバルホークを不要なんだけども買わせていただきました、みたいな話です。こんなのもはや独立国家じゃないでしょう。
「通達を必ずしも守らなくていいという先例を残した」。今年4月の衆院安全保障委員会で、野党議員が追及したのに対し、河野太郎防衛相は「日米同盟の強化と地域の安定化に資する」などと答えるのみ。防衛省幹部は「事業継続は政治判断だった」と語るが、継続に至った経緯や議論は、定かではない。
関連拙稿:何のための導入か意味不明、納税者不在のグローバルホーク
DW(ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー)の7月4日号のAustralia to acquire six MQ-4C Traiton UAVs
という記事もあります。オーストラリアは哨戒機、ポセイドンを補完するために、6機のトライトンを約5600億円で導入、戦力化します。これは同国のエアー7000というプログラム一つで、オーストラリアは19機のAP-3Cオライオンを12機のP-8Aポセインドンで更新します。オライオン2023年に全機リタイア予定です。ポセイドンは2,016年から調達が開始され、既に7機が調達されています。12機のポセインドンは2022年には完全戦力化される予定です。
最初の機体と運用施設の建設には約1200億円が見込まれています。
ここから再び朝日の記事。
限られた防衛費の枠内での米国製武器への過度な依存は、日本の防衛産業を先細りさせ、新たな日本の先進技術の開発・投資も阻む。それがまた、米国製武器依存を高めるといった、悪循環を生みかねない。
さらに日本の防衛政策の選択肢をも狭めかねない。防衛省幹部は「米政権から『中東に自衛隊を出せ。さもなければ、武器や部品を提供しない、武器を制御するソースコードも教えない』と言われかねない」と弊害を懸念する。
将来の脅威を見据え、どんな装備体系を築いていくか。日本の技術を発掘し、日本が研究開発につぎ込む予算と方法は適切か。装備選定の透明化や、国会や国民にも情報開示し、費用対効果を吟味する仕組みをつくらない限り、日本の財政を圧迫したあげく、政治に翻弄(ほんろう)された「いびつな装備体系」になりかねない。
仰ることはごもっともですが、その原因を作ったのは記者クラブでしょう。
他の媒体やフリーランス、特に我々のような専門記者を会見や取材機会から排除して、
軍事の知見もない記者を防衛省に常駐させて、当局と馴れ合ってきた。
新聞記者の多くは軍事の知識や勘所もないので、他国との比較もせずに。防衛省の言い分をそのまま書くか、情緒的は反政府、自衛隊記事を書いてきた。
国民も政治家もまともな情報を与えらずに、右も左も神学論争を繰り返してきた。
このような事態を変えたいのであれば朝日新聞は率先して記者クラブの開放、あるいは解体を進めるべきです
Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました。
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Japan In Depthに以下の記事を寄稿しました。
European Security & Defence に以下の記事を寄稿しました。
Hitachi wins Japanese bulldozer contract
東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2020年6月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。