自民党クールジャパン戦略推進特別委員会でのプレゼン、つづき。
参考事例を2つあげる。
まずeスポーツ。
経産省–JeSUが検討会を開催。
直接の売上を現44億円から2025年には700億円、物販・教育など波及市場を3000億円に成長させる。
という目標を立てた。
1ゲーム利用ガイドライン策定、2拠点整備、3教育推進、という産官学のアクションを整理した。
もう一つが拠点づくり。
コンテンツの集積拠点を竹芝に作るCiP構想。
コンテンツ、放送、通信、大学等50団体が集結。
国家戦略特区として電波、ロボット等規制緩和の導入を検討。
政府・クールジャパン戦略の拠点モデル。
このように民間も動いている。
政治・政府としても、5G、5輪のゴーゴー、この分野への注力をぜひよろしく。
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議員のみなさんから質問をいただきました。
Q:JASRACは問題だ。著作権ルールは厳しすぎないか。
A:JASRACは権利者に資金を還元する上で極めてよくできたシステム。だがそれゆえ権利者に有利に見える面があるかも。それより映像その他のジャンルでJASRAC的組織がほしい。
日本の著作権制度は放送のネット配信にも個別に許諾が要るなどガラパゴスで、それが日本のコンテンツ産業やITの成長を妨げている面がある。著作物やネット利用を促進する方向に環境を整える必要がある。
Q:デジタル時代に対応する著作権法を策定すべきと考えるが見解は。
A:今年は著作権法制定から50年で、全面見直しのタイミング。コピーと流通のための技術であるデジタルに着目し、利用促進に向けた制度を望む。デジタルを切り出して新法を作るアプローチがよいのではないか。
著作権法は建て増しを繰り返した旅館みたいになっていて、どこがどうつながっているのか分からない。わからないから使わない、という悪循環。せめて国民が読んで「わかる」法律にしていただきたい。政治のリーダーシップに期待する。
Q:クールジャパン機構は問題が多い。
A:これまでの投資案件が焦げていることは聞いている。それもあってのことだと思うが、2018年、CEOに北川直樹さん(元ソニーミュージック社長)、COOに加藤有治さん(元郵政省でぼくの同僚)にトップが交代、改革を進めている。しばしその手腕を見極めたい。
Q:香川県のゲーム規制条例をどう考えるか。
A:ゲームによって戦略性やコミュニティ力というこれから最も大事になる能力が育まれる面もある。経産省の検討会でもeスポーツの教育面での意義を議論し、推進することとしている。
いま政府は子どもにPC1人1台を推し進めようとしているが、10年前、子どものケータイ利用を禁止する、デジタルを遠ざける政治的な風潮が起こり、それが日本の教育情報化の足を強く引っ張った。不用意に規制すると後が大変。極めて慎重に願いたい。
Q:デジタル・アーカイブ整備を推進すべきだ。国立国会図書館にも期待する。CiPは協力するか?
A:政府の議論でも、立法府の組織である国会図書館と連携するよう求める提言を作っており、強く意識している。CiPもサブ的な役割を果たしたい。
Q:世界オタク研究所とは何か。
世界各地で開催されるオタク系イベントは有名大学のオタクが仕切っている。それら研究者をつなぐネットワークの総本山を東京に置く。ご指導をいただきたい。
Q:「特撮」は重要な分野なのに軽視されている。
A:円谷プロは世界の宝と認識する。コンテンツ政策は映画、テレビ、ネットといったメディア別に進めており、2.5次元やポケモン的な横割りの施策が弱い。特撮も同じ。テーマとして捉えたい。
みなさんに実に真剣に議論いただきました。
政策としてアクションに移るよう、ぜひよろしくお願い致します。
編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2020年6月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。