新型コロナウイルス感染症対策補正予算が提案された7月17日から始まった都議会7月臨時会が本日最終日を迎え、都議会会派自由を守る会代表として談話をとりまとめましたのでお示し致します。
小池知事は初日の、所信表明にて「新型コロナウイルス感染症につきましては、新たに設置したモニタリング会議におけます専門家の方々の分析に基づき、感染の広がりに対応して、多面的な対策を的確に講じる」とし、7月15日に「感染拡大警報」を発出。「強い危機感を持って、専門家のご意見も踏まえ」「先手先手で対策を講じ」総額3,132億円の補正予算案を提案したとしています。
都民にバラマキ中間搾取予算と指摘されてかねない
今般の補正予算により、4月の232億と5月に449億の専決処分、4月補正予算3,574億円と続き計7,387億円の支出となり、コロナ禍を予見せず、オリパラ景気を当て込んだ「溢れんばかりの贅肉を付けた」過去最大級の当初予算15兆円はブクブク膨張して、現時点の予算総額16兆8千億超えとなりました。
4月補正予算は、生活・経営に直結した感染拡大防止協力金等がありましたが、本補正予算は委託事業が目立ち、政府による電通の業務再委託が批判にさらされる中、委託先が透けて見える「火事場泥棒・中間搾取ではないか」と都民に指摘されかねない内容となっておりますことから、第160号議案一般会計補正予算は、反対を致しました。なお、医療従事者への慰労金等支給を目的とした第161号病院会計補正予算は賛成しております。(議案はこちら)
不要不急な事業が散見
生活・経営がひっ迫している都民、都内事業者への直接的支援や援助が必要であり、独自に手当てを上乗せし直接給付している、他府県、都内区市もあります。このような各自治体の地に足の着いた創意工夫とは対称的に、東京都の一般会計補正予算には上田が問題視する事業が散見されることから、以下例示致します。
●新しい日常に対応した観光事業者等の受け入れモデル発信事業 4千万円
14施設限定ということで、波及効果が疑わしいのではないでしょうか。
●オンライン東京ツアー発信事業 5千万円
18コース限定ということですが、観光協会を想定していることが予想されており、すべての地域の活性化につながるのか懐疑的です。今時YouTube等で検査すれば、いくらでも地元熟知する地域住民や団体などが作成した動画はあります。長期的な観光事業支援としたしとても今、実施するモデル事業ではありません。
●IT人材育成支援事業 2億円
失業した若者支援というと一見聞こえはいいですが、かなりスキルのある対象者100名限定。CG、ゲームプログラムは念頭に入れておらず「若者」ターゲットも若者からのニーズも不明です。
●事業継承支援プラットフォーム整備事業 8千万円
産業労働局、都の外郭団体中小企業振興公社、東京しごと財団に既存類似事業が存在している上にPC環境も整っていない中小零細企業支援こそが喫緊の課題ではないでしょうか。
知事答弁のない補正予算成立は都民不在の象徴
今回も上田は緊急質問を通告しましたが、上田の出席を拒む議会運営委員会・同理事会によりまたしても、発言権を奪われ、緊急質問は石川良一議長に却下(不許可)とされました。さらに、今議会は知事が答弁する予算特別委さえ設置されず、どこに民主主義があるのか疑義を呈さざるを得ません。
知事選前の4月補正予算には知事が自ら答弁し、本会議に臨んだというのに、4連休をはさみ1日の感染の確認が200人を超えるのは6日連続で、100人以上は19日連続となり都民の関心が高い中、都知事が自身の言葉で語るべきであり、特別委が開かれなかったのは、「知事与党」都民ファースト及び知事の一丁目一番地の「情報公開」政策と公約に悖ります。
なぜならば、本会議での活発な議論こそが「情報公開」の初めの一歩、一丁目一番地だからです。全国的に深刻な状況となっているコロナ禍にあって、陣頭のトップリーダーが答弁しない自治体があるのでしょうか?
首都東京の東京都議会こそ議会改革の先陣を切って、知事答弁を求める活発な議論を行うべきでありました。最大会派都民ファースト以下、特別委設置に反対した会派には強く異議を唱えるものです。
都知事の給料半減の側面
小池知事は、個人秘書であった野田数氏を特別秘書に「登用」した上、水道局外郭団体へ「抜擢」。自身の議員事務所の職員を「都民ファースト東京都議団」に「採用」しています。知事報酬は確かに半減となっても、公費による「側近登用」と都民から指摘の声が上がっています。
小池知事が個人的に雇用したい者を都の職員や、会派職員に雇うことで、知事報酬半減以上の人件費が都民の血税によって支払われることとなり、無駄を「排除」するはずの「東京大改革」の理念に背くものであると上田は懸念するものです。
一方、知事就任以来、職員総人件費は増加しています。「東京都知事の給料等の特例に関する条例の一部を改正する条例」には賛成をするものの、トップだけが給与カットするのでは「身を切る」だけの給与パフォーマンスです。知事給与カットを契機に、総人件費を削減し、真の「身を切る改革」につなげていくべきと指摘します。
許しがたい都議会議員定数条例に反対
去る4月27日に、当会は東京都議会議員定数等検討会の求めにより「議員定数及び都議選制度への自由を守る会の見解」を提出いたしました。この見解では、同検討会の原則公開と一人会派を含む全会派の参加をまず求めておりましたが、顧みられることはなく、極めて遺憾であります。
見解では、都議会選挙制度は、1300万人都民の多様な民意を汲み取れる議会を形成するため、「一票の格差」を解消し、少数意見を含む民意が的確に反映する仕組みが担保されることが不可欠であると求めました。
現在、多摩地区の一部の市を除けば、単独の区市の区域をそれぞれの選挙区としていますが、各選挙区の定数を見ると、8人区のような大選挙区がある一方、1人区や2人区という少数定数区があります。
本来、大選挙区制は民意の反映に重きを置き、小選挙区制は民意の集約に重きを置くものです。これらの制度の混在は、選挙の意義の異なる要素が制度的に併存していることになるのです。また、二元代表制においては、民意の集約は首長選によってなされるものであり、議会選においては民意の反映に重きを置くべきです。
この点において、少数定数区は、特に人口が少ない島しょ部を除けば、望ましくありません。少数定数区では、政党の「構図」で当選者が決まる実態があります。このようにそもそも多様な民意を反映し得ていない状況では、現行の議員定数127名による本来求められるべき議会機能の発揮は極めて困難であり、実際にこれまでも、定数や選挙区割については客観的な指標が示されることなく今日に至っています。
次に、国政選挙の一票の格差問題見直しがはかられる中、東京都議会の定数の是正は未だ半ばです。喫緊に求められる現実的な定数是正として、ことに極端な格差が顕著な選挙区の早急な見直しとして、足立区と人口・有権者数がほぼ同等ですが、江戸川区が定数は一人少ない5人であり、人口も有権者も江戸川区より圧倒的に少ない杉並区の定数が一人多く、大田区の人口は江戸川区の1.06倍なのに定数は1.6倍もあることにつき、改善を求めました。
さらに、抜本的な制度改正・定数是正が示されないのなら、都議会は現職議員の都合を忖度しあい、定数見直しを先送りしていると都民に批判されても致し方ない状況であり、神奈川県議会のように、人口が変われば機械的に定数を是正すべきであるということを指摘しましたが、検討会においては汲み取られた形跡はなく、知事の地元の練馬区1増、大田区1減にとどまりました。
また、共産党提案についても、個別選挙区の一票の格差の是正には資するものの抜本的な持続可能な制度設計ではありません。よって、両議案ともに反対致しました。
お姐総括!
たった一人反対したお姐の様子はこちら(7月27日1:02:35あたり)!
臨時会とはいえ、正真正銘の正式な都議会本会議場にて知事答弁も求めない、お姐の発言も認めない追認機関に成り下がっていることを憂い、お姐は知事答弁のある文書質問を本日提出しております。今指摘をされている、ホテル等療養施設解約過去からこれまでの状況と経緯、FAXベースでのコロナ検査集計から、コロナ禍にあって「粛清人事」と指摘されかねない都庁幹部職人事から学歴報道問題に至る知事のトップマネジメントまで端的にピンポイントで質しております。答弁が届き次第順次お示ししたく楽しみにしてください。
自由を守る会は、コロナ禍にあって、費用対効果も全ての都民益も不明な火事場泥棒的都政事業を精査し、認められなかろうと却下されようとも諦めずに発言権を駆使し都民の生命、健康、財産、経済活動を守りぬくべく「火事場のバカ力」を発揮し、自らの政治生命にばかり気を取られている首長たちと徹底的に対峙し、「税金の無駄づかい、不正・癒着天下りを許さない!」改革を断行することを都民にお約束致します。
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自由を守る会代表 上田令子チャンネル
編集部より:この記事は東京都議会議員、上田令子氏(江戸川区選出)のブログ2020年7月27日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は上田氏の公式ブログ「お姐が行く!」をご覧ください。