立憲民主党と国民民主党が合流するという。私は、前回総選挙で当時の民主党(民進党)が崩壊するのに伴い無所属で出馬、当選させていただいた。その意味で、私は今の立憲民主党や国民民主党とは全く無関係である。
その後、昨年3月に自民党入りしたが、初当選は2005年、崩壊前の民主党からだった。民主党は、4年前に民進党と名前を変え、3年前に崩壊した。当時、選挙目当てで民主党(民進党)は希望の党と合流することを決定した。皆さんに思い出してもらいたいのは、私を含めた数人の反対を除き、みんなで賛成して民主党(民進党)の崩壊と希望の党への合流が決まったということだ。
それは解散当日に、突然行われた。
これは、選挙で勝つには民主党(民進党)より希望の党の方がマシだと所属議員が思ったからに他ならない。希望の党合流に納得できなかった私は、背水の陣で無所属で出馬するより他なかったのだから、その当時のことをよく覚えている。
その後、小池百合子氏の発言が世間の非難を浴び、排除された枝野幸男氏が立憲民主党を立ち上げ、選挙の結果、立憲民主党が野党第一党になったといういきさつだ。きっと枝野さんは立憲民主党を立ち上げた方が希望の党より選挙を戦う上でマシだと思ったに違いない。びっくりしたのは、選挙後すぐに、希望の党は消えてなくなってしまった。所属議員が希望の党にこだわるよりも新しく国民民主党を作った方がマシに思えたからだろう。
そこから考えると、前回総選挙に際して解散当日に希望の党へ合流しようとした人たちと、今回の立憲民主党と国民民主党の合流を推進する人たちの思考は、全く一緒と考えて間違いない。民主党が消え、希望の党が消え、そして今、国民民主党も消えることが決まった。
何度も言うが、ひとえに支持率が低く、選挙で戦うには立憲民主党と合流した方がよりマシだからである。支持率が低いから、新しい党をつくる。常に作り続けねば自分たちが選挙に勝てないからだ。残念だがそれでは2大政党にはつながらないだろう。
話のついでにもうひとつ。もう覚えていらっしゃる人は少ないかもしれないが、民主党政権が崩壊した原因は色々とあるが、小沢一郎氏を始めとする一派が与党を分裂させ離党したことが決定的だった。小沢さんは政党をつくっては壊すという意味では本当に天才的だ。当時の与党民主党を決定的に分裂させた人物が、今度は野党結集と叫んでいる。状況に応じて言っていることとやっていることがここまで違っていて、さらに長年それを堂々とやり続けられるのは本当にすごい。
さらに小沢さんが上手いのは、政党を作ったり壊したりするに際して、必ずこういうことを言う。「政権交代しなければ真の議会制民主主義は根付かない」と。これは個別政策のことは一切何も言っていないことに等しい。
私は日本には既に真の議会制民主主義が根付いていると思う。日本では、法律に則った手続きに基づいて選挙を行い、民意を選挙によって国会に反映する仕組みが成立している。民意を反映する手段こそが議会制民主主義であって、政権交代を選ぶかどうかは主権者である国民の判断の結果だ。主権者の判断として政権交代を選ばないからと言って、真の議会制民主主義が根付いていないと言うのは詭弁でしかない。
話を戻すが、政党は、将来を見据えながら国家としての根本政策、また具体的政策を国民にわかり易く提示する必要がある。それを政党間で切磋琢磨していく、というのが小沢さんが行った選挙制度改革、小選挙区制導入の金看板だったはずだ。
しかし、面白いことにこれまでの政党の離合集散は、根本政策や具体的政策を蔑ろにし、選挙のたびごとにそれまでの政策をかなぐり捨てている。本当にそれで2大政党を目指しているとでも言うのだろうか?選挙ごとに新しい政党をつくっては壊している政治家たちを、国民は本当に選び続けてよいのだろうか?
国家権力を与る政党は政党員に支えられた組織を前提に民意をしっかりと把握し、官僚機構と連携して国家政策を実現することが求められる。政党自体が目まぐるしく変わっては、民意をとらえることも、官僚機構と連携することも、結果として国家運営も上手くいくわけがない。
民主党政権時代に消費税を上げておきながら、野党に下野すると消費税増税反対や減税を掲げたり、ワイドショー政治を助長するスキャンダル追及型質疑を止められず、また質問通告を遅らせ、官僚を吊るし上げて疲弊させるパフォーマンスは今まで以上にエスカレートしている。
国民の皆さんの賢明なる判断をお願いしたい。
編集部より:この記事は、衆議院議員の鷲尾英一郎氏(新潟2区、自由民主党)の公式ブログ 2020年8月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は鷲尾英一郎の日記をご覧ください。