ハイブリッドなニューノーマルのメディアポートフォリオ?

今日は独り言です。

コロナ後のバーチャル+リアルによるハイブリッドなニューノーマルをどう設計するか、を考えています。
マーケティングのメディア分類にPESOというのがあります。

P:Paid media 有料メディア

E:Earned media 獲得メディア

S:Shared media 共有メディア

O:Owned media 所有メディア

企業は広報やプロモーションにこれらのポートフォリオを戦略的に使いこなしています。
新メディアが登場・普及することで、それらも変化してきています。
ぼくも全く戦略的じゃないけれど、自分の発信方法が変化してきました。

以前はPaid mediaでした。
テレビ、新聞、雑誌、本。
それしかなかった。
レギュラー番組に出演し、コラムを持ち、定期的に書物を刊行する。

効果は高いけれど制約が強い。
発信する内容も、分量も、タイミングも、思いどおりにはなりません。
そこで10年前にがさっと切り替えました。
Owned mediaへ。
ブログ、メルマガ、個人やプロジェクトのウェブサイト。

同時に、Shared mediaにもシフトしました。
twitter、facebook。
Earned mediaはNewsPicksぐらいかな。
最近も、Yahoo!ニュース(Paid)、YouTube(Shared)、instagram(shared)と分散しています。

本やウェブなどPaidでネタくりして、EarnedのNewsPicksにコメントし、それがSharedのtwitterやfacebookに流れ、それらをまとめてOwnedのブログに紹介し、たまったらPaidの本にする。
そんなかんじでグルグルしています。

その点、KMDの同僚だった岸博幸さんは、テレビやウェブ雑誌などPaid mediaで活躍し続けていて、スゴいなぁ。ほとほと感心します。

一方これまでぼくはリアルな場づくりを主業務としてきました。
デジタル教育、デジタルサイネージ、メディア融合、4K8K配信・・公益法人をつくり、ステイクホルダーのコミュニティを作ってきました。

最近はPop & Tech特区CiPという街づくり、そしてiUというリアルな大学づくりを行っています。竹芝の拠点と墨田のキャンパスを建設しています。ずいぶん土方な仕事です。
そしてこれら活動にもハイブリッドとしてPESOのポートフォリオが求められています。

例えばiUはキャンパスをオープンして教員・学生も集いつつ、全授業がZOOMなるOwned/Sharedで行われるとともに、YouTube、twitter、instagramのSharedなチャンネルで発信をしています。新聞や雑誌などPaidでも広報を打っています。
ハイブリッドが走り始めています。

しかしコロナ後のハイブリッドは、よりバーチャルとリアルとの密接度を高めた設計になるのでしょう。
多地点のリアルと、複合的なPESOの結合。
その一つのヒントが、先日行われた「オンライン・ワークショップコレクション」にあります。

あちこちの拠点がホストになって、多地点からZOOMに参加する100近くのワークショップの合同開催と、YouTubeによる配信でした。
多地点にキャンパスを設け、リアル参加と世界中からのバーチャル参加とを組み合わせる。
リアル会場の参加者には、パブリックビューイングによる一体感を演出する。

オンラインのPESOは仕組みができあがっていて、さらに今後も進化していく。
一方、リアルの場は、ギリシャや中国が数千年前に始めた広場の文化を、デジタルのハイブリッドに向け再設計することが必要なのでしょう。
大きな拠点を活用する大きな場所ならではのプロデュース。

映画館級の巨大スクリーンで、ゲスト講師やアーティストやeスポーツ選手のライブパフォーマンスに没入する。
あるいは世界中からのネット参加者を一望するスタジアム的な会場の中で、自分のパフォーマンスを発信する。
リアル会場でないと実現できないデジタル設備対応で場の魅力を高める。

4K8K映像をネット配信する「映像配信高度化機構」が五輪に向けリアルなパブリックビューイング場の全国整備を進めています。
そうした場作りがコロナでこれまで以上に大事になってきた気がしています。


編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2020年10月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。