コンドルタクシーとタクシーチャンネル

山田 肇

タクシーを止めたらドアに大きく「MCA無線車」と書いてあった。コンドルタクシーは東京で唯一、800MHzのMCAデジタルタクシー無線を導入している会社だそうだ。GPSを導入し、最寄りのタクシーを一瞬で検索できるという。

GPSで測地した結果を実車・空車かと共に配車センターに送る、コンドルタクシーに載っていたのは、まさにそのシステムであった。しかし、前の記事に書いたように、これは「カレログ」とほとんど同じ機能なのでスマートフォンのアプリとして代替できる。MCAとして電波を占有する必要はない。

車内には「タクシーチャンネル」というディスプレイがあった。トンネルに入ると映像が乱れたから、リアルタイムで受信しているとわかった。タクシーチャンネルは、ソフトバンクが他社と協力して開発したタクシー車内設置型サイネージメディアだそうだ。コンテンツを配信するには3Gのネットワークが用いられている。約4000台のタクシーに装備され、15秒CMを配信する基本料金は200万円。1台あたり500円とは高すぎないか。いずれにしろ、スマートフォンの需要爆発で電波がひっ迫していたはずだったが、余裕があることはわかった。


コンドルタクシーには、結局、MCAと3Gの両方が装備されていたことになる。そんなにMCAにこだわるなら、百歩譲って、タクシーチャンネルもMCAで飛ばせばよいのに。帯域を無駄遣いしているとしか思えない。

ところで、コンドルタクシーは、MCAなので「クリアな音声が配車場所の聞き間違えを防止」と説明している。そうか、MCAなら配車センターからの指示を雑音の中で聞く必要はないのだ。そこで、MCAを提供している移動無線センターのサイトをチェックして驚いた。MCAは携帯電話と違い道路交通法の規制対象外で運転中でも利用できるそうだ。道路交通法では、停車中を除いて無線通話装置の利用は禁止されているというのに。

山田肇 - 東洋大学経済学部

備考:都内を走るタクシーではチェッカー無線もMCAを利用している。一方、イーエム、共同無線、東京無線、国際無線、日本交通などは400MHz帯のタクシー無線車である。