日本人の個人金融資産(預貯金や株式など)の7割を60歳以上が保有している。
不動産などの固定資産を含めれば、その割合はもっと高くなるだろう。
「世代会計」という用語をご存じだろうか?
国民全体を10歳の世代ごとに分け、税金等として政府に支払う負担と年金等政府から受け取る利益の差額を指す。
2015年時点ではおおむね60歳前後が「損益分岐点」になっている。
(つまり、60歳以上は受益がプラスで、60歳未満は受益より負担の方が多い)
70歳以上の世代と20歳代とでは、数千万、将来世代まで含めれば1億円以上の差が付くことになっている。
「老後の2000万円問題」のレベルではない。
にもかかわらず、70歳以上の高齢者は医療費の自己負担割合が通常の3割よりも低く(例外もあるが)、都バスや都営地下鉄に乗り放題のシルバーパスが給付され、公的な観光施設の入場料が半額である等、様々な面で過度に優遇されている。
なぜこのような現象が生じ、将来的に世代間格差がますます広がる傾向があるのか?
一つの大きな原因は、若年層の投票率が低いことにある。
選挙で選ばれる議員諸氏は、投票率の高い層に喜ばれる政策を講じる。
逆に、投票率の低い若年層に喜ばれる政策を講じようというインセンティブがなくなる。
世代間格差を是正するためには、若年層の投票率を上げることが肝要だ。
「誰に投票すればいいかわからない」という人もいるだろうが、誰に投票しても構わない。
ともかく「投票すること」だ!
若年層の投票率が上がれば、議員諸氏も若年層の利益を無視できなくなる。
若年層諸氏は、自分たちの利益を守るためにともかく投票しよう。
若年層の投票率を上げることが、世代間格差を是正して自らを守るための極めて効果的な方策だ!
編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2021年10月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。