衆議院選挙 総括

衆議院選挙が終わりました。様々な解説や論評が出てくると思います。私は二次情報はほとんど読んでいませんので結果だけをベースに思うところを記してみたいと思います。(これを書いている時点で開票は完了していません。)

キーポイントワードは以下のところに集約されると思います。

1 自民は想定ほど議席数を減らさなかった。
2 立民は想定からほど遠く議席数を減らした。
3 維新は想定より議席数を伸ばした。
4 自民を含め個別議員の新旧交代が見えた
5 投票率は55%を超え、若者が投票率を支えた可能性あり

言いたいことはいろいろありますが、皆様、食傷気味だと思うのでなるべく違う切り口で見ていきたいと思います。

既に辞意を表明している自民党幹事長の甘利氏の後任選びは岸田氏にとってもはや失敗が許されない最後の一手となります。高市氏を推す声がありますが、私は絶対に違うと思います。彼女を盛り立てるのと幹事長職とは違います。彼女の資質と幹事長職は全く相いれず、そんな人事をしたら岸田内閣は崩壊します。ではお前は誰を推すのかって?ベストはご本人は拒絶すると思いますが、菅さんだと思います。党の幹事長は一定のリーダーシップが必要でそれこそ当選回数と要職キャリアが重視されます。

一方、自民党がこれから断腸の思いで進めなくてはいけないのは人事の大刷新で長老を重用する時代ではないということです。今回、若者に選挙参加を促すために飲食店などが投票に行った証を持っていくと割引するなどのキャンペーンを打ち出しました。手法としては私は評価しませんが、結果として若者が選挙に参加する気持ちを持ったのなら選挙民のリバランスがとれるようになります。

若者は決してバラマキを良しとしないでしょう。若者は自分たちや自分たちの子供が過去や今の負債を将来なぜ背負わなくてはいけないのか、と内心思っています。高齢者は「俺たちのおかげで今の日本がある。甘えるな!」というでしょう。しかし、30年間平均年収がほとんど上がらないこの日本では残念ながら勢力図の交代が確実に見えたということです。

今回、維新が想定以上の躍進を遂げました。彼らのマニフェストは若者好みです。基調は「成長」「抜本対策」「将来への投資」「地方の支持」「ダイバシティ」…となっています。何年か前に私は維新の会が台風の目になると申し上げたことがあるのですが、確実にその芽は成長していると見ました。10年後には自民党と双璧になるぐらいの政党としての成長余地があるとみています。

立民や共産の野党一本化戦略は成功した部分もありますが全体を見れば失敗でした。枝野氏は現時点では辞任を否定していますが、私は顔を変えた方がいいと思います。会見で自分一人から始めて100人の議席を持つところまで成長させたと述べた時点で「枝野党かね」ということです。

さて、外から見た影響度です。

明日、為替について書きますが選挙結果は懸念される円安に対して円高に引き戻すことはないと思います。むしろ何も変わらない日本に失望売りが出る可能性もあります。外国からみればニュースにならない選挙結果であったということです。為替相場は世界の趨勢次第になります。

株式市場への影響は軽微なプラスサイドだと思います。イベント終了のあく抜けのあとが読みどころです。そもそも政策的に大変革をうたっていたわけではなく、与党が絶対多数を占め、敵対する野党が議席を落としているわけですから自民としては政策を進めやすくなる点はプラスかと思います。

外交へのインパクトもなく、月曜日からごく普通のいつも通りに戻る、ということです。

そもそも対立軸がない選挙と再三申し上げました。私にとって良かったなぁと思うのは若い人が選挙、行ってみようかと思う機運が出てきたことだと思います。現役世代が声を上げる、そして10年後20年後の未来を築くことをもっと考えてもらえるきっかけになったのならよかったと思います。もう一つは政治家の新陳代謝が進むことでしょうか?この流れは今後、しばらく続くとみています。世代交代の足音は大きくなってきた、ということです。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2021年11月1日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。