海外旅行で「天動説の人」になるリスクを回避する

昨日までスタディツアーで視察に出かけたカンボジアのプノンペン。行ったことがあるという方はあまり多くないと思います。カンボジアと言えば、有名なのはアンコールワットがあるシェムリアップで、首都プノンペンには観光資源はほとんどないからです。

3年ぶりに訪問したプノンペンは、更に高層の建物が増え、以前よりも街が洗練された印象を持ちました。埃っぽい道路も少し綺麗になったように見え、コロナ渦の間も経済が着実に成長していることを示しています。

写真はプノンペンのビジネスエリアにある今回宿泊したフラットアイアンという建物の場所を3年前と比較したものです。奥にワトナックタワーという高層ビルが見える同じ角度からの撮影です。

3年前に視察した時(写真右)には、更地で何も建物が無かったのに、今ではフラットアイアンのホテルとオフィスは稼働して、更に次々と建設が始まっています。フラットアイアンの近くには、ヒルトンホテルの建設も進んでおり、来年には完成するものとみられます。

カンボジアから日本に帰国すると、喧騒が無く、清潔で整然とした街の様子に安心感があります。しかし、今回のように定期的に新興国に出かけ「定点観測」すると、新興国の劇的な変化に気が付きます。

変化しない安定の日本は、成長して変化を続ける新興国と比較すれば、相対的に「退化」していることになります。しかし、日本国内にいると日本の相対的な変化に気が付くことはありません。地上にいると、地球が丸いことを感じることのない「天動説の人」になってしまうのです。

コロナ禍が終わりつつあり、まだ多くの日本人が海外旅行に慎重になっている今こそ、海外に出かけ日本を見つめ直すべきです。特に、成長が続く新興国に出かけてみれば、日本の危機的な状況をリアルに感じることができると思います。

10年後の日本は先進国であり続けることができるのでしょうか?本当に日本の将来が心配です。

tbradford/iStock


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2022年5月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。