きのうは憲法記念日でしたが、相変わらず与野党のワンパターンの議論が繰り返されました。あきれたのは、憲法審査会の野党筆頭幹事の「ロシアより与党が許せない」という発言でした。
立憲民主党・奥野総一郎衆院憲法審査会野党筆頭幹事:「ロシアより許せないのは今の与党だ。どさくさ紛れにウクライナ問題をダシにして改憲に突き進もうという姿勢を許すわけにいかない。どさくさ紛れに改憲を試みよう、国民をだまそうとしている。」
https://t.co/7J8rOl0iSY— JSF (@rockfish31) May 3, 2022
奥野氏は、ネット上で集中砲火を浴びてあえなく撤回。
立憲民主党・奥野総一郎議員「ロシアよりも与党が許せない」 改憲阻止に意欲 =ネットの反応「ウクライナ人の命なんかこれっぽっちも考えていないのがよくわかる」「感覚がマジでおかしい」 https://t.co/1bi3USZixh
— アノニマス ポスト ニュースとネットの反応 (@anonymous_post2) May 3, 2022
立憲民主党の奥野総一郎・衆院憲法審野党筆頭幹事は、憲法改正反対集会での
「ロシアより許せないのは今の与党だ」
「どさくさ紛れに改憲を試みよう、国民をだまそうとしている」
発言について
BSフジ・プライムニュースで、撤回の意思を表明。では、国民多数の「改憲すべき」を受け、徹底的に議論を pic.twitter.com/SDT2GKm0gE
— 和田 政宗 (@wadamasamune) May 3, 2022
第9条をめぐる議論は空洞化しています。
ウクライナ戦争を目の前にして「9条は国防の手段を定めた条文ではありません」と逃げる。「文明観」とか「自由のシステム」とか、何をいっているのかわからない。
共存か排除か 改憲を語る政治家たちへ、そこに文明観はありますか(石川健治):朝日新聞デジタル https://t.co/EIHfPhiyZ0
— 池田信夫 (@ikedanob) May 3, 2022
そんな中でちょっと実質的な議論があったのが、緊急事態条項でした。
緊急事態を理由とする人権の制限がいかに危険か。歴史から学ぶべきだ。
緊急事態条項の創設是非で論争激化 人権制限につながる恐れも 衆参憲法審
立民・奥野氏は、ヒトラーが緊急事態条項を乱用し、独裁政権樹立した経緯に言及「緊急事態条項は立憲主義に反する」https://t.co/DquV4bTLw6
— 望月衣塑子 (@ISOKO_MOCHIZUKI) May 3, 2022
相変わらずマスコミにはこういうヒステリックなあおりが多いが、憲法審査会では冷静な議論が進められています。
いたずらに対立を煽るような言説は、与野党とも控えるべきだ。実は、憲法審査会の議論はかなり建設的に進むようになっている。そうした実態を知らない議員が緊急事態条項=危険というイメージを流布するのは慎んでほしい。まず私のブログでも読んで。https://t.co/QMNzArEFWi https://t.co/quXyQ924CO
— 玉木雄一郎(国民民主党代表) (@tamakiyuichiro) May 3, 2022
戦争だけでなく、災害や感染症への対応でも、内閣が一時的に私権を制限することが必要な場合は出てきます。その発動条件を具体的なポジティブリストで厳格化するとか、裁判所の令状や国会の事後承認を条件にするとか、歯止めをかける制度設計は可能です。政令だけで私権制限できる現行の規定のほうが危険ではないかという意見もあります。
緊急事態宣言中のどさくさ紛れで、政令だけで(国会の事後承認すら不要の)新たな制限導入を認める特措法改正を通したのは自民・立憲両党でした
→https://t.co/wVWmdAedBq
その後、国会の審議なく酒類提供制限措置が突然導入され、命令も出されました
→https://t.co/Pi90QB9coP https://t.co/lkCG4JoJ80 pic.twitter.com/4La9kANrYA— 楊井人文 Yanai Hitofumi (@yanai_factcheck) May 3, 2022
国会議員の任期延長には、与野党にもそれほど大きな対立はありません。
憲法審査会での議論が煮詰まってきている緊急事態条項は国会議員任期の延長。いかなる事態になっても国民の代表たる国会を機能させる方が緊急政令より筋が良い。憲法に規定がないがゆえ緊急事態が起こると超法規的な対応(例えば国政選挙先延ばし)をせざるを得ないことの方が立憲主義の立場からも問題
— 細野豪志 (@hosono_54) May 3, 2022
この他にも参議院は必要なのか、あるいは衆議院の優越が明確でないといった国会制度の問題もありますが、国会議員のみなさんはふれようとしません。憲法といえば「戦争への道か人権擁護か」といったお決まりの議論は、そろそろ終わりにしてはどうでしょうか。