参院選が近づいてきましたね(7.10投票)。
政策議論も盛り上がっているかと思いNHKの日曜討論でも見るかと思ってチャンネルを変えてみると…
議論が完全に明後日の方向に行っちゃってましたね(苦笑)
【参考リンク】自民党・高市早苗政調会長がれいわに猛撃「でたらめを公共の電波で言うのは止めて」
前回もテキストベースで軽く「共産党の主張がいろいろとおかしい点」について言及しましたが、れいわまでそこに便乗してきてもはや議論以前の問題となっている様子。
サラリーマンにとっても実は非常に重要なテーマでもあります。あとインボイスの話などもありますしね。というわけで今回はサラリーマン視点から見た参院選についてまとめておきましょう。
階級闘争という幻想
もともと左翼には階級闘争という考え方があります。すごく大雑把にいうと富裕層や財閥からとって再分配しろ、あるいはやっつけろといった考えですね。
現在ではかなり時代遅れな考えで、欧州ではそういう姿勢と決別した左派政党が普通に活動しています。たとえばスウェーデンで企業に解雇を自由に認めつつ、手厚い社会保障を導入することで経済成長と高福祉を両立させたのは社会党だったりします。
一方、わが国の左翼は相も変わらず階級闘争に固執しています。といっても日本の富裕層なんて数も資産もたかが知れているのでそこはイノベーションが必要です。
そこで共産党が考え出したアイデアが“内部留保”というわけです。「それ現金じゃないから」とか「会社を清算でもする気か?」など散々突っ込まれていますが、懲りることなく今も内部留保財源論を前面に打ち出していますね。
(フジテレビで)「異次元の金融緩和」は異常円安、物価高騰を招き、破綻している。
「異次元の金融緩和」はやめ、金融頼みでなく、実体経済を良くすることを最優先に据えた経済政策に転換すべきだ。
消費税5%への減税。
大企業の内部留保課税で賃上げを。
最低賃金1500円への引き上げを。— 志位和夫 (@shiikazuo) June 19, 2022
最近だとSNS上では「消費税は法人税を軽減するために導入されたのだ」という主張がプチバズっていますね。
この発想自体は10年以上前から使い古されているチープなロジックですけど、どうやられいわが便乗して若い世代に浸透させようとしているようです。
高市早苗議員「消費税が法人税減税分の穴埋めに使われているのは嘘。れいわ新選組は公共の電波で嘘を吐くな」
嘘をついているのはお前ら自民党だろ↓#日曜討論#岸田インフレで困っています pic.twitter.com/UFSjnyGX63
— 大神 (@ppsh41_1945) June 19, 2022
上記の図の最大のツッコミどころは、30年前の法人税収を唐突に持ってきて現在のそれとバッティングさせている点でしょう。
こういう図を見るときのポイントですが、何か不自然な点を感じたら必ずそこをひっくり返してみるべきです。たいていそこに「作成者の隠したい何か」が隠れているものですから。
というわけで実際の法人税収の推移を見ればあら不思議。ITバブル崩壊(2001年頃)やリーマンショック(2008年)で激しく変動しつつも、3度に及ぶ1%超の引き下げ(98年、99年年、12年)を挟んで下げ止まり、近年はむしろ上向いていることがわかります(以下「税収に関する資料」より)。
というより、むしろ税収が下がっているのは98年の引き下げまで、法人税率が37.5%とメチャクチャ高かった時代なんですね。
なので、正しくは「法人税が高すぎて産業の空洞化が進んだため、対策として法人税が下げられた(そしてある程度は下げ止まりに成功した)」というべきです。
そういう経緯を無視し、バブル期の法人税収との比較だけで「消費税と置き換えられたのだ!」なんて言うのは確信犯的な詐欺だと思います。ヤクザが「兄ちゃん目が合ったから金払え」と恐喝するのと同じレベルの話でしょう。
まあ40歳以上のビジネスパーソンなら法人税と空洞化をめぐる議論はリアルタイムで目にしているはずなので騙される人はいないでしょうけど、若手はれいわや共産党発のデマに引っかからないよう注意しましょうね。
でも筆者は今回の討論を見ていて、色々と思うところがありましたね。だって、共産党とれいわというリベラルを代表する政党が、公共の電波で競うようにデマを流し情報弱者の囲い込みに精を上げているんですから。はっきりいって彼らがやっていることはただの貧困ビジネスでしょう。
仮に法人税を昔みたく40%台にあげたらどうなるか。企業は黒字事業をどんどん海外に出すので法人税収は激減、国内には介護とコンビニくらいしか仕事が残らないはずです。弱者の生活ははるかに厳しいものとなるでしょう。
消費税引き下げ、あるいは廃止も同じで、それは社会保険料の激増につながって現役世帯の首を絞めるだけでしょう。
「絶対実現しないから問題ない。ガス抜きとしてああいうのも必要なんだ」という人もいるんですけど、そうですかね?
たとえば維新の月6万円のベーシックインカム案みたいに実現可能なたたき台を出したうえであちこち手直ししてブラッシュアップしていくのが本当の政策議論なんじゃないですかね。
消費税ゼロとか法人税引き上げとか(聞こえはいいけど)絶対実現不可能なデマをぶちあげて議論が一歩も進まない状況を作り出して、それって誰が喜ぶんですかね?
筆者には彼ら左翼は弱者を扇動しつつ、どんどん出口の無い迷路に追い立てているようにしか見えませんけどね。
以降、
もともとインボイス推進の旗振り役だった民主党
悪いのはフリーランス?それとも野党?
Q: 「従業員意識調査にはどういう意味があるんでしょうか?」
→A:「おそらく社内で改革派と守旧派が争っているんでしょう」
Q: 「早期退職の面談を受けるよう言われているのですが、自分は退職候補ということでしょうか?」
→A:「とりあえず肩の力を抜いて面談に臨んでください」
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