バングラデシュで感じた日本の「ガラパゴス化」

バングラデシュ滞在の最終日は車に乗って、郊外の田舎村まで出かけましたが、ドライバーの運転が極めて荒いのにびっくりしました。

車線のはみ出しは当たり前、制限速度はどうやら設定されていないらしく、一般道でも100キロ近い猛スピードで走っています。

トゥクトゥクが逆送してきたり、信号のない交差点で車同士が道を譲らず、クラクションで応酬したりとまさにカオスでした。

日本の整然とした運転マナーとは対極です。

また街は雑然としており、お世辞にも清潔とは言えません。あちこちにゴミが散乱しており、川や池にも捨てられた大量のゴミが堆積していました。

帰りの空港では、たくさんの旅行客が集まっているところに、いきなり殺虫剤散布が始まりました。白煙が立ち込めて、火災かテロかと一瞬身構えてしまう出来事です。

虫除けのためだとは思いますが、日本なら誰もいない深夜の時間にしかやらないと思います。

バングラデシュは日本に比べれば、経済レベルも低く、まだ洗練されているとはいえない環境です。

しかし、急速な経済発展、人口爆発によって、人々の暮らしは急速に改善しています。

子供の数が非常に多く、平均年齢は日本より20歳位は若いのではないでしょうか。

日本に帰国すると、子供よりも年配の人が多いのに気が付きます。道路からはクラクションの音は聞こえません。電車に乗っている人達はみんな無口で、静寂そのものです。

整然とした国とカオスの国
経済的に豊かな国と貧しい国
高齢者の国と若者の国
騒然とした国と静寂の国

バングラデシュと日本はあべこべの国です。日本国内にいると、日本が当たり前に見えてしまいます。でも世界の多くは、どちらかと言えばバングラデシュのような国なのです。

日本の常識は、世界の非常識。

海外に出かけることもなく、国内でずっと生活していると、世界の動きが見えなくなってしまいます。

今回のスタディツアーでも、やはり日本が世界の中で「ガラパゴス化」していることを再確認してしまいました。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年3月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。